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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
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孤児院と美化ギルド、新しい家族

 いつの間にか、ブックマークやPVが増えていたみたいで、ありがとうございます。

 評価もして下さったみたいで、すいません。

 使い方や見方をイマイチ理解してなくて、そういう物がわかるとは知らずにいて、恥ずかしい限りです。

 皆さんの評価やコメントも大事にし、これからはマメに見ていきたいと思ってます。

 本当に評価やブックマークして頂き、ありがとうございます。

 これからもよろしくお願いします。


 ある親子が、やって来た。小さい女の子と、この街の警備兵のお父さんだ。



「キクチ兄ちゃん、こんにちは!」


「コシヒちゃん、こんにちは!」


「キクチさん、よろしくお願いします」


「ササニさんも、いつもありがとうございます」



 今日は娘のコシヒちゃんのカットをしに、ササニさんが連れてきた。ササニさんは少し前に切ったばかりだからね。



「今日はどうする?」


「うーんとね。可愛く!お姫様みたいに!」


「わかりました。お嬢様!」


「やったぁ!」



 コシヒちゃんの言うお姫様は、マリー様の事だ。彼女はマリー様を、知っている。何故ならコシヒちゃんは、孤児院出身だからだ。マリー様は僕達と一緒に、何度も孤児院にボランティアで訪問している。そこで憧れたんだろう。



「妻も、マリー様みたいにして来きなさいって、言ってましたよ。ははっ」


「ふふっ、了解です」



 コシヒちゃんは、少し前にササニさん達の養子になった。孤児院を離れる時は、皆して涙したそうだ。でも別れる寂しさよりも、家族が出来た祝福の涙が勝っていたと聞いた。本当に良かった。それに今でも、遊びに行ったりしてるらしいしね。



「最近は孤児院も、大活躍ですからね」


「ええ、良い事です。コシヒみたいに、養子に迎える子も増えるでしょう」



 孤児院は、美容学校や僕達によってギルドを立ち上げた。その名も『美化ギルド』だ。その街の美化を進める大事な仕事だ。今では大活躍で、街に無くてはならない存在になっている。美化ギルドと孤児達が最初に始めたのは、各ギルドの掃除だ。孤児達の手によって、外観と建物内を徹底的に綺麗にした。僕達も掃除の仕方をしっかりと教えたし、日本の掃除道具も与えたよ。それがかなりの評判を呼び、自分の家や店等も掃除してくれという希望が殺到した。皆でお金を出しあい、道や共同施設なんかも。そして兵舎にもね。



「僕達も兵舎の掃除に来てた、コシヒを見て養子を決めたからな…」


「そうでしたね…」



 ササニさんと奥さんは、二人して警備兵だ。コシヒちゃんが、可愛く頑張っていたのに心を打たれたそうだ。それで養子を取る事にした。



「僕達には…子供がいませんでしたしね…」


「はい…」



 詳しくは聞いていないが、子供が出来ない体らしい…。多分そういう方も、沢山いるんだろうな…。要するに、そういう方にも目が届く様になり、家族を持つ子供が増えていけば良い。美化ギルドは、孤児を中心に大活躍中だしね。美容学校の掃除とかも受け持っているし、定期的に掃除をお願いする所も多い。商店なんかは外観も大事だし、鍛冶ギルドなんかは単純に汚いからね。今は他の街でも、その街の孤児院が中心となって活動している。勿論悪い奴に目を付けられない様に、国もしっかりと協力して貰っている。そのせいもあって、一大ビジネスになっている。



「私も大きくなったら、孤児院助けるんだ!」


「ふふっ、今でも美化ギルド手伝ってるのに…」


「院長達が大好きですからね。あははっ」



※※※



「はい!出来上がり!」


「わぁ~!かわいい!」


「コシヒ、良かったね」



 希望通りの、パッツン前髪のボブだ。マリー様とお揃いのね。



「コシヒちゃん、可愛くなって良かったね!」


「あっ、ナナセ姉ちゃん!ありがとー!」



 皆にも声を掛けられて嬉しそうだ。今でも孤児院の皆は、僕達がボランティアでカットしている。でも今は大分稼いできているから、皆もここで切りたいそうだ。だけど院長夫婦に少しでも楽をさせたいから、無理は言わないらしい。孤児だからこそ、お金の大切さを知っているんだよね。それに僕達も無理して稼ぎたい訳じゃないし、孤児院訪問も楽しいからね。幸せ者だよ、エライナさんとコッチモさんは。



※※※



「店長!良かったですね!孤児院が活躍して!」


「うん。身なりも綺麗になったし、家族を持てる子も出てきたしね」


「貯めたお金で、皆で入れるお風呂を作るらしいですよ!」


「それは良いね。ギルドも協力してくれるだろうし」


「しかも…エライナさんとコッチモさんには、内緒にしてるみたいです」


「やるねぇ。泣いちゃうよ、あの二人」


「その瞬間を見に行きましょう!」



 この街は、目に見えて綺麗になった。人も建物も道も。孤児達も、しっかりと受け入れられている。オシャレも形になっているしね。さて次はどうなるかだ。



※※※



 そしてその日はやって来た。営業終了後に、二人はやって来た。



「キクチさん。約束通り、娘を連れてきましたよ」


「初めまして、オドリーヘ・ハンジョです。武闘大会でお見掛けはしましたが、話す事は無かったので、改めてお会いする事が出来て嬉しいです」


「はい…ありがとうございます…」



 マダマダ様が、約束通り嫁候補を連れてきたよ…。孤児達に家族が出来るのは嬉しいけど、僕はまだちょっと心の準備が…。そしてナナセさん睨まないで…。



「そんなに固くならないで下さい。私は別に、今すぐ家族になりたいなんて思ってませんし、キクチさんには、ナナセさんという婚約者もいるんですよね?」


「「えっ?」」


「私は人の婚約者を奪う様な事はしませんよ。会いに来ただけです。仲は良くなりたいですけどね。話も聞きたいし」


「いっいや…別に、婚約者では無いですけど…」


「じゃあナナセさんは、仮に私とキクチさんが付き合ったり、結婚しても文句は無いんですね?さっきは睨まれた気がしましたけど」


「えっ、ええっと私は…」


「不満そうですね…好きなんですか?キクチさんの事」


「なっ何を、急に…」



 あのナナセさんがタジタジだ。僕もね。マイさんとオーパイさんは楽しそうに野次馬してるよ。いやらしい顔付きだ。それに僕達の関係は、恋愛関係じゃないし。好きだしパートナーだとは思うけど、あくまで仲間としてであって、恋人とはちょっと違うよ。上手く言えないけどね。



「凄いでしょ。うちの娘は」


「マダマダ様…やってくれましたね…」



 マダマダ様も流石だよ。ナナセさんが苦手なタイプを送り込んできた…。これは振り回されるぞ…。



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