海と水着、贅肉と期待
次に向かう国は、ダウタウーン公国だ。本来ならゲーイジューツ皇国から、船で向かうそうだ。でも今は転移陣があるから、簡単に行ける。国自体は小さい島国らしい。更に今の時期は、気候が結構暑いらしい。それでちょっと前に、ある提案をスタッフにしていた。
「今度さ、ダウタウーン公国に行くんだけど、皆で行かない?大分暑いらしくてさ、海水浴とかしない?海の幸もあるし、バーベキューとかもしてさ!定休日と一日休みを増やして、向こうで一泊しようかと。連休だね」
「行きたいです!ていうか行きます!」
「師匠!アタシも連れてって下さい!」
「私も行きたいけど…学校は何とか…カズヤに任せるか…」
という事で、遊びに行く事が決まった。ちゃんと依頼もこなすしね。美容講習と漫画ギルドの見学、それにサイトウさんも連れていく。ポンデリーン様も、父親で公主のショークパ様に、とうとう紹介するらしいからね。でも今の父親よりも年上だろうからな…。少し不安だ…。
※※※
「私達も行くわ」
「ああ、そうだな面白そうだ」
「ええっ…」
いつもの様に、次に向かう国の説明をしたところ、ジーク様やディーテ様も行く事に…。たまたま今日ディーテ様もいたのが、タイミング悪かったかも…。こりゃ子供達も来るな…。関係ない話だが、まだタハラシ様は、サロンの街に寄り付かない。最近は全然会わない。まだ噂を気にしてるそうだ。
「それでその水着は、どういう物なの?」
「えっ?知らないんですか?」
僕はスマホを取り出し、ネット検索した写真で説明した。
「こんなの恥ずかしくて…着れないわ!」
「俺は平気だな。確かに女は大変そうだな」
「そうですか?僕達は、これくらい当たり前ですからね…」
流石にディーテ様に、ビキニは着させられないか。王妃様だし、若く見えるけど三十代後半だし…。マリー様なんかは、可愛い気もするけどね。取り合えず女性の水着は、ナナセさんに聞こう。
※※※
「良いじゃないですか、これくらい」
「無理よ…マリーにこんなの…私も恥ずかし過ぎる…」
「じゃあ私達は好き勝手しますから、ディーテ様達も好きなの着れば良いんじゃないですか?」
「それはそれで、悔しいじゃない…」
我が儘だ…。でもジーク様とルード様の水着は僕が適当に買ってくる事になった。多分付いてくるであろう、アントレン様の分もね。きっとマイさんの、水着姿を見に来るはずだし。ヤッカム様も来るかな?
「ディーテ様…もしかしてお腹のお肉とかが、気になってるんですか?」
「……」
「下着の上とかに、お腹の肉は乗りますか?」
「……」
「二の腕は、タプタプしてますか?」
「……」
あっ、多分贅肉を気にしてるな。
「わかりました…ちょっとこっちに来て下さい」
「なっ何をする気なの?」
ナナセさんはディーテ様を、誰もいない部屋に連れていった。
「いっイヤー!助けて!」
「観念しなさい!」
「脱がさないでぇ~!」
「諦めなさい!」
「そっそこは、つままないで!握らないで!」
「ここはどうだ!」
「キャー!みっ見ないで!揉まないでぇ~!そこだけは堪忍しておくれ!」
おいおい何してる…。こっちも恥ずかしいよ…。
「ジーク様…すいません…一応、先に謝らせて下さい…」
「いや…いい…流石ナナセだな…王妃相手にあそこまでする奴はいないぞ…」
「そうですね…」
暫くすると、二人は戻ってきた。ディーテ様は涙を流しながら「お嫁に行けない」と言っていた…。もうお嫁に行ってるのにね…。結局ナナセさんが、ディーテ様とマリー様を連れて、日本に水着を買いに行く事になった。それとオーパイさんもね。女子四人で楽しく水着を選ぶそうだ。楽しいのは、ナナセさんだけかもしれないけどね。特にディーテ様は怯えてるから…。
※※※
「サイトウさんも、一泊出来そうですか?」
「ああ、問題無さそうだ」
「何か必要な物とかあります?」
「そうだな…そしたらアスカ…いやポンデリーンにも、水着を選んどいてくれないか?お金は出すからさ」
「それは良いですね!サイトウさんも、何か持っていくんですか?」
「俺は新しい魔単車や、新作の海のボートもあるぜ。ギルドにマジックバッグも借りた。父親に会うんだ。50過ぎのオジサンでも気に入って貰いたいからな」
サイトウさんも張り切っている。これは楽しくなりそうだ。たった一日でも、久々のバカンスって感じだ。それに大魔王サーツリーク様の発電機も、大分開発は進んでいるそうだ。海でも色々な家電があると、便利だよなぁ。これからに期待だ!
※※※
数日後ナナセさんと、ディーテ様と、マリー様と、オーパイさんは水着を買ってきた。ナナセさんとマリー様は、とても嬉しそうにしていた。ディーテ様だけ、顔が暗い…。
「揉みくちゃにされたわ…あんな辱しめ…」
「水着だけでなく、下着も沢山買いました。ねっマリー様!」
「うん!凄く楽しかった!可愛いのいっぱい買えたし、お姉さん達が優しくしてくれたよ。プロポーションも褒められたしね!」
「アタシもかなり褒められたなあ。ボンキュッボンだってさ」
「ディーテ様は…」
「肉感的に素晴らしいそうよ…私だけ三人とは違う褒め方だったし…更に私だけ、矯正下着なんていう物も薦められた…悔しいけど買ってしまったわ…」
「そうですか…」
なんかディーテ様は落ち込んでるよ…。ダイエットなり、運動なりして下さい…。まぁとにかくダウタウーン公国の海に、早く行きたいなぁ。仕事もちゃんとしますしね。全てはバカンスの為に!




