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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
72/136

美容学校、二年目スタート


 両親の命日とパラレルの二周年である、1月10日も無事に過ごし、もう美容学校二度目の入学式だ。過ぎるのが早い。そしてディーテ様の長い挨拶と、マイさんの簡単な挨拶が終わり、僕の番。



「皆さん、入学おめでとうございます。これから色々と大変ですが、自分の為、自国の為に頑張って下さい。先輩や各地にある美容室、そして僕達に負けない、素敵な美容師になって下さい。そしてこの世界のオシャレの歴史を変えましょう!」


「「「「「はいっ!」」」」」



 今年も全員やる気満々だ。貴族籍から抜けただけはある。参加国は、オースリー王国、アカサタナ帝国、デリタム王国、ヌーヌーラ共和国、イキシチニ帝国、ゲーイジューツ皇国、ダウタウーン公国の七国。エルフィからの参加者はいないが、エルフもいる。そしてサハラ様も。でもサハラ様含めここにいるメンバーは、卒業するまで様付きで呼ばれる事も無く、侍女等の助けも無い。各国十人前後で、総勢八十名の新しい生活に、取り合えず乾杯だ。



※※※



 入学式が終わり、皆は早速授業に入る中、僕は各国首脳陣に捕まる。皆さんも、入学式を見に来ていたのだ。



「ナナセと共に来てくれ!我が軍の名前を付けて欲しい」


「私の国でも、オシャレ指導お願いね!」


「僕達の国にも、漫画ギルドを作ったよ。見に来てくれ」


「うちの娘を嫁にしないか?良い金になるぞ」



 案の定、色々と頼まれた。マダマダ様から、ちょっと怖い要求もあったけど…。さすが商人…。ジーク様の言ってた通り、こりゃ行かなきゃだ。まあこの世界の為であり、リリーシュ様の為だから、しょうがない…。



※※※



「きっきついっ…」


「はぁっ…はぁっ…」


「くっくそっ!」


「騎士より大変だぞ…」


「妾も死ぬかも…」



 歓談も終わり、皆さんで授業を見学に行くと、早くも学生は虫の息だった。初日から何をしたんだよ…。去年より明らかにハードだ。まだ始まって一時間位だぞ?



「カズヤさん、初日からキツ過ぎません?」


「実はね…始まる前にさ、学生達の何気ない会話で、「マイ先生っていくつなんだろう…30歳位かな?」みたいな会話が聞こえてきてね…」


「なるほど…それは…どうにもなりませんね…」


「ああ…本当にね…一瞬で超スパルタさ…」



 鬼神が降臨してしまった様だ。申し訳無いが無理だ。今日は頑張って貰うしかない。マイさんの鬼神化を知っている各国首脳陣も、冷や汗を流している。本能でカナヤ様は魔神化、ライオトーラ様も獣神化しているし…。まさかもう脱落者出ないよね…。頼むよマイさん…。ていうか、余計な事を言うなよ学生も…。



「キクチよ、やり過ぎではないか?」


「キニユ様、確かにやり過ぎですが…」


「止められないの?」


「オターク様、出来ません…」


「何故ですか…?」


「シャームネー様…誰が止めるんですか…」


「「「「「……」」」」」


「皆さん、アントレン様が、マイさんの年齢を口に出した時…どうなりましたか…」


「「「「「……」」」」」


「多大な被害を避ける為にも、見守るしかありません。無事を祈りましょう…そして巻き込まれない様、今のうちに僕達もここを離れますよ…」



 皆もコクコクと頷き、足早に立ち去ろうとする。しかし…。



「あら、皆さんお揃いで…折角ですから、参考までに授業に参加して貰いましょう」


「えっ、マイさん?」


「各国のリーダー達ですから、多少厳しくても、問題無いですね。さあ始めましょう」


「「「「「ギャー!」」」」」



 その日、練習場では多くの悲鳴が聞こえた。しかし誰も何があったか、答える者はいない…。新入生も、誰が最強かをしっかりと理解し、これからも励んで貰いたい…。



※※※



 そして明日からは、二年生がパラレルでの常勤と、講師活動と、美容室経営が始まる。学生はその話に歓喜し、かなり張り切っている。特に自分達で店をする事は、楽しみでしょうがないらしい。



「よしっ!この値段設定でいこう!」


「早くローテーション回ってこないかな~」


「一応もう一度確認しておこう」



 明日からの新しい生活に向け、最終確認をしている。ボロボロになった僕達が部屋に入っても、中々気付かない。是非頑張って欲しい。因みに新店舗は『ルーキーズ』と名前を付けた。新人だからね。値段も僕達の六~七割位の設定だ。多分苦労する。本人達が、まだ気付かない事も多いからね。といった感じで、美容学校の二年目はスタートした。さてこれからどうなる事やら…。



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