美容学校と新店舗、新しい人
コンテストも終わり、来年の美容学校の入学者を決める。そして今いる学生達はどうするか、それを決める。今はその会議中だ。
「この間のコンテストもあったから、どの国もそして国内も応募が増えたわ」
「ディーテ様…因みに何人位…」
「大体合わせて、四百人ね」
「それは…無理ですね…」
無理だ。教えるのは学者教師が二人、技術はマイさん一人、たまに僕達が行くだけ…。明らかに足りない…。十五人でも充分大変だったし…。
「学者は二人増員出来るけどね…」
「こういう時は、店長が良い案を出します!」
「そうね。キクチくんに任せるわ」
そんな殺生な…。しかし考えないとね…。かなり強引だけど…。この世界なら…行けるかも…。
「じゃあ、こんなのどうでしょう。一軒美容室を作りましょう。それを今の学生達にやらせます」
「えっ?大丈夫?」
「大丈夫ではないです。まあ聞いて下さい。今の学生達に必要なのは、実践と経験です」
「そうね」
「で、今の学生は学校の勉強と実習を止めて、これからはパラレルと、学校と、新しく出す店で働いて貰います」
「キクチくん、名案よ!」
「どういう事?」
マイさんはすぐに気付く。流石だ。他の人達は、理解出来ていない。
「パラレルでは三人働いて貰います。人手も足りないですしね。学校で五人が技術講師をします。今までの復習にもなるし、教える事で新しい発見もあるでしょう。そして七人が新しい美容室です」
「でも新しい美容室は営業出来るのか?」
「ジーク様、それは出来る出来ないではなく、させます。基本的には自分で考えて貰いますけど、アドバイスはします。今後、一人立ちする為にも良い経験になります。そして値段も僕達より低めに、設定して貰います。パラレルではカット4000リルですから、2500リル位でどうでしょうか。それに出来ないメニューはさせません」
多分問題無いはず。上手くいけば利益も出るはずだ。
「なるほど、修行の場という事か…採算が合うか計算してみるか…」
「ヤッカム様多分大丈夫です。最初は苦労するかもしれませんが、給料や材料も多分問題無く出来るはずです」
「根拠はあるのか?」
「嫌味っぽく聞こえるかもしれませんが、僕達がかなり利益上げているので…」
「ははっ、それは心強い!」
「空いた時間で、学校で練習や勉強をして貰います。それで売上や結果等を見て、時期が来たら卒業です。そこからは、どこに行くのも自由です」
卒業は、全員一緒が良いだろうけど場合によっては、中々卒業出来ない人が出てくるかもな…。
「今までの実習は、来年度の生徒に引き継ぎましょう。その実習も、他の場所を増やさないと…それと週二日を、週六日にしましょう。毎日二十人は実習出来る様に組みます」
「ああ、それは調べてある。教会と母親商会とかな、漫画ギルドもある。孤児院にも無償で行かせるつもりだ。去年の評判が良くてな、忙しいのもあってか、どの実習先も毎日来てくれると嬉しいそうだ」
「良かった…でもそこまでしても…採れる学生は精々五十人ですね」
「それ以上は無理か…」
「一番の問題は…しっかり教える事が出来るのが、マイさんしかいないって事ですから…」
それはどうしようも無い…。まずは今の学生が育って、いつか先生になってもらうしか…。かなり時間が掛かるけどね…。
「はぁ…仕方無い…私に一人だけ当てがあるわ。それが上手くいけば八十人は行けると思う…実習先も毎日三十人は出せるでしょうし…」
「お姉ちゃん…まさか」
「マイさん…それは止めた方が…」
「なんだ?人がいるなら助かるじゃないか。何が駄目なんだ?」
それは止めた方が良いと思う…。何故なら…。
「日本人という事もあるけど…まぁ、問題があるとするなら…私の元旦那って事ね」
「「「「「えっ!?」」」」」
皆が驚く…。特にアントレン様が…。口をあんぐりと開いている…。
「仕方無いでしょう。秘密を守れて、技術のある人はそれくらいよ。キクチくんもわかるでしょ?」
「まぁ確かに信頼は出来ますね…でもマイさんは…」
「良いの!問題無し!決定!じゃあ皆さんは、そのように準備してて下さい!」
その後、マイさんが連絡する事になり、ひとまず解散。アントレン様は、かなり不安気だったけど…。
※※※
「お姉ちゃん本当に良いの?」
「別に嫌いではないし大丈夫よ。それにまだOK貰った訳でもないし」
「マイさん…あの人は100%OKしますよ…」
「そうだよ。そういう人だよ!」
「はいはい。わかったわかった」
さてどうなる事か…。不安で、堪らないよ…。ノリノリでパラレルに来る姿が想像出来るもん…。




