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異世界美容室  作者: きゆたく
二年目、異世界隣国騒乱篇
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魔族の王妃サハラ、我儘暴走


 サロンの街に、魔族が来るようになった。服や商品、パラレルにもやって来る。基本、空からやって来るので皆驚いていた。でも最初だけね。この国なのか世界なのかわからないが、とにかく順応性が高い。あっという間に慣れてしまったのだ。王都や他の街にも来るらしい。



「私のおかげですね!」



 と、得意気なのはナナセさん。彼女が教えた詠唱で、格段に速く効率良く移動できるようになったからだ。かなり喜んでいるらしく、ナナセさんに感謝の言葉を告げる方も多い。経済が回るのは良いけど、関所は大変らしい。中には勉強の為にも、ギルドやお店で、働きたいなんていう人もいる。この人もそんな一人だ…。



「良いではないか。何でダメなんじゃ!」


「サハラ様は、アカサタナ帝国の王妃様じゃないですか」



 魔族は自由な人が多い。特にこの人は、相手の迷惑もあまり考えない。朝一で、今は営業中だよ…。確かに他の魔族の人も、気軽に国を越えてくるし、後先考えずにこの街で散財したりしている。でも、良い人だ。計画性は無くても迷惑は掛けない。でもサハラ様は少し違う。元々、高位貴族で更に王妃様になったのだろう。かなり我儘なのだ…。魔王のカナヤ様は、あんなに良い人なのに…。



「サハラ、だから言っただろう。キクチも困ってるじゃないか」


「カナヤは黙ってるのじゃ!」


「困ったな…」



 カナヤ様も説得中だ。カナヤ様もサハラ様に無理なのは多分わかっているのだろう。この傲慢な性格で、接客業なんて出来るわけない。帰ってもらうしかないよ…。多少強気に言わせてもらおう…。



「他のお客様もいますので迷惑です。申し訳ありませんが、今はお帰り下さい。営業終了後なら話だけは聞かせて頂きます」


「ほらキクチもこう言ってるから、サハラまた後で来よう」


「……」



 あっサハラ様の目に涙が…。そんなに酷い事言ってないよね…。



「……」



 ヤバイヤバイ!周りの皆も少し動揺しているような…。カナヤ様も、あちゃーって感じだ。



「うわぁーん!」



 号泣…。確か95歳とか言ってたよね…。見た目が幼いからって、泣かないでよぅ…。僕が悪者?



「「泣ーかした、泣ーかした!」」


「煽らないでよ…」



 マイさんとナナセさんが煽る。あなた達も子供みたいな事しないでよ…。サハラ様がもっと泣くじゃん…。



「ほらサハラ、よしよし今は一端、帰ろうね…って、えっ!」



 カナヤ様があやしていたら、突然サハラ様にバチッと音がして、その瞬間外に出ていた…。サハラ様もビックリしている様だ。多分、お店に弾かれたんだろう…。それは加護が反応したという事だ…。つまりそれは…。



「サハラ様、僕達に危害を加えようと…?」


「あのバカッ!」



 慌ててサハラ様の元に向かうカナヤ様。そして僕達は呆然としていた。ナナセさんとマイさんも。オーパイさんや他のお客様もだ。加護が無かったら何されていたんだ?



「お前…今何をするつもりだった…」


「妾は別にっ…」


「何をするつもりだったと聞いている!」


「…」



 カナヤ様は激怒している。口調も高圧的だ。周りから見ていても良くわかる。そして僕も大分怒り心頭だ。もうサハラ様と今は話す気にもなれない…。お店の皆とお客様を守る為にも…。



「キクチすまん。すぐ謝りに来る」


「妾はっ!」


「黙れっ!」



 そのままカナヤ様はサハラ様を連れて、飛んでいった。あの方向は、多分王都の方角だ。ジーク様達の元に向かうのだろう…。間違いなく大事になる…。他国で王妃が武力を行使しようとしたのだから…。



※※※



 お昼過ぎには、ヤッカム様が来られた。今日の夜、また来るそうだ。アカサタナ帝国としてちゃんと謝罪に来るらしい。それだけ伝えると、すぐまた帰っていった。色々と対応するのだろう。



「店長…大丈夫ですかね…」 


「わからない…学校から帰ってきたらマイさんにも言うけど、ナナセさんも煽ったりしなければ…」


「すいません…」


「僕も言い過ぎたかもしれないけど…でもあそこで危害を加えようとしたのは…許せないね…仮にも王妃だし、そりゃ国際問題になるよ」


「ですね…でも良い人なのに…あんな事するなんて…」



 僕もそう思う。迷惑な人ではあるけど、そんな事する人ではないと思っていた。それだけに凄く残念だった。取り合えず営業終了後の、謝罪を聞いてから改めて考えよう。こんなトラブル日本では無いだろうなぁ…。そもそもなんでパラレルで働きたかったんだろう…。



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