第二十九話 治癒魔法の練習
わたしはソフィディーヌ様のアドバイスに基づき、ソフィディーヌ様の前で魔法を一回使うことにした。
今のわたしは病気もケガもしていないので、心を癒すというところで、この効果の確認を行うことにする。
ソフィディーヌ様の前で魔法を使うのは緊張する。
なんといっても「大聖女様」の前なのだ。
しかし、それは乗り越えなければならないことだ。
わたしは、ソフィディーヌ様のアドバイス通り、まず心を穏やかにした後、
「このわたしの魔法で、人々を幸せにしてください」
と強く念じた。
そして、
「わたし自身の心を癒すことができますように」
と強く念じた。
病気やケガをしている場合は、
「わたしのこの病気やケガが治りますように」
と強く念じるのだけれど、それは今日については必要なかった。
「どうでしょうか?」
ソフィディーヌ様がわたしに聞いてくる。
わたしは、
「心がいつもよりも癒されている気がします。今までより少し力が強くなったということなのだと思います。ただ、心が穏やかになりきれません。この点を改善していかないと、力は強くなっていかないと思っています」
と応えた。
すると、ソフィディーヌ様は、
「心を穏やかにすることは今でもある程度はできると思います。しかし、魔法の力を強くして、聖女になっていく為には、心の底まで穏やかにしていく必要があります。その心の状態で、『このわたしの魔法で、人々を幸せにしてください』と強く念じていくのです。それが終わった後、個々の人たちの治療に入って行くのですが。その時も強く念じていく必要があります。しかし、この魔法を使うものは、まず心の底から穏やかにならなければなりません。そうしなければ、ある程度の力は得ることができたとしても、聖女になるほどの力は得ることはできません。そのことは認識しておいてください」
と言った。
今のわたしにはかなり難度が高い話に思える。
「ソフィディーヌ様がおっしゃられたレベルまで、わたしは到達することはできるのでしょうか?」
わたしがそう言ったのに対し、ソフィディーヌ様は、
「リランドティーヌさんならできます。今の調子で練習していけば、やがて、魔法の力は大きくなっていくでしょう」
と力強く言ってくれた。
わたしが、
「少し自信がついてきました。この調子で練習を続けていきたいと思います」
と言うと、ソフィディーヌ様は、
「リランドティーヌさん、自信を持って、これからも一生懸命努力してください。そうすれば、きっと世の中の為に役立てる方になれます」
と微笑みながら応えてくれた。
わたしが、
「ありがとうございます」
と言って頭を下げた後、ソフィディーヌ様は、
「もう時間がきてしまいました。わたしは自分のいる世界に戻らなくてはなりません。わたしに聞いておきたいことがありましたら、少ない時間ではありますが、対応させていただきますので、よろしくお願いします」
と言った。
それに対して、わたしは、
「もう帰ってしまわれるのですか? わたしとしては、できればもう少し魔法についてアドバイスをいただけたら、と思っております。でもそれは無理なんですよね……」
と言った。
わたしとしては、それとともに、もう少しソフィディーヌ様に癒されていたかった。
でもそれはわたしのわがままというものだろう。
「その点については申し訳なく思います。しかし、リランドティーヌさんにはもともと能力がありますので、練習を重ね、実践を重ねれば、きっとこの魔法の力は強くなります。リランドティーヌさんであればきっとできます」
ソフィディーヌ様は力強くそう言ってくれた。
わたしはその言葉に対し、
「ソフィディーヌ様のご期待に応える為、今日のアドバイスに従って、一生懸命この魔法の力を高めていきたいと思います。そして、聖女になり、その力を世の中の人の為に役立てていき、人材についても育てていきたいと思います」
と応えた。
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