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異世界美容室  作者: きゆたく
一年目、異世界王国飛翔篇
26/136

教会のトップ達、来店と退店


「キクチ様、大変申し訳ございません」


「なんの事ですか?それに、様付けは勘弁して下さい」


「僕達が特級神官に報告したせいで、明日ここに神官長様、聖女様、人聖様が来られます」



 謝ってきたのは、先日の結婚式でお世話になった神父様のシプナーさんとシスターのウルルさん。しかし実際はそんな役職ではなく、勝手に僕がそう思っていただけで、二人供ただの神官という立場らしい。それはともかくとして、神官二人は結婚式での出来事、主にリリーシュ様が降臨した事を特級神官に報告したそう。その結果、上が動く事になったそうだ。因みに教会は一般の信徒から始まり、神官その上が特級神官となっていくそう。それをまとめているのが神官長。同格で、特別魔力が強く賢い女性を聖女様といい、同様の男性を人聖様としている。つまり、その三本柱がやって来ると言うのだ。



「まあ、わからないでもないですけど…何故三人で」


「師匠は教会に目を付けられたんですかね?」


「色々あったからね…もしかしたら、ナナセさんかもしれないし…」


「私なら大丈夫です。店長が守ってくれますから!」


「ナナセそれはキクチくんに面倒を押し付けてるだけでしょ…」


「バレたか!」



 こっちは乗りが軽いなぁ。シプナーさんとウルルさんは、なんで来るのかは聞いていないらしい。突然の連絡で本人達も驚いているそうだ。



「面倒臭い人達ですか?怖いとか…?」


「僕達なんかは話した事もないです。お顔をたまに見るくらいで…」


「私もです…でも三人供派閥があるようで…特級神官であれば色々わかるかもしれませんが…」



 シプナーさんは一級神官、ウルルさんは二級神官という立場で、下級神官という扱いになるらしい。特級神官でもランクがあるようだ。明日三人が来れば色々わかるだろう。



※※※



 翌日は急遽、休日にした。慌てて予約の人に、連絡をしに行ったり、張り紙を張ったり。その様子を見てた街の人達は、何かあれば言ってくれなんて…惚れてまうやろー!ただ冒険者ギルドの人はトラブルか?と少し嬉しそうだったけど…。一応マイさんとオーパイさんは店に来ないようお願いした。何かあったら困るし、それにほぼ原因は僕かナナセさんだし…。



「そろそろ来ますね、店長」


「そうだね。一応外で待ってようか?」


「寒いからイヤです!」



 まだ寒い時期なんだよね確かに。でも変に機嫌も損ねたくないので一応外で待つ事にした。僕だけね…。そうしていると二十人程度の神官や騎士を連れた馬車がやって来た。



「よお!キクチ来たぜ!」


「アントレン様!なんでまた?」


「一応護衛でな…まぁ他にもな…」



 何かイヤな含みを持たせるな…。でも一人仲間が増えた感じで嬉しい。そこで馬車から人が降りてくる。若く優しそうな女性と、怖そうな中年男性と、ニヤニヤした小太りの青年。女性がきっと聖女なのだろう。



「あなたがキクチ様ですね!お会いしたかったです。私が聖女のチノピンです」


「ありがとうございます。キクチです」


「いつもシャンプー等使わせてもらってます!感謝してもし尽くせません!」



 真っ先に聖女様がやって来た。感謝までしている。きっと良い人だ。



「キクチ様、初めまして。神官長のライソと申します」


「初めまして。キクチです」


「…トニック…本当に感謝している。ありがとう」



 はい。良い人決定。元ハゲなら間違いなく僕達に感謝している。今フサフサだもんね。怖そうな方だったから最初焦っちゃったよ。



「お前が、キクチか…。下賎な者が…調子に乗るなよ」


「調子に乗ってなど…」


「黙れ。早く店に案内せぬか」



 こいつは面倒な奴だ。この世界でイヤな奴には会ってこなかったが、とうとう来た。脂たっぷりのポッチャリニヤニヤ男だ。まだ名前も知らないが、今日はこいつと戦うのだろうか…。



「こちらへどうぞ」


 

ドアを開け案内する。聖女様がウキウキしながら入っていく。神官長は堂々と入っていく。そして人聖様は…入れなかった…。



「どっどうなっている?」



 見えない壁に阻まれているようだ。何度入ろうとしても入れない。その後、他の神官が試すと、入れる人と入れない人がいた。人聖の派閥の人達か?



「キクチ何をした!」


「僕は何もしてませんよ」


「やっぱりね。そうなるんじゃないかと私は思っていました」


「うむ。私もだ」


「どっどういう事だ!」



 僕は正直に、女神の加護の事を話した。以前ここを襲った人達が、皆失敗をしている事も含めて。チノピン様とライソ様は、知っていたようだか。



「俺は何もしていないじゃないか!」


「まだな、まだしていないだけじゃないか?」


「もしかして悪巧みでもしていたの?カイーノ様は?」



 チノピン様とライソ様が問い詰めると、少し動揺が見られる。同じ派閥であろう人達も少し顔色が悪い。態度は悪いが、まだ何かをされた訳では無いので、話ぐらいは聞いてもいいが。それとお前カイーノっていうんだな。



「とりあえず教会にでも行かねえか?話ならそこでも出来るだろう?」



 アントレン様が提案する。皆がその案に納得し移動する事に。そこなら悪い事もしづらいしね。そしてナナセさんは店に残ってもらう事にした。店なら多分安全だし、向こうに敵意を持っている奴がいる以上、外には出てもらいたくないから。ナナセさんは、少し不安気な顔をしているが…。



「大丈夫ですか?店長…」


「大丈夫だよ。アントレン様もいるし、影もきっと見ていてくれると思うし」


「そうですか…気を付けて下さいね…」


「ああ!任せといて!」



※※※



 皆で教会に移動すると、待っていたかのように、シプナーさんとウルルさんが迎えてくれた。机や椅子の準備もされている…。まさかアントレン様、カイーノ様が弾かれるのわかっていて、予め準備していたのでは…。そのまま全員が席に座り、話が始まる。



「今日私達が来たのは、リリーシュ様についてなんだが…色々とね…」


「はい。それは聞かれると思っていましたが、具体的に何を…?」



 さて何を問われる事やら…。



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