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第三十四話 わたしのことを受け入れる二人

 モイシャルドさんはわたしを応援すると言ってくれた。


 しかし、表情は相変わらず硬いまま。


 こういう時ぐらいは笑顔になってもいいのに、と思うのだけれど……。


 でもわたしの今まで言ったことを理解はしてくれているようだ。


 リディレリアさんの方はどうだろうか?


 そう思っていると、リディレリアさんが話をし始めた。


「リランドティーヌ様、わたしは今まで失敗が多く、リランドティーヌ様に怒られても仕方がない人間だと思っています。こんなことを申し上げて失礼とは存じますが、リランドティーヌ様がわたしに対して謝るということが、信じられないのでございます。わたしを油断させておいて、この後、『わたしが今日のように謝った場合、あなたがどういう態度を取るのか、把握しておきたかったの。あなたはわたしが謝るのを当然と思っているようね。生意気だわ!』と言って、いつも以上にわたしのことを『かわいがられる』のだと思っております。これはわたしとしても避けたいと思っております。また、リランドティーヌ様がそういう行動をとられるのは、わたしが失敗したからなのだろうとも思いました。それで先程も、リランドティーヌ様がいろいろおっしゃられる前に、お詫びをしなければならないと思ったのでございます。わたしとしては、リランドティーヌ様の今日の行動が信じられませんので、どうしてもそう思ってしまうのです」


 リディレリアさんはそこまで言うと、


「言い過ぎてしまった……」


 という表情になる。


 モイシャルドさんの方は表情を変えないままだ。


 リディレリアさんは、顔面蒼白になり、


「申し訳ありません。わたしとしたことが、リランドティーヌ様のご機嫌を損ねるようなことを申してしまいました。お詫びいたします」


 と言った後、わたしに対して土下座をしようとする。


「リディレリアさん、土下座の必要はありません」


 わたしは、リディレリアさんの動きを押しとどめた。


 リディレリアさんは少し涙ぐんでいる。


 そして、


「リランドティーヌ様……。申し訳ありませんが、まだ信じることはできないでいます。しかし、いつもと違い、心やさしい方になっておられるということは、わたしにも理解することができます」。


 と言った。


 リディレリアさんも、わたしが少しずつ変わり始めていることを少しずつ理解し始めている!


 その言葉を聞いて、わたしの胸に少し熱いものがこみあげてくる。


 リディレリアさんも小さくうなずいた。


 リディレリアさんは、涙を拭いた後、


「申し上げにくいことなのですが、今のリランドティーヌ様のやさしさは今日だけなのかもしれないと思っております。明日にはまたもとに戻ってしまうかもしれないので、リランドティーヌ様を恐れている気持ちをすぐには変えることができないのでございます」


 と言った。


 わたしは少しガックリする。


 しかし、リディレリアさんの立場からすると、こういうことを言うのはむしろ当然のことだ。


 わたしは、


「今までのことからすると、わたしのことを信じられず、そして、恐れるということは、十分に理解できる話です。わたしが生まれ変わろうとしていることを、周囲の人たちに対して、すぐに理解されるとは思っていません。わたしは急いでいません。リディレリアさんも少しずつでいいので、わたしのことを理解してもらえると助かります。わたしはまず、ここにいるモイシャルドさんとリディレリアさんにわたしの気持ちを理解してもらい、これから良い関係を築いていきたいと思っているのです」


 と力強く言った。


 それに対して、一瞬、また沈黙の時間があった。


 しかし、先程までとは違う。


 表情は硬いままではあったものの、すぐにモイシャルドさんが、


「リランドティーヌ様の気持ちを受け止め、リランドティーヌ様にこれからも尽くしていきます」


 と言った後、頭を下げた。


 モイシャルドさんに続き、リディレリアさんも、


「リランドティーヌ様の今日のお言葉、そして、お気持ちをきちんと受け止めて、リランドティーヌ様に尽くしていけるように一生懸命努力していきますので、よろしくお願いします」


 と言った後、頭を下げた。


 わたしは、胸をさらに熱くしながら、


「二人ともありがとうございます。これからは良い関係を築いていきましょう」


 と言った後、頭を下げた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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