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第四十六話 ルラボルト王国の歴史書

 その日の放課後。


 わたしは学校にある図書館に行った。


 そして、前世で住んでいたと思われるルラボルト王国の歴史書を探した。


 今日、わたしは、


「生まれ変わろうとする姿勢」


 をブリュマドロンさんに微笑みという形で示し、その後やクラスメイトたちにも示した。


 その後の反応は気になったものの、ここでは一旦忘れることにした。


 すると、各国の歴史というカテゴリーの中に、「ルラボルト王国の歴史」と書いている本があった。


 この王国でも有数の蔵書を誇るだけのことはある。


 五冊ほどそこにはあったのだけれど、わたしはその中で一番分厚い本を選んだ。


 その本を手に取り、席に座って読もうと最初は思ったのだけれど、夜、じっくり読んだ方がいいと思ったので、借りることにした、


 そして、夜、勉強が終わった後、その本を開いた。


 わたしが知りたいことの一つ目は、前世のわたしであるルナディアーヌが処断されたということが記載されているかということ。


 記載されていて、その記載がわたしの前世の記憶と同じであれば、わたしの心の底から湧き出してきた前世の記憶は正確だということになる。


 そして、知りたいことのもう一つは、前世のわたしが処断されて、この世を去った後のルラボルト王国の状況。


 特にオーギュドリュネ殿下とルゼリアがその後どうなったか、ということだ。


 ただ、前世のわたしであるルナディアーヌが処断されたこと自体は、歴史に残るほどのことだったのだろうか?


 そのことが取り上げられていなければ、この歴史書では、わたしの前世の記憶が正確かどうかの確認はできなくなる。


 そうなると、オーギュドリュネ殿下とルゼリアのことも取り上げられていないだろう。


 そう思って読み進んでいくと、


「ルラボルト王国内の反乱」


 という項目があった。


 この項目ではないかと思い、読み進めていくと、そこには……。


「ルナディアーヌの婚約破棄、ボワデシャール公爵家の追放、処断」


「オーギュドリュネ殿下とルゼリアの婚約、結婚」


「オーギュドリュネ殿下の暴政」


「オーギュドリュネ殿下に対する反乱発生」


「反乱軍による新王太子殿下の擁立、オーギュドリュネ殿下とルゼリアの修道院行き」


 という項目が並べられていた。


 さすがは分厚い歴史書だと思った。


 内容を読んでいくと、まずわたしについての記載については、わたしの記憶通りだった。


 ただ、いくらその通りだと言っても、


「周囲の人々に傲慢な態度を取り、イジメも行っていた。そして、領民に圧政を行っていたので、評判は最悪だった。その悪評がオーギュドリュネ殿下の怒りを招き、婚約破棄をされた後、ボワデシャール公爵家を追放され、処断をされてしまう。そのことを残念に思う人は誰もいなかった」


 と書かれていたのには、さすがに落ち込む。


 ただ、わたしの記憶の正確性はこれで保証されたことになる。


 さて、その後のルラボルト王国とオーギュドリュネ殿下とルゼリアの状況については知らないことだらけだ。


 わたしが処断された後、オーギュドリュネ殿下とルゼリアは婚約した後、結婚した。


 ルゼリアはわたしと違って評判が良く、この二人の結婚はルラボルト王国の国民からおおいに祝福されたのだった。


 結婚を機に、国政についての権限がオーギュドリュネ殿下に大幅に委譲された。


 国民のオーギュドリュネ殿下に対する期待は高かったので、そのことも大いに歓迎された。


 しかし、わたしが危惧していたように、オーギュドリュネ殿下はもともと贅沢好きだったので、オーギュドリュネ殿下はそれ以降、急激に贅沢をするようになる。


 それに拍車をかけたのがルゼリア。


 継母自体が贅沢好き。


 その子供であるルゼリアも、もともとは贅沢好きだ。


 しかし、わたしよりも評判を良くしようと、婚約者の座を奪うまで我慢してきたのだ。


 それが、わたしがいなくなるとともに、一気にその欲求が抑えられなくなってしまった。


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