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異世界美容室  作者: きゆたく
二年目、異世界隣国騒乱篇
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今年の報告、来年への展望


 気が付けば、もう年末が近くなっていた。寒くなり、軽く雪も降っている。もう殆どの行事は終わっていた。信仰祭は去年と同じく、仮装大会だった。今年は他の街や、王都でも行われ大分盛り上がった。他国でも噂を聞き付け、各国で行われたらしい。でもどうやら花火だけは、どこも中々完璧に真似する事が出来ないらしく、悔しがっていた。どうやら完全に、ハマナンさんのオリジナル魔法になっているらしい。



「あっという間に、二年目も終わりそうだね」


「そうですね!来年はもっと楽しいですよ!サイトウさんやカズヤさんもいますしね!」


「苦労の方が多そうね…特にキクチくんは…」


「師匠!アタシも助けますから、大丈夫です!」



 オーパイさん…期待出来ないよ…。大変なのは間違い無いもん…。



「あーあ、今年は店長に、謎の緑肉食べさせられなかったなー!」


「噂の?何で嫌なんだっけ?」


「そのエピソードは、永遠に封印です!」


「師匠…慣れですよ、慣れ。アタシはそれでもあんまりですけど…」



 この世界で、嫌いな物ランキング一位の謎の緑肉。いつかこのエピソードを話す日が、来るのだろうか…。



「でもサイトウさんもカズヤさんも、こっちに住むんですね!」


「まぁサイトウさんは、ポンデリーン様の事もあるからね」


「…カズヤは、ただ面白そうだからでしょうけど…ノリね。きっと」



 カズヤさんは、美容学校の近くに家を借りた。サイトウさんは、ディンドンさんに薦めて鍛冶ギルドで働く事になった。ディンドンさんも、楽しみにしている。その結果、サイトウさんもギルドの近くに住む事になった。そして年内にはやって来る。二人共この世界の住人になったのだ。



「ユウリさんの、結婚式も終わりましたしね!」


「そうだね。無事ポンデリーン様も行けて良かったよ」



 サイトウさんとポンデリーン様の娘、ユウリさんの結婚式も無事に行けた。一緒に僕とナナセさんとアントレン様とクロワツ様が付いていった。結婚式には、ポンデリーン様とナナセさんが参加した。ナナセさんは、一応フォローとしてね。そのおかげで僕は、アントレン様とクロワツ様の面倒を見る事に…。そして近くのゲームセンターやレストランで、大はしゃぎ…。目立って大変だったよ…。



「美容学校は上手くいくかな?」


「大分人員は選抜されてるみたいだけど…」


「問題児がいたら、アタシが締めてやりますよ!」



 まぁ来年が始まったら、すぐ入学式もあるからね。近い内に報告が来るだろう…。



※※※



「何とか八十人に絞ったわ」


「お疲れ様です。ディーテ様」


「各国で厳選されて、更に私達が厳選しましたからね。問題は無いと思うわ」


「それは良かったです。僕も安心しました」



 ディーテ様達の報告会だ。取り合えず無事に済んだ様だ。マイさんやカズヤさんに苦労は掛けるけど、問題は少ない方が良いからね。因みにサハラ様も選ばれた。前もって僕にも挨拶にも来たしね。カナヤ様や他でも報告は聞いていたし、すぐ了承した。



「でも色々あってね…お父様…詳しく教えて上げて…」


「そうだな。キクチの言ってた通り、他国も含め各地に美容室が出来ている」


「ヤッカム様、別に構いませんが…」



 本当に構わない。僕達が、遅れを取るつもりも無いしね。この世界の発展には、必要だと思うし。



「各地のギルドや商会も協力し、新しい製品も作られつつある。粗悪品もまだ多いが…」


「良いですよ。もし良い物が出来たなら、僕も欲しいですし、参考にしたいです」


「欲が無いな…」


「例えば…僕達の商品を、中身だけすり替えて販売等してたら…厳罰ですよ勿論。勝手に僕達の名を語って、商売をしても許しません」


「それはそうだが…」


「前も言いましたけど、僕達が認めた者は認可証が与えられます。一種のブランドです。他に負けるつもりも、ありません。ね、マイさん」


「まあね。私達にもプライドがあるから、どこに出しても恥ずかしくない所まで鍛えるしね。これからそんな人達が、各地に向かったらどうなるか…」



 大変な事になるだろうな…。間違い無く…。



「私とキクチくんの見解だと、きっと各地の美容室は、淘汰されます」


「そんな事になるのか?」


「ええ、例えば…チビッ子が百人いて、そこにアントレン様が放り込まれます。勝つのはどっちですか?」


「間違いなく、アントレンだろう…」


「そういう事です」



 良い例えだ。でも間違い無くそうなる自信が、今はある。



「もし今の生徒達が各地に店を出した場合、国から認められた施設です。そして皆、貴族に戻ってますから、誰も手を出せません」


「そうなると…犯罪行為も抑止されるし、誰も対向出来ないのか…」


「そうなんです。だから力を付けて、願わくば僕達のライバル美容師軍団や組織になって欲しいです。ゆくゆくは、美容学校も開いて欲しい」


「そこまでか?」


「そうなれば、美容室も増えますし。お互いに刺激され文化が発展します。大会なんかも開いたりしたら、きっと楽しいですよ。だから来年は無理でも、近い将来はそういう方でも、こっちの美容学校に入学して貰いたいです」


「そんなに深く考えるのか…」



 そうしなきゃ、発展はしない。競合の無い世界は、常に停滞するからね。



「キクチは凄いですね…。お父様このまま様子を見ていきましょうか」


「前も言ったが、酷い所だけは処理しよう。大きな金の流れは、商人だろうが貴族だろうが、道を踏み外すからな…」


「そうですね…よろしくお願いします」



 そうして話は終わった。この世界もオシャレを覚えて、急速な発展をしている所だ。善し悪しはあるだろうが、上手く発展する事を僕達は祈る…。



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