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第二十八話 アドバイス

 わたしは、


「この魔法の力が弱いわたしでも、力を強くすることはできるでしょうか?」


 とソフィディーヌ様に言った。


 すると、ソフィディーヌ様は、


「もちろんできますよ。ただ、この魔法の力を強くする為には、まず心を穏やかにする必要があります。そして、『このわたしの魔法で、人々を幸せにしてください』ということを強く念じる必要があります、それも全身全霊で念じなくてはなりません。そうした心の準備を行った後、対象となる人に対して、『この力でこの人の病気やケガを治したい』『心を癒したい』と強く念じることです。自分で練習をする場合は、『もし自分が病気やけがをした場合、この力で自分の病気やケガを治したい』『わたし自身の心を癒したい』と強く念じることです。そうした練習をこれからしてください。この魔法は、人々に役立ちたいと思う気持ちが強くなった時、その力が増大されていくのです。病気やケガをすることはほとんどないと思いますので、病気やケガに対する治癒能力が向上していくことは、なかなか把握できないかもしれませんが、心の癒しについては、能力がどんどん向上していくことが把握できていくはずです。それとともに、リランドティーヌさんの治癒能力も一緒に向上していきます。こうして練習を重ねていくとともに、実践も少しずつ行っていけば、この魔法の力は強くなっていきます、リランドティーヌさんにはもともと素質がありますので、努力すればするほど力は強くなっていくでしょう」


 と力強く言った。


 この言葉はわたしにとって驚きだった。


 わたしが足りなかったところ。


 それを的確に指摘してくれた。


「ソフィディーヌ様、アドバイスありがとうございます。わたしは、この魔法を使う前、まず心を穏やかにすることができていませんでした。これが出発点だったのですね」


「そうです。心が乱れていては、その時点でこの魔法の力は強くならないのです」


「そして、『このわたしの魔法で、人々を幸せにしてください』とこの魔法を使う前に思ったこともありませんでした」


「この言葉は、ただ言うだけではなくて、心の底から念じる必要があります。また、自分自身に対して魔法を使う時も、『人々』の中に自分自身が含まれるので、同じく心の底から念じる必要があります。このことは、この魔法を使うに際し、一番重要なことです」


「そうだったのですね。わたしが一番足りなかったことだと思います」


「とは言っても、なかなか実践するのは難しいと思います。練習を通じて、その力を向上していくしかないと思います」


「わかりました」


 わたしはそう応える。


 困難なことは予想される。


 しかし、それでも一歩ずつ進んでいくしかないと思っている。


「その後、わたしの言った言葉は、リランドティーヌさんも理解をしていただけると思います」


「はい。ただ、わたしは、自分自身にこの魔法を使う時、『もし自分が病気やケガをした場合、自分の力で自分の病気やケガを治したい』『わたし自身の心を癒したい』ということを念じていなかったわけではないのですけど、ソフィディーヌ様の言う『強く念じる』ということができていませんでした。こうした点も足りなかったと思います。わたしのこの魔法の力が弱いままだったのもあたり前のことですね」


 今までのわたしが恥ずかしくなってくる。


「過去のことはもう過去のことです。リランドティーヌさんは今、生まれ変わろうとしています。これから、この魔法を人々の為に役立ていけばいいのです」


 ソフィディーヌ様はわたしをやさしく包んでくれる。


 そのやさしさに、わたしの心の中からは熱いものが込み上げてきた。


「ありがとうございます」


 わたしは涙声になりながら、頭を下げた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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