第28話「最後の決戦その4」
Side 姫路 凛
=大型トレーラー内部=
姫路 凜はレヴァイザーの状況をモニターに映し出していた。
初めて見るフォーム。
だが記録には存在している。
バニシングフォーム。
「ちょっと待って!! このフォーム危険すぎるわ!?」
軽く説明文を読んだだけでも危険だと分かるフォームだった。
と言うのもこのフォームはいわゆる意図的な暴走を引き起こすフォームだ。
その代わりどんなフォームよりも強力な力を発揮する。
本当は止めなければならないが――
(だけど今の状態じゃジリ貧だし――例え仲間が援護があっても倒せるかどうか――)
それ程までにあのブラックスカルは圧倒的な強さだった。
複数人掛かりでも倒せるビジョンが思い浮かばない程に。
(ここは猛に懸けるしかないか――)
同時に凜はこう思った。
’「無事でいなさいよ、猛――」
と――
☆
Side 天野 猛
=セントラルタワー・屋上=
バニシングフォームになった猛。
今もなお、赤いオーラ―が勢いよく噴出している。
あまりの変化にブラックスカルは戸惑っていた。
『なっ!?』
その隙を狙ったかのように目にも止まらぬ速さで猛は近づき、とてつもなく速くて重い一撃が胴体に突き刺さり、ブラックスカルが吹き飛ぶ。
『どうやら俺を倒すと言うのもハッタリではないようだな。だが――』
ブラックスカルはバリアを張りながら高速移動を開始。
それに合わせて猛も高速移動を開始。
互いにスロー再生でも僅かに姿を捉えられる程の高速移動戦が開始。
ぶつかり合う音が響き渡り、屋上の彼方此方が勢いよく破壊されていく。
勝負を制したのは――
「はあはあ――」
倒れこむ猛。
『くう――』
立っているブラックスカル。
両者ともに体の彼方此方に火花が散っている。
マントがなくなり、サスペンダーのメダルも殆どが破壊されている。
「まだまだ――」
そして猛はゆっくりとだが立ち上がる。
『クソ―メダルが破壊されて――』
片膝をつくブラックスカル。
『まだそれだけの力を――』
正直どうして猛はまだ立ち上れるのか分からなかった。
これまでの戦いのダメージとバニシングフォームを使った後なら猶更だ。
互いに限界。
次の一撃で勝負は決まる。
猛は最後の力を振り絞り、駆け出す。
ブラックスカルはその場から動けず――迎撃を選んだ。
『このまま朽ち果てるがいい!!』
禍々しい紫色の大玉を形成してそれを猛に向かって解き放った。
猛はそれに飛び蹴りをかます。
『判断ミスだな!! そのまま死ぬが――』
レヴァイザーの全身が緑色に輝いていた。
なんなのかは分からないが――
『なにっ!?』
ブラックスカルが使った大玉を掻き消してそのままブラックスカルを蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされたブラックスカルは吹き飛び、偶然にも運び込んでいた学園中のデザイアメダルを怪人化させるアンテナのような巨大装置に直撃。
内部で大爆発を起こした。
ボロボロと崩れ落ちる装置。
そして煙の中からブラックスカルが現れて――
『馬鹿な――この俺が――』
そのまま倒れこんで人間体へと戻った。
終わった。
猛達の勝利である。




