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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
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予選の結果、様々な準備


 教国の使者が帰って暫くが経った。世界武闘大会の予選も終わり、また去年と同じ様に盛り上がってきている。予選を勝ち抜いた者達は、更に頑張って訓練をしているようだ。だが敗者は…。



「クソッ!今年もアントレンに敗けるとは…」


「しょうがないですよタハラシ様…あの人は戦闘に関しては、人間最強かもしれませんから…」


「タハラシ…俺も決勝で完敗だったからな…今年は魔族や獣人とも、良い勝負するかもな…」



 今年もオースリー王国の闘神戦は、アントレン様とジーク様になった。他の人はというと、ルード様は今年大人に混ざって闘ったけど、実力不足で完敗。ギルデさんは去年で満足したみたいで、今年は不参加。闘神戦で出てれば、優勝してもおかしく無いらしいけどね。エルメスさんは、去年目立ちまくったので当然不参加。エルメスさんを見てか、エルフはほとんど参加をしてない。変な目立ち方をしたくないらしい。なので、新しい強者が優勝したりしている。他の国でも新しい強者が出てきてるそうだしね。



「そういえば、マダマダの娘がヌーヌーラ共和国の剣闘戦で、優勝したらしいぞ」


「えっ嘘っ…」


「やられたよ…優勝候補だ。まさか他国に先を越されるとはな…キクチの花嫁候補だ」


「じょっ冗談はよして下さい…」


「冗談では無い。偵察で見た奴の話だと、去年のレベルならギルデの次くらいの実力らしいぞ。ならギルデがいない今年なら、優勝候補筆頭だ」


「マジか…」



 まさか本当にここまで来るとは…。教国よりも問題だよ…。って、いつの間にかナナセさんから、睨まれてる…。言いたい事があるなら言って欲しい…。無言の圧力は勘弁して下さい…。



※※※



「キクチさん!とうとう完成したよ!」


「まさかっ!」


「ああ!自動車だ!その名も『魔動車』だ!」


「素晴らしいですね!どんな感じですか?」


「俺の自信作だ。ディンドンにも感謝しなきゃな。形こそ普通の乗用車だがな、完全魔動制御でオートマ使用、最高時速420㎞、どんな地形にも対応できるタイヤにサスペンション、事故の心配も無い、オートブレーキも完備、燃費は魔石一つで五年は持つ、その他沢山だ!」


「とにかく最高ですね!」


「そうなんだよ!魔法がある分、地球より良い物か作れるんだよ!エンジニアには堪らない環境だな!」



 確かに楽しい世界だろうなぁ。そして僕はこれで夢がまた一つ叶う。異世界ツーリングに続き、異世界ドライブが可能になった!楽しみが増える!そうだ、武闘大会もこれで行こう。それならば…。



「サイトウさん、もし出来るならバスって作れます?」


「バスか…うーん、多分大丈夫だな。すぐ必要か?」


「出来れば…来月の武闘大会までには…美容学生や先生方を合わせて百人位…なので何台か必要だとは思うんですけど…」


「無茶言うなあ…でも三台位だろ…何とかなりそうだな…ギルドに確認してからになるけど…皆面白がって作るだろうし、大丈夫だろう」



 よしっ!これなら移動もしやすい。去年と同じく、修学旅行だからね。運転も僕にナナセさん、マイさんにカズヤさん…四人か。足りなければ、誰かに教えれば問題無いだろう。魔単車でも良いしね。



「お金が、結構掛かるけど大丈夫だよな?」


「ええ、問題無いです」



 正直、各国への協力や様々な問題解決で、沢山の報償金等があって結構お金持ちになっている。勿論、お店の売上もかなりあるし、各国にまで売れている沢山の商品の歩合も貰っている。今までは様々な寄付や、美容学校等にも使っていた。それが更にバスまで買ってしまうなんて、良い使い道じゃない?少し偉そうだけど、別に良いよね。



※※※



「なるほどな…これは使えるかもな…」


「何を見てるんですか…?アントレン様…」


「この漫画の気合いの入れ方は、俺にも使えそうだなと思ってな…怒りで変身するんだ。更にパワーアップもするから…」



 最近アントレン様が更に強くなった秘訣として、アニメや漫画を参考にし、そこから自分用にアレンジして使う事が最大の秘訣ではないだろうか。漫画をこの世界に貸してから、皆が沢山真似して参考にしてはいる。だけどアントレン様みたいに気とかオーラみたいな物を、信じて練習している人は少ないと思う。魔法もあるしね。どちらかというと、技や形や格好を真似したりする。僕達にしてみれば、魔法も同じだけど…。



「この怒りの力を、出来るだけ高めれば…変身も出来そうだな…髪も変わりそうだ…」


「そうですか…」


「キクチ…信用してないな?」


「そういう訳では無いですけど…」


「キクチもマイやナナセちゃんの、怒りの変身を見てるだろうが…」



 ハッ、確かに…。鬼神降臨した時は、黒いオーラと底知れぬ恐怖を感じた…。



「あれは、誰にも勝てない力を感じた…。恐らく、大魔王や竜王と互角かもな…」


「確かに、誰も止められませんでした…」


「そうなんだよ。そしてそのきっかけは…」


「年齢や…趣味の冒涜…胸の大きさ…可能性は無限にあります…」


「それが問題なんだ。女ってのは難しいがきっかけは単純だ…俺がキレるとしたら…誰か殺されるとかだ…」


「それは避けたいですね…ナナセさんやマイさんみたいに、簡単にキレる方法があれば…」



 何を真面目に考えているのだろうか…。馬鹿らしいが、アントレン様は闘神戦で優勝する為に必死だからな…。



「逆に恐怖をきっかけにするとか…」


「恐怖?」


「ええ、マイさんやナナセさんにしこたま殴られる恐怖をイメージするんです。それをきっかけに…」


「逆の発想だな…」


「あの鬼神が来るんですよ!最大の力で向かわないと!」


「そうだな!ヒステリックパワーに対抗出来れば…!」



 そして、声を掛けられる。



「誰が鬼なんですか?店長?」


「ヒステリックパワーってのは誰が使うの?アントレン様?」


「あっいや別にっ…」


「どっどこから聞いて…」


「知りたい?「なるほどな…これは使えるかもな…」からよ」



 最初からかよ…。終わった…。この場を切り抜ける事も難しそうだ…。果たしてアントレン様は、大会に行く事が出来るのか…?僕は朝日を見る事が出来るのか…?



「誰が胸の大きさを気にしてるんですか?胸が大きくないと女性じゃないんですね!」


「そんな事は言って無い…」


「誰が年増で、オバサンで、しわくちゃだって?」


「誰もっ、一言も…そんなっ…」


「「黙れっ!」」


「「ギャーッ!」」



 僕達は今日という日を忘れない。



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