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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
91/136

教国の使者、命令と挑発


 その日は突然訪れた。



「ここは、パラレルで良いな」


「はい…そうですけど…」


「キクチという者はいるな」


「ええ…僕ですけど…」


「では、我等と一緒に来て貰おう」


「はっ?嫌ですけど…」



 いきなり偉そうな奴等がやって来た…。この三人はもしかして…ラルベリマルサーヌピヨン教国なのでは…?



「何故、拒むのだ」


「どこの誰かも知らないあなた方に、拒まれない理由があります?」


「これだから、無知な奴は…」



 何が無知なんだ。偉そうにまぁ…。



「この胸に付いている紋章を良く見てみろ」


「はぁ…見ましたけど…」


「なら、わかっただろう」


「えっ?わかりませんけど…」


「これがわからんのか!ラルベリマルサーヌピヨン教国の偉大なる紋章を!」


「知りません」



 やっぱり教国か…。面倒臭いなぁ。取り合えず後にして貰おう…。



「すいません…今は営業中ですので、営業終了後に起こし下さい…」


「貴様っ!我等この世界の天上に位置する者を…待たせると言うのかっ!」


「天上かどうかは知りませんが、人の迷惑を考えない礼儀知らずのアホ達は帰って下さい」


「貴様っ無礼なっ!」



 その瞬間、三人は加護によって外に弾かれた。三人は驚いて外でキョロキョロしている。すぐに中にまた入ってこようとするが、もう入れない…。明らかに悪意があるからね。最初は当たり前の様に、僕が来てくれると思ってたんだろうな…。悪意とかでは無く、もしかして善意だったかも…。僕の為なんてね…。本当に自分達が偉いと思ってるんだろうな。でも弾かれた瞬間は、明らかに剣を抜いて攻撃しようとしていた…。そりゃ弾かれる。でも教国は最初から、何かしらの悪意は絶対にあったはずだ。本来なら最初から、絶対に入れなかったはずだ。それでも弾かれなかったのは、意味があるのか?リリーシュ様は教国と僕に、繋がりを持って貰いたいのか?



「いっ行くぞっ!」


「「はっ!」」



 入れないとみた三人は、慌てて帰っていった。後で来るのかなぁ。



「何があった!」


「大丈夫か!」



 ジーク様達が降りてきた。誰か伝えに行ったのかな?ちょっと来るのが遅いよ…。



※※※



 そして営業終了後…。



「あの人達来ますかね?」


「影からの連絡では来そうだか、どうする?」


「さぁどうでしょう…いきなり抜刀しようとしたしね。許さないけど…」


「けど…?」


「いや…ちょっとね…本来なら、お店に入れなかったはず…でも入る事は出来た…それって…」


「リリーシュ様の意志という事か…確かに…あるかもしれん…」


「はい…その可能性があると思います。なので、話だけは聞いてみようかと…」


「そうか…それにしても、各国に使者でも送ってくるかと思っていたが、真っ先にキクチに来るとはな…」


「店長は有名人ですからね!」



 ナナセさん、あんたもだけどね。とにかく来るのを待ちますか…。



※※※



 そして報告通り、表にさっきの三人がやって来た…。入るか迷ってるのか?確かにさっき弾かれたしね。僕がドアを開けてやるか…。



「どうぞ、入って下さい。変な事しなければ、大丈夫ですよ」


「うっうむ…入らせて貰おう」



 少し、ビビっているな…。逃げ帰っても良いのに、また来るって事は使命感からなのか、教国にある恐怖からか…。取り合えず、皆には二階で待って貰っている。聞き耳は立ててるだろうけどね。



「まぁ話だけは聞いて上げますよ。何ですか?」


「そもそも、さっきのあれはなんだ?無礼ではないか!」


「無礼?それはそっちでしょう…いきなり剣を抜いたんですから」


「それは貴様が、失礼な事を言ったからであろう!」


「失礼はそっちでしょうが…偉そうにしてまぁ…そんなんだから、加護に弾かれたんですよ…」



 わかってないんだろうなぁ。自分達が失礼って事すら…。



「ちょっと待て!加護だと!?あれは加護の仕業と言うのか!?」


「そうですよ、リリーシュ様の加護です」


「リリーシュとは…」


「まだ知らないんですか?ラルベリマルサーヌピヨン様の今の名前…常識ですよ」


「ばっ馬鹿な!そんな勝手な事して…許されるとでも…!」


「もう二年も前の事ですよ?リリーシュ様も大喜びだったし…」


「まさか声も聞いてるのか!?」


「ええ、何度も…」



 こいつら無能なのか?こっちの大陸だと、光を見た人や声を聞いた人だって沢山いる。僕だけじゃ無い。密偵は何してるんだ…。



「色々と調べてるんでょ?僕以外にも、そんな人は沢山いますよ…」


「まさかあれが本当の話だと…教皇様はそんな事一言も…」


「教皇は凄いんですか?」


「当たり前だ!ラルベリマルサーヌピヨン様の意志を持つ者が、代々教皇様になられる。そしてラルベリマルサーヌピヨン様の声を唯一聞ける方だ」


「じゃあ嘘つきですね。ここにも沢山声を聞いている人がいますから。もしくは名前がたまたま昔同じだった、別の神様かも知れませんね」


「また馬鹿にするのかっ!」


「あなた達も受けたでしょうが。自分には説明出来ない、加護の力をまともにね」


「そっそれは、何かしらの魔法だろうが!」



 本当に気付いて無いのか?詰んでるぞ?



「だとしたら僕は…あなた達の理解の出来ない、神秘の力を持つ者になりますよ?天上の人なんでしょあなた達は…でも下の者に手も足も出ない…」


「ぐっ…」


「きっとあなた達は、ここに選ばれて送られてきたはずです。ならそれなりの力を持つ者なんでしょう。でも僕に攻撃する事すら出来ない、雑魚になりますけど良いですか?もしくは雑魚しかいない国なのかもしれませんね。それでこの世界の上に立つなんて、教皇も糞バカですね」


「貴様っ!」



 そしてまた加護に弾かれる。三人共揃いも揃ってバカだ。安い挑発に乗りやがって…。さっき剣を抜いた事許してないからな。それにまた抜こうとしたしね…。でもまだやってやるよ。



「さぁ、どうぞ」



 またドアを開けて、中に通して上げる。流石にわかっただろう。パラレル内では、僕に勝てないことを。外なら負けるけどね…。



「わかったでしょ?リリーシュ様の加護によって僕が守られてる事と、教国が嘘つきで間違っている事を認めれば楽になるよ?」


「そんな事ある訳ないだろう!」


「だとしたら、あんた達の負けしか無いよ…国もね…」


「何故そうなる!」


「あんた達もこの大陸で起きている様々な発展が、僕達によって起こされている事を知って、ここに来たんでしょ?」


「あっああ…」


「僕を使って、何をしたいかは知らないけど…要するに、加護を認めずに僕の力としたら…あんたの国は勝てる?全く知らない力を持つ、僕達と戦える?」


「そっそれは…」



 やっぱりゆくゆくは、こっちの大陸に戦争を仕掛ける気なんだろうな…。



「この力を僕が軍に教えていたら?勝てる?僕達に未知の力で攻められたら、あんた達の国は滅亡だよ?小さいダウタウーン公国にすら、勝てないだろうね。島に弾かれるから」


「そんな事が…」


「だから、ラルベリマルサーヌピヨン様はもういないと認めた方が楽でしょうが、そしてその加護で僕は守られてる。わかる?教皇と国が間違っている事を認めた方が、理に敵ってるでしょ?」


「しっしかし…」


「どっちにしてもあんた達では、僕を連れていく事は出来ない。武力が通用しないからね。でも話は聞く事は出来る。一応、聞いて上げるよ、何故僕が必要なんだ?」


「そっそれは…教皇様が…」


「若さを求めたか?それとも魔道具に興味を持ったか?漫画か?オシャレか?きっと僕の知識を、偉大なる私の為に使う事を許そう、とか言ってんじゃないの?」


「ぐっ…」



 概ね合ってそうだな…。聞いていた通りのバカ国家だな。そんな事で動くな。



「僕から出向く事はしないからね。気になるなら、あんたが来いって言っておけ。神の声も聞こえない、ただの嘘つき教皇として来れば、話は聞いてやるよ」


「何をっ!そこまで言うかっ!」



 ムカついてるからね。挑発はする。それで来ないならそれだけの事だ。そんな話をしていると、人が二階から降りてくる。



「話は聞いた…俺が良い提案をしてやろう」


「ジーク様…」


「まっまさか!?貴様はっ!」


「ほう、俺の顔は知っている様だな…そうだ俺がこの国の国王だ。それくらいは調べてあるようだな…」


「何故ここに…!」


「…それはいつもいるからだ…それはまぁ良いとして…お前達の国にチャンスを与えてやる」



 チャンス?そんな物与えなくても…。でも何とかしなきゃだろうし…。



「来月に武闘大会がある。この大陸全土のな。発案者はそこのキクチだ」


「聞いてはいる。去年はかなり盛り上がったそうだな」


「そうだ。それの参加を許そう。教国最強の武人を用意しろ。そして教皇も招待してやる。一応貴賓席にな。泊まる所も用意してやろう」


「それが…」


「圧倒的な武力の差を、見せ付けてやろう。教国が万に一つの、言い訳も出来ないぐらいにな」


「本気で言っているのか?我等が何故、大国になったかわかっていないのか?」


「弱い者虐めだろ?小を大で潰すだけの国だ。俺達には通用しない」


「…わかった。伝えよう…我等に闘いで挑むとは…愚の骨頂だぞ…」



 急に武闘大会参加が決まりそう。そこで決着が出来れば良い。それに愚の骨頂は、あんた達だよ。



※※※



 その後はヤッカム様も二階から降りてきて、武闘大会の細かい説明をした。教国の人達は、どれも敗ける要素は無いと言ってたけど…。君達は噛ませ犬感があるよ…。ていうかお前達じゃ無いよね。最強の武人は他にいるよね…?



「わかった。国に帰り報告させて貰う。要するにどれかの部門で優勝出来れば、キクチを貰える訳だな」


「ああそうだ」


「なら来月を楽しみにしていろ。恥を掻くのは貴様らだ。挑発した事を後悔するなよ…全部門で我等が勝つだろうしな…」


「はいはい、わかりました」



 教国の人達は帰っていった。そしていつの間にか僕は、賞品になっていた…。まぁ、良いか。敗けるとは思えないしね。



「あれで良かっただろ?」


「はい、ジーク様」


「敗ける要素は…彼等には悪いが、全く無いな」


「ええ、ジークの言う通り無いね。まずは来週の予選でしょう。そっちの方が大変ですな」


「私が予選でアントレンに、勝てるかどうかですからね…」



 もう教国が目に入ってない人もいるけど、それくらいのもんだろう。でもリリーシュ様は、僕達と繋げようとしていると思う…。ラルベリマルサーヌピヨン教国に何があるのか…。それはまだわからない…。



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