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プロローグ「宇宙からの来訪者」

=宇宙空間・衛星軌道上・国際宇宙ステーション=


 現在地球全体がとんでもない騒ぎになっていた。


 巨大な円盤の出現である。

 更に周辺には小型の円盤も無数に存在する。


「すぐにこの映像を地球に報告しろ!!」


「きゃ、キャプテン!!」


 しかし無残にも国際宇宙ステーションは謎の集団の攻撃で破壊されてしまう事になる――筈だった。


『今のウチに逃げろ!? 脱出する時間は稼ぐ!!』


「こ、今度は巨人!?」

 

 宇宙ステーションを守る様に光の巨人が立ち塞がった。

 

「今すぐ全員脱出しろ!! 地球にはこう伝えろ!! 地球は宇宙人に狙われていると!!」  

  

 宇宙ステーションのキャプテンは指示を出す。


 そして全員が脱出を終えた後、光の巨人は姿を消し、宇宙ステーションは完膚亡きまでに破壊された。



 =日本・田舎町、青雲町=


 円盤群が旗艦と思われる巨大円盤と共に降り立ったのはよりにもよって日本の田舎町だった。


 天照学園ならともかくタダの田舎町には成す術がなかった。


 一応自衛隊も出動したが問答無用の攻撃に合い、全滅した。



 Side ジーニアス司令


 =アーカディア本部=


 ジーニアス司令は頭を痛めた。


 よりにもよって青雲町かよと。


 と言うのもジーニアス司令の産まれ故郷でもあるからだ。


 ただ周囲に馴染めず、あまり良い思い出はない。

 

 原因は自画自賛になるかもしれないがジーニアスは子供の頃から優秀すぎたからだ。

 それもギフテッドと言う言葉では説明がつかない程に優秀なのだ。天村 志郎とかもそうだったと聞く。

 それが原因で両親とも周囲とも上手く行かなかった。


 それでも両親は両親だ。

 無事だといいのだがと思う。


(とにかく今は奴達の襲来に備えないと)


 奴達の正体についてはグモたん達を通してある程度は検討はついている。

 間違いなく天照学園を狙ってくる。

 星雲町を降り立った理由も説明がつく。

 

 理事長、学園長を通して避難警報を発令。


 そして現在、青雲町にいるヒーロー部や悪の組織部達にも緊急警報を送る。


☆ 


 Side 天野 猛

 

 =青雲町・町役場周辺にて=


 ヒーローショーの準備中。

 突然宇宙から侵略者がやって来て既に戦闘が始まっていた。

 何を言っているのか分からないと思うが猛も正直何が何だかである。

 昭和の特撮物みたいな超展開だ。


 相手は白色の宇宙服を着たスリムなアンドロイド兵士。

 光線銃とか持っていてまんま昭和感丸出しである。


 とにかく町の人々をこの戦場となった青雲町から脱出させるべく、皆必死になって戦っている。



 =円盤襲来の一週間ぐらい前=


 Side 流星 ユキト


 流星 ユキト。

 彼は何処にでもいる普通の中学生である。

 ある一点を除いては。


 あだ名は宇宙人。


 小学生ぐらいの頃、宇宙人と呼ばれた理由は宇宙人の存在を信じていて、宇宙人の侵略を本気で信じていたからだ。


 そんな彼の前に宇宙人が現れた。

 その宇宙人は銀河連邦に所属する宇宙刑事であり、丸っこいゆるキャラのような外観をした小学生低学年ぐらいの背丈の小さな白いウサギ型の宇宙人だった。

  

 妖怪ウォッ〇のUSA〇ョンかな?


 名前はハネルと言い、地球に危機が迫っている事を何故かユキトに伝えに来たのだ。


 流星 ユキトは正直頭がおかしくなりそうだった。

 あまりにも現実がファンタジー過ぎる。


 しつこく地球の危機を訴えるハネルを適当にあしらい――そして一週間が経過した現在、まさかの宇宙人の襲来である。


 =現在・青雲町、街役場内にて=


 昭和の特撮物はどうだか知らないがもっとこう、B級映画でも宇宙人の襲来と言うのは段取りを踏んで、猶予とかそう言う物があってもいいんじゃないかと思った。


「アレと戦うのだ!」


「イヤイヤ!! ムリムリ!? 自分普通の学生!? 仮に戦えても一人じゃどうにも出来ないって!! ヒーロー部とか悪の組織部の人達に任せよう!! うん!!」


「え――」 

  

「え――じゃありません!! とにかく逃げるぞ!!」


「何処へ逃げるのだ?」


「とにかく遠くへ!」


 逃げる事を強く訴えるユキト。

 だがハネルは戦う気満々だった。


「た、戦うつもり?」


「そうなのだ! 僕はアイツらと戦うためにこの星に来たのだ!」


「現実を見ろ馬鹿! お前一人で何が出来るっていうんだよ!」


「でも何もしないよりかはマシなのだ! それにユキトは言い訳ばかりで、逃げてばかりで情けないのだ!」


「それは――」


 ユキトは心を抉られるような気分だ。

 ハネルの言う事は事実ではある。

 それに同じ年齢のヒーロー部や悪の組織部が戦っているのだ。

  

 周りを見ると自分とハネルのやり取りを見た避難者が「何だ何だ?」と此方を見ている。


 その中にはクラスで恋心を寄せている女の子もいた。


 そして現状を考える。


 正直ヒーロー部と悪の組織部が幾ら強いからと言って宇宙からの侵略者に勝てるとは思わない。

 そう言うのはアメコミ映画の世界ぐらいだ。 

 

 だがこのまま黙って死ぬのも嫌だ。


 戦うのも恐いが死ぬのも嫌だ。


 まだやりたい事は残っている。

 

(小学生の頃の方が立派だったかも知れないな、僕は――)


 などと思いながらハネルに「頼みがある」と話しかける。

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