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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
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ヌーヌーラ共和国、お見合い話


 またちょっとした問題が起きた。ヌーヌーラ共和国が、余計な事を言ってきたのだ。商人のマダマダ様がね。髪をカットしに来ただけなのに、余計な事を言ってきた…。



「婚約者はいないんだよね?」


「はい…まぁ…」


「それなら、うちの娘と会ってくれないか?」


「いや…結構です…何ですか突然…前も言ったじゃないですか…」



 マダマダ様はちょくちょく娘を紹介しようとする。そもそもヌーヌーラ共和国は、すぐ隣の国という事もあり、国交が再開してから様々な人が来る様になった。なので、僕は訪問を急いでする必要が無く、助かっている。それに教会トップのサッパーリ様は、今は研修という形でこの街に住んでるし、騎士団長のタオシマ様も、しょっちゅう騎士を連れてアントレン様達と、合同訓練をしている。マダマダ様も仕入れ等で、良く王都やパラレルに来る。ギルドの交流も多いみたいだし。だからヌーヌーラ共和国に、行く必要がない…。



「そうでもしないと、ヌーヌーラ共和国に来てくれなさそうだからね」


「いつかは遊びに行きますよ…」


「でも、そういう結婚話は来るんだろ?」


「いえ…全く…」


「えっ?本当に?こんなに優良物件なのに…」



 周りで話を聞いていたスタッフやお客様は、確かになんて顔をしていた。学生達もこそこそと喋り始めた。元貴族達…変な気を起こすなよ…。ただ、ナナセさんには、汚物を見る様な目を向けられた…。何でだよ…。



※※※



「何でこんな事に…」


「沢山来たね…キクチくん…」


「マイさん…どうすれば…」



 数日後には、大量のお見合いの申込み、貴族の招待状が届いた。他国からも沢山来ている。中には直接訪問をしてくる者もいた。



「逆に、何で今まで気付かなかったのか不思議だよ。こんなに、この世界で結果を出してる男を、ほっとくかね…。マダマダ様が驚いてたのも良くわかるよ。ナナセが恋人だとでも、思ってたのかしら?」


「お姉ちゃん!変な事を言わないで!」


「確かに…前、お城に招待された時も、同じ部屋に泊まらされたしな…」


「あら?その話は聞いてないよ。ちょっと詳しく聞かせてよ」


「お姉ちゃん、止めて!店長も余計な事を言わないで下さい!」



 でも困った事になった。ジーク様にお願いして、止めて貰えるか聞いてみよう…。



※※※



「そうか、そんなに来たか…求婚が」


「はい…困ってます…ジーク様に、何とかして貰いたいんですけど…」


「でも俺達も、全然気付かなかったからな。その話を聞いた時、マダマダにやられたと思った。確かに優良物件だ」


「それだけ、ナナセが普通だったのかもしれんな」


「ヤッカム様…そういう事を言うと…怒られますから…」


「ふふっそうか。でも無下にも出来ないからな…キクチを手元に置きたいと、考えるのもわかる。まぁ私達は、無理強いしないけどな」



 ジーク様に相談した結果、断り辛い事が良くわかった。確かに下手に断るのもなぁ…。どうしよう…。



「ならキクチ、希望を出せ。会う為の、最低限の条件を決めておこう。そうすれば減るさ」


「そうですな。そうしましょう。キクチ、理想を高くして断れば良い」


「はぁ…何か嫌な奴みたいじゃないですか…偉そうですよ…」



 でも結局そうした。今が大変だから、これ以上増えても困るしね。条件は、商売でしっかり利益を上げられる人。身長が僕より低い人。胸の大きい人。ナナセさんに認められ、二つ名を持つ人。以上だ。ポイントは、商売人で二つ名持ちの武人という所だ。これなら該当者はいない。因みに、胸の大きい人はジーク様が決めた。ナナセさんは信じてくれないけど…。僕じゃ無いんだ…。ただ嫌いじゃ無いけど…。



※※※



 それから、お見合いの希望等は無くなった。王国内、各国に伝えたからだ。その知らせを聞いた、マダマダ様が仕入れのついでに、またやって来た。



「キクチさん、やってくれましたね」


「はい…すいません…」


「ふふっ、でもこういう展開は、予想の一つにありました」



 本当に?勘弁して下さいよ…。もしかして、次の策でもあるのか…。



「実は、私の娘が商売上手でして…」


「えっ」


「身長もキクチさんより低くて…」


「えっ」


「胸も大きくて…」


「……」


「今は騎士団に所属してます」


「嘘でしょ…」


「今年の武闘大会で、どこまでいける事やら…優勝すれば二つ名ですか…」



 嘘だろ?そんな逸材、そうそういる訳ない。



「騎士団の五本の指に入る、実力者です。私が言うのも何ですが、才能があります。去年まで、私を手伝って商人をしてましたが、武闘大会に影響されましてね」


「じゃあ…まだ一年も経ってない…」


「そうです。凄い才能でしょ?楽しみだなぁ。胸が大きいと言ったら嬉しそうだったし、早く会わせたいなぁ」



 こりゃ…本当にお見合いする日が来るかもね…。いや参った。マダマダ様も、してやったり顔をしているよ。ただ、さっきからやけにナナセさんの視線を感じる…。睨んで無いよね…。気のせいか殺気も…。振り向けないよ…。



※※※



「ナナセまだ怒ってるの?良いじゃない別に」


「怒ってません!ちょっと胸が大きいで、反応した店長を軽蔑しただけです!」


「嫌だね~!胸のコンプレックスは!嫉妬も見苦しいよ」


「お姉ちゃん!何それ?嫉妬なんかしてません!私だって、胸はそこそこあります!これだから、バツイチの年増は困るんです!」


「何ですって!?もう一回言ってみろ!」



 いつの間にか、姉妹喧嘩が始まっていた。もう誰も近付けない…。鬼神降臨だよ…。二体同時召喚だ…。



「キクチくんはどう思うの!?私は年増なの!?」


「店長!私はペチャパイじゃ、無いですよね!?」



 何故、矛先が僕に…。オーパイさん、知らんぷりは良くないよ!助けて!誰か止めて下さい…。英雄よ現れて下さい…。



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