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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
88/136

漫画『がんばれ!タハちゃん!』、大ヒット


 久々にタハラシ様が来られていた。最近までサロンの街を避けていたが、その必要が無くなったのだ…。母親のナヤマンさんのせいで、サロンの街ではタハラシ様のマヌケな噂が、かなり広まってしまった。でももう気にする必要はない。何故なら…世界に広がったからだ…。



「くそっ!この漫画のせいで、私は笑い者だ!」


「ぷぷっ、違いますよ…人気者ですよ…ぶふっ…タハちゃん…」


「キクチ殿まで…笑うなんて…!しかも私だけ…漫画化の話を知らなかったらしいじゃないか!」


「まぁそう言うなタハラシ、伯母上もそんなつもりではないのだから…」


「だから、困るんです!まさかあんなに売れるなんて…私はどこに行っても笑われる…」



 そうどこにいても、同じになってしまった。大ヒット漫画『がんばれ!タハちゃん!』のせいで。『銀の翼』を超す勢いらしい。プルトンさんもナヤマンさんも、嬉しそうに報告しに来た。



「確かに事実かもしれないが、あんなに誇張されると…しかもたまに出てくる、ママ…いや母上の絵は何だよ!」


「それがヒットの要因ですよ。漫画はそういう物です」


「アントレンにもバカにされ…インペリアルガードの部下や、城内にいる皆にまで…いつも笑いを堪えてるんだ…屈辱だよ…」


「暫くの間ですよ…すぐ新しい物に、また目移りしますよ…」


「ならキクチ!私は暫くここに住むからな!ここなら皆の目を気にせず、仕事も出来るしな!決めた!絶対に住む!」


「えっ」



 そんな我が儘な…。あっジーク様は我れ関せずだ…。まぁ部屋も余ってるし、暫くなら良いけど…。ずっとは勘弁してよね…。



「そうなると…俺も毎日来ないと行けないな…」


「そうですな…私もです…たまに寝泊まりも必要になりますね…」


「ジーク様…ヤッカム様…」



 やられた…。タハラシ様は、基本ジーク様から離れない。王の守護が一番の仕事だから。そして優秀な人だから、王の側近としての書類仕事も多くある。だからジーク様と一緒にいるのが、普通なのだ。だからといってタハラシ様がここにいるから、ジーク様達も来るってのは話が少し違うよ…。絶対にDVDとか楽しみにしてるよ…。



※※※



 その後も『がんばれ!タハちゃん!』は売れた。早く二巻を見せて!という声も凄く多い。ナヤマンさんもネタに困っていない様で、プルトンさんと二巻を製作し始めた。このままいくと、永遠に家から出ないよ…。そんな時…。



「小さい子供達の間で、裸で草むらを走る事が、流行っているそうです…」


「子供達の間で、お尻をプリプリさせながら、剣を振る謎の修業が流行り出しました…」


「川でお尻だけ浮かす謎の潜水術が…」


「鼻の穴から水を飲むという…」



 子供達の間で変な流行が生まれ、漫画ギルドには苦情が届く様になった。そう…漫画のタハラシ様の行動が流行り、変な影響を与えてしまったのだ。日本でもこういう事あるけどさ…。悪質なクレーマーだけは注意ね。



「俺は別に構わないが…」


「私は構います!親には、軽蔑の目で見られる様になりますよ!子供には、謎の変態ヒーローでしょうしね!」


「キクチ…何かないか?」


「うーん、そうですね…多分これから教国と何らかの問題が起きそうですから、そこで活躍した漫画を描いて貰うとか…」


「それはいい案ですね!ジーク様、問題が起きた際は最前線に立たせて貰いますからね!」


「…好きにしてくれ…」



 取り合えず、それくらいしか思い付かない。ジーク様もいい加減、少し呆れてるな。僕も同情出来る部分はあるけど、正直どうでも良いとも思ってるからね。タハラシ様、ごめんなさい。



「それで実際はどうなんですか?」


「密偵らしき奴は見付かっている。各国でな…だが物を買ったり話を聞くぐらいで、悪さまではしてなさそうだ。態度はかなり悪いらしいがな…かなり上から物を言っているそうだ…」


「そうですか…その内ここにも来そうですかね…」


「多分な…それならタハラシがいるのは、丁度良いかもしれんな…」


「そうですね…」


「私が蹴散らしてやりますよ!安心して下さい!」



 急に張り切られても困るけど、安全は大事だし仕方無い。不幸中の幸いってとこだ。



※※※



「タハちゃん!お弁当持ってきたわよ!差し入れもあるわ!」


「ママ~!頼むから止めて~!」


「何を言ってるんですか!キクチくんやナナセちゃんの世話になるんでしょ!お弁当ぐらい用意しておきなさい!後、親としても挨拶くらいは、改めてしておかないとね!」


「そういうのが、私の噂になって、また笑い話になるんだよ~!」


「良いじゃない。タハちゃんは人気者になりたいんでしょ?」


「こういう事じゃないんだよ~!カッコ良くなりたいんだよ!」



 それはもう無理かもしれない…。タハラシ様、頑張れ!がんばれ!タハちゃん!



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