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第三十五話 出席したくない夕食会

 モイシャルドさんとリディレリアさんはこの部屋から去っていった。


 もう夕方になってきている。


 わたしはベッドの上に座り、先程までのモイシャルドさんとリディレリアさんとのやり取りを思い出していた。


 今日、わたしはモイシャルドさんとリディレリアさんに謝ることができた。


 もちろんすぐには二人の信頼は得られないだろう。


 モイシャルドさんは、口ではわたしの気持ちを受け止めると言ってくれた。


 モイシャルドさんはこの公爵家で様々な経験をしてきた人だ。


 わたしがどのような道にこれから進もうとも、対応することは可能だと思う。


 ということは、わたしがまた以前のような「悪役令嬢」に戻ろうとも、内心はともかくとして、淡々と仕事をこなしていくだけだと思う。


 そのある意味で冷たいところが、わたしとしては嫌に思うところだ。


 しかし、そういうことは言っていられない。


 モイシャルドさんは有能で、フィリシャール公爵家の中で、その能力が高く評価されている人。


 これからわたしがフィリシャール公爵家の中での評判を良くしていく為には、絶対に味方にしなければならない人だ。


 いや、そういう損得だけで考えてはいけないだろう。


 わたしのことを内心は嫌いであっても、尽くしてしてきた人なので、これを機に感謝しなければならないと思っている。


 そして、これからは大切にしていき、関係を改善していきたいと思っている。


 リディレリアさんについては、わたしに対する「恐れ」の心をまだまだ持ったままだ。


 これを弱くしていくのには、時間がかかりそうだ。


 リディレリアさんに対しては、土下座をさせることも多かったし、嘲笑することも多かった。


 これだけ酷いことをしているのだから、今日謝ったぐらいでは、わたしに対して心を開くことは考えにくい。


 とはいうものの、わたしの今持っている気持ちについて、受け止める努力を一生懸命するということは言ってくれた。


 リディレリアさんは大変な努力家だと思う。


 わたしの侍女になってしばらくの間は、失敗が多かった。


 ただ失敗をするだけでなく、その度にわたしが酷い仕打ちをしていたので、普通の人であれば、途中でここを去っていただろう。


 しかし、その失敗にめげずに努力を重ね、今は失敗をすることも少なくなった。


 これはすごいことだ。


 こういう人こそ大切しなければならなかったのに、わたしは何をしていたのだと思う。


 反省しきりだ。


 リディレリアさんもわたしのことを内心嫌っていると思うし、わたしに対する「恐れ」も残るだろう。


 しかし、それでもわたしはリディレリアさんを味方にしていかなくてはならない。


 今時点で既にリディレリアさんをイジメているという認識をされていて、それがわたしの悪評の一員になっている。


 リディレリアさんがわたしの味方になるほどになれば、イジメの悪評の原因の一つを改善することができる。


 いや、モイシャルドさんと同じで、そういう損得だけで動いてはいけない。


 モイシャルドさんと同様にリディレリアさんのことも大切にし、関係を改善していきたい。


 わたしはそう強く思うのだった。




 だんだん夜がせまってきた。


 これから夕食会がある。


 決して楽しいものではない。


 第一、出てくる料理がわたしだけいつも粗末なものなので、食欲がそれほどわかない。


 今までは、体調の悪さを理由に出席を断ることも多かった。


 実際、父、継母、異母妹と言った、お互いに嫌い合っている人たちと食事をすると思うだけで、気分が悪くなることが多かったのだ。


 それでも出席しなければならない日もあった。


 そういう時は我慢するしかないと思って出席する。


 しかし、出席をしたらしたで、継母との嫌味の言い合いになる。


 それだけでも気分は悪いのに、父や異母妹が必ず継母の味方をするので、余計に気分が悪くなるのだ。


 それならば、父がわたしの出席を止めてくれればいい。


 ところが、父は、


「記念日のような出席すべき日は、必ず出席しなさい。これはフィリシャール公爵家のしきたりになっている」


 と言って、わたしの出席を求めてくる。


 どうもこういうところは理解ができない。


 今日は父の誕生日なので、記念日の一つということになる。


 したがって、わたしは嫌々ながらではあるものの、出席をしなければならないのだった。


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