86 エピローグ
「続いては、スポーツです! 今日もスポーツコーナーは加藤あかねがお伝えします!」
あかねのアナウンサー生活も2年目を迎え、すっかりと夕方のニュースでスポーツコーナーが板についている。
「今日の特集は、今年こそ日本一へと再起をかける、奇跡の球団ドルフィンズのキャンプの模様をお送りします。」
「ところで加藤さんは、立花選手と同級生なんですよね?」
メインキャスターの男性があかねに話を振る。
「そうなんです。もうすっかりプロ野球選手になった立花楓選手ですが、同級生の私だからこそ聞ける、『湘南の乙女』の真相に迫りたいと思います。
それでは、春季キャンプでさらにパワーアップしたドルフィンズの模様を、どうぞ!」
そう言ってVTR振りをする背後には、投球する様子が全面に映し出された楓のサムネイル。この画に使われるのは、チームの中心選手である証拠だ。
楓は女子投手が「戦力」であることを象徴する一枚である。
後に「女子選手元年」といわれるシーズンはこうして幕を閉じ、新たなシーズンを迎えようとしている。
楓の野球人生も、戸高の挑戦も、まだまだ始まったばかりだ。
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「ワンポイント~女子プロ野球選手・立花楓の記録~」
完
続編に続く
長らくお付き合い頂き、誠にありがとうございました!
思えば2019年の5月頃、いろんなことに嫌気がさして、現実逃避のために始めた小説執筆も、今では大事な趣味になりました。
これもこれまで感想をくださった方々、誤字脱字報告をしてくださった方々、そして読んでくださったすべての皆様のおかげです。
みなさまの反応が本当に励みになっていました。
楓や戸高、そしてドルフィンズの戦いはこれからも続きます。
女子選手の活躍できるフィールドは狭いかもしれません。
しかし、女子野球が盛り上がっている昨今、まだまだ活躍できる選手はたくさんいるはずです。
楓はその選手たちにとって先導者となり、そして楓にとっても刺激になる選手がたくさん出てくることでしょう。
この世界の女子選手にはプロ野球で男子に交じってプレイするだけでなく、女子野球のワールドカップ、WWBCという活躍のチャンスがあります。
いつの日か、日の丸を背負う楓も見られるかもしれませんね。
その日を楽しみにしつつ、一度ストーリーをしめたいと思います。
改めて最後まで読んで頂き、深く深く感謝致します。
誠にありがとうございました。




