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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
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カズヤとキクチ、隠れてハマる


 珍しくカズヤさんが、お店にやって来た。こっちで暮らしているから、美容学校と家の行き来ばかりなので、基本パラレルに来る事は少ない。あるとしたら日本に戻るくらいだ。



「あれっカズヤさん珍しいですね。日本に何か用ですか?」


「ああ、サイトウさんが発電機作ってくれたからさ、家電品を持って来ようかなと思ってね!」


「それは良いですね!」


「無くても良いんだけどさ、折角だし!」



 サイトウさんはサーツリーク様とニール様に発電機を作ったが、他にも三台作っていた。それはサイトウさん自身とカズヤさんの分。こっちでの暮らしは平気だけど、何か必要になるかもという事で作ったそう。それともう一台は、ポンデリーン様の為だ。こっちで約二十年暮らしているけど、記憶が戻ったのなら良いのじゃないかと思ったらしい。テレビやDVDと一緒に、送って上げたそうだ。その結果、更にDVDを送るはめになったらしいが…。ダウタウーン公国の公族が、はまったらしい。当然だよね。



「マジックバッグは?大量になるでしょ、重いだろうし」


「ギルドに借りてきたよ。快く貸してくれたよ」



 昔は国宝級の扱いだったマジックバッグも、ナナセさんが魔法を進化させたせいで、ただの高級品程度になり、持つ人が増えた。ギルドや商人は当たり前の様に持っている。でもそんな簡単に貸してくれる物でもない。カズヤさんの人柄だろう。この世界に馴染んできた証拠なんだと思う。



「じゃあ行ってくるよ!」



※※※



 カズヤさんが、家電品等を持ち帰り暫くすると…。



「キクチ!俺んちに、ちょっと遊びに来いよ!」


「何ですか急に…」



 カズヤさんが誘ってきた。飲みに行く事はあっても、家に誘ってくるなんて珍しい…。何か怪しい…。



「まあ、そう言わずにさ、来いって!」


「わかりましたよ…」



 仕方無く、僕はカズヤさんの家に行った。その結果、カズヤさんの家である物にハマる事になる。ある物をこっちの世界に持ち込んだのだ…。



※※※



「じゃあ、ちょっと行ってきます」


「最近、店長何してるんですか?」


「師匠!怪しいですよ」


「そうね。キクチくん最近、仕事終わるとすぐ出ていくから…」


「ははっ、何でも無いよ!」



 僕はそそくさと出ていく。そしてカズヤさんの元に…。同志の元に行く…。



「おう!キクチお疲れ!」


「いや~!皆に怪しまれる様になってきましたよ!」


「俺もだよ。学生やマイにね。ソワソワしているのがバレてる」


「わかるなぁ。気になってしまうからなぁ」



 そうなんだよ。最近はこれに夢中になってるから、仕事に集中し辛い。これは美容師失格だ。いかんいかん。気を引き締めねば。でも本当に良い物を、カズヤさんは持ち込んでくれたよ。



※※※



「お疲れ様です。皆さんごゆっくりどうぞ…じゃ僕は少し出てきます…」


「最近キクチはすぐいなくなるな」


「そうですね。教国の話等もあるんですがね…」


「私が住んでるからでしょうか…」


「いえいえ、そんなんじゃありませんよ!そんな事気にせず、どうぞどうぞ!」



 ジーク様達にも怪しまれてるな…。まぁ良いけどさ。それよりも早くカズヤさんの元に行かなければ!



「よし!昨日一つの大きなミッションはクリアされた!今日は新しいクエストに行くぞ!」


「カズヤさん了解です!出来れば僕はこっちのクエストに挑みたいんですけど」


「そうだな…そうしよう!」



 僕達は、もう見えなくなっていた。何もかもそれだけになっていたんだ。



※※※



「今日はこのクエストにしましょう!カズヤさん!」


「そうだな、キクチ!しっかり整えて行こう!」



 その日も熱中していた。しかしその日はいつもと違う事に、僕達は気付かなかった。完全に油断だ。



「店長!何やってるんですか!?」


「カズヤ…キクチくんと何してるの…」


「ここがカズヤの家か、中々良いじゃないか」


「キクチ殿達が手に持ってるのは何ですか?」



 カズヤさんの家に、いきなり突撃をされた。僕の家でやると騒ぎになりそうだから、ここでやっていたのに…。僕達も熱中し過ぎて、油断もあったが…とうとうバレた…。



「あぁ~!ゲームを隠れてしてたんですね!ずるい!仲間外れにするなんて!」


「そんなに面白い物なのか?キクチが持っている物は」


「ジーク様…面白いんじゃないですか?キクチくんとカズヤが、毎晩こうして隠れて集まってるんですから…」


「ちょっと見せて貰えますか?」



 僕達二人は硬直してしまった。蛇に睨まれた蛙です。二人共気が付いたら、手に持っていた携帯ゲーム機を取られていた…。僕達がやっていたのは…そう、ゲーム。携帯ゲーム機で通信しながら、モンスターを狩るゲーム…。モンスターの部位や様々な素材を収集して、武器や防具を作ったりと、とにかく面白いゲームなんだよ…。



※※※



「えいっ!このやろっ!」


「うおりゃっ!そっちに行ったぞ!」


「そこは罠よ!罠を設置して!もう見てられない、代わりなさい!」



 僕達を無視して、皆は楽しんでいた。気が付けば、テレビ画面でもゲームをしている。カズヤさんが持ってきた、他の家庭用ゲーム機だ。



「何でこんな事に…俺の憩いの部屋と時間が…」


「カズヤさんすいません…もう諦めて下さい…多分暫く続きます…」



 この世界でまさかゲームが流行る事は無いよね…。普通、異世界で流行るとしたら、オセロとか将棋とかじゃないの?ナナセさんもそう言ってたよ?



「私とナナセでこのゲームやるから、キクチくんとカズヤのデータ消すから…」


「「え~っ!」」


「内緒にしてた罰です!」


「そっそれは勘弁して下さい!それは命に等しいんです!何でもしますから!」


「何時間もの苦労と努力、血と汗と涙の結晶なんです!何なら新しいの買いますから!」


「「言ったな」」


「「えっ?」」




※※※



 迂闊な発言が元で、僕達はゲーム機を買わされる事になった。更に僕の家にも設置させられた…。酷いよ…。二人でただゲームを楽しんでいただけなのに…。



「でも僕達もまだやり混みが甘いですから、続きはやっていきますよ!」


「そうだ!サイトウさんにお願いして、家に入れて貰おうぜ!あいつらがいると、うるさくて集中出来ないからさ!」


「そうですね!そうしましょう!何ならサイトウさんにも協力させて、三人パーティーにしましょう!」



 新たな憩いの場を求めた僕達だったけど、結局またマイさんとナナセさんに捕まる事になった。何故なら、二人のゲームを協力させられたからだ…。何でもするって言ったしね…。同じゲームをしているのは迂闊だったよ…。僕達そこはとっくにクリアしてるんだよ…。その上のランクに入ってるんだよ…。でも文句も言えず、協力して二人のランクを上げましたよ…。素材も集めました…。モンスターも倒しました…。でもそういう事ってあるよね…。



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