第16話 私、リリアルに初めて入る
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第16話 私、リリアルに初めて入る
リリアルは流石、王妃様の元離宮だけのことはあって、中々豪華な作りだった。調度品は勿論、王家の物をそのままと言うわけにいかないので、回収されて建物の内装と違和感のある庶民的なものに変わっていたけど。
ここでお姉ちゃんはとっておきの切り札を斬ります。
「えーと、ミートパイ焼いてきたから、夕飯に一緒に出してあげて。差し入れそれなりに持ってきたよ」
「いい心がけだわ。王妃様のご紹介とはいえ、学院に無駄飯を食わせる余裕はないもの。良かったわ」
「お仕事で来てるんですぅー。ねぇ、そうでしょ?」
ギャラン!! 苦笑いしていないで、フォローしなさい!!
サプライズで来たから、ご飯は自前で用意してきました。でも、みんなの分もあるんだから、これで子供たちの心をがっちり掴むことができるだろう。リリアルのことはここの子供たちに聞けるのが一番だからね。どうせ妹ちゃんに聞いても「姉さんには関係ないわ」とかクールに言うんだろうけれど、家族の集中砲火を受けるのは私なんだから、そうはいかないんだよ!!
妹ちゃんは「家族の中で私はのけ者」とか「みんな私がいなくで清々しているでしょう」とか思っているでしょう? 違うから。顔を合わせれば、リリアル=妹ちゃん第一主義を徹底させる為に周りを教育するとかそんな感じだから。妹ちゃんを中心に子爵家と王宮と王都は回ってるから。
今日は具体的に、リリアル融合計画を提案するのだよ。ギャラン、どうぞ。
「子供たちと夕食が終わってから、時間をいただけますか。今後の商会の支所の設置であるとか、学院を卒業した皆さんを商会で採用することの打合せをしたいのです」
「もちろんですわ。それは、使用人の皆さんも含めてと理解してもよろしいのでしょうか」
あれ? 私の婚約者と私とで対応に差があるのは良くないと思うよ。
「……なんか、対応違うよね。差別良くないよ!」
「話の腰を折らないでもらえるかしら。では、後ほど、学院長室でお話うかがいます」
まあいいや。このあと色々探検しようそうしよう。
「素晴らしい学院ですね」
「王妃様の別邸、その前は王家の狩猟用の王宮であったそうです」
「へぇ、だからこの豪華なつくりなわけね。ほんと、子爵家とはえらい違い」
「姉さんも、学生として入学するなら、住めるわよ」
「えー 私は学生よりお嫁さんの方が良いから、遠慮しておくよ」
それに、いま改装中の私の新居という名目の王都ニース辺境伯邸だって悪くないよ。一撃で芝生が吹き飛ばされないように、いま、いい石材、庭に敷き詰めているから。衝撃吸収するやつ。
孤児院から生活変わってどうかと思ったけど、やっぱ、食事も生活空間変わってそっちで大満足っぽい。なんだか、友達っぽくなっちゃったよこの子達と。餌付けで仲良くなれるチョロインばっかりなんだけれど、あんまり仲良くなると、妹ちゃんがいらぬ心配して私への当たりがきつくなるからね。ほどほどにしましょう。
何だかギャランはお兄様とか言われて、妹ちゃんの横ででれてるし。法国に大使で行く?
――― 何それ、聞いてないんですけど!!
えーと、私も大使夫人として同行する事になるんでしょう? 何着ていこうかしらぁ……とかじゃなくって!! 言葉とか勉強しなきゃじゃないのかな。会話もしなくちゃだよね。まあ、口の良く動くギャランの横でニコニコしながら相手の言葉が分からない振りしながら、中身盗み聞きするとか、私、超がんばるつもりだよ!!
でもまあ、少し先の話だろうしそうすると、私が子爵家継ぐ前になるのか、それとも後になるのか……子爵の婿より伯爵の婿の方がいいよね。そのタイミングはもう少し先だろうね。
いきなり大使じゃなくって、大使付きの補佐官的な何かとかかもしれない。益々、私の仕事が増えるじゃない? おかしいな、お父さんの手伝いと、商会の立上げに社交、リリアルのお手伝いもあるんだけど。ねえ、私ってさりげなく大変じゃないのかな。
「姉さんも、その方が楽しいでしょう?」
何言っちゃってるのかな妹ちゃん。死んじゃうよそんなに働いたら。なんて、カッコいいお姉ちゃんになりたい私は、笑顔を張り付けてバシッと応えるよ。
「商会を立ち上げて軌道に乗せて、その間に子供を産んで、子供がある程度の年齢になるまでは商会の仕事を手伝って王都で社交。その後、一緒に法国で大使夫人として社交をするのも……悪くないわね」
今すぐなんて無理だし、一つ一つ順序立てて進めていけば何とかなる気がする。するけど……ギャラン、後で覚えておきなさい。
「そうですね。あなたなら、法国でもうまくやれそうですから。そうしたいものですね」
私を追い詰めていくメンバー、両親と祖母さらに婚約者も加わったよ。
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その後、別室で色々商会に関する打ち合わせをしました。
それはともかく、今日の本命は……レンヌでの戦列艦拿捕の話が聞きたい。だって、『妖精騎士の物語:レンヌ海賊討伐編』の脚本も進めなくちゃだからね。
めいちゃんも準主役となるこの第三弾!! 二人の美少女と王女殿下に婚約者の公太子殿下と今回はキラキラ要素盛りだくさんだから、せかされております。
「でもさ、あの話本当なの?」
水の上? 海の上を歩いて渡ったとか、御神子様ですか、いいえ貴方は妹様でした!!
妹ちゃん曰く「こんなこともあろうかと」、水の上を移動する手段を考案しレンヌに持って行ったらしい。原理は、スノーシュー? 雪に沈まないように履く道具の改良版で、魔力で水の上に浮くようにしたものだってさ。
それは、とっても魔力を消費するらしい。めいちゃんは五分と持たないらしいのだが、妹ちゃんなら一日中でも大丈夫な気がする。私? 私の場合は、水の上から飛び上がると思う。魔力の加減に失敗して。
それを、かなり沖合の海の上で船からコッソリおりて、周り込んで斬り込んだみたい。うん、間違いなく、これは大ヒットの予感……
早く帰って、戯作家と話をして、あと、今回は衣装に大道具に役者さんも妹ちゃんとめいちゃんと王女殿下役の三人の美女も用意してもらって……うん、さっさと進めないとね!!
何だか頭はそっちに集中し始めたので、商会で学院の使用人コースとか薬師・魔術師の卒院生を採用する話はギャランにお任せだね。商会頭だし。私に仕事押しつけ過ぎだぞ! ギャラン。
妹ちゃんは、ニース商会で働かせるのは前向きだし、こちらも商会で採用する人間が現地で当てになる者も少ないという事で、是非採用したいという話を進めている。
妹ちゃんは王妃様のことを気にしているようだけれど、あの人はそんな深謀遠慮な人ではないと思う。お母さんもお婆ちゃんも同意している。だから、一言伝えておこう。
「王妃様に協力するってことだよ。表向きは王妃様お気に入りの出入り商会。実際は、王妃様の諜報機関? その仕事の何割かはニース辺境伯の為にも活躍してもらう」
仮に、王妃様からなんか言われれば、その時点で考えればいいと思う。今のところ受け皿無しなんだから、ニース商会で仕事をさせてみて、その後考えればいいと思うよ私は。
「王妃様に協力して王国を守る組織を育てる……そう考えてもらえると間違いないと思いますよ」
ギャランの援護があって、妹ちゃんも概ね了解っぽいね。
「学院の現場責任者として話を承ったうえで、最終決定権者が王妃様である旨をご承知いただいて、話し合いを進める、ということでよろしいでしょうか」
多分問題ないはず。その辺りは、ニース家と子爵家でガンガン話を通している。宮中伯もお父さんの機嫌を損ねるまで無駄な反対はしないし、王妃様も、ニース家との関係は良好にしておきたいだろうから、この件は妹ちゃんから報告が上がった段階で承認される事になっているのだよ。
さて、ここからが具体的なお話だね。ニース商会とリリアルの間でどういう協力関係を構築していくか。とても大事。だって、私がリリアルにどれだけ関われるか決まるわけでしょう? 超大事じゃない!!
「まずは、商会に来てもらう人を選定します。それは、籍が移るだけで、実際ここで商会の業務を覚えてもらうことになるのです」
まあ、実際商売が軌道に乗るまでは時間がかかるし、住まわせる場所とかも確保するのが面倒でしょう。仕事もお金もないってわけじゃないけれど、今はリリアルに住んで仕事だけ覚えてもらうのが良いと思う。妹ちゃんも目が届くところで仕事を覚えさせられるし、安心じゃない?
もちろん、私と妹ちゃんの間は深い信頼関係で繋がっているから問題ないんだけどね☆
「それで、一番覚えのいい人を最初の一人として王都の商会の業務に引き抜きます。ここでの業務を行う時点で賃金をお支払いしますし、王都の商会で働く際には、相場並みの賃金を支払いますよ。もちろん、オールワークスメイドとしてではなく、帳簿管理者としての賃金です。どうでしょうか?」
オールワークスってのは役目の定まらない雑役婦のことだから、なんか聞くとカッコいいけれど下っ端なんだよね。奥様のお部屋の掃除だけとか、夫人の衣装の管理だけみたいなのが偉いんだよ。もっと偉いと家政婦とかメイド長とかになる。家政婦って、大きなお屋敷になれば主である貴族の格に合う家名のある家の出身者だっりするので侮れない。
主人の代理人が家宰であるとすれば、夫人の代理人が家政婦だったりする。まあ、そういうのは非常にレアな存在だけどね。うちには関係ない。
色々話をしたんだけど、結論としていえば『孤児の互助組織を育成する』という名目で秘密を守れる存在を育成して、情報収集のネットワークを育成していくということです。
妹ちゃんが「仮称としては『レギオ』でお願いします」といったときのドヤ顔が可愛かったので今日は良しとしよう。
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【本作の元になるお話】
『妖精騎士の物語 』 少女は世界を変える : https://book1.adouzi.eu.org/n6905fx/
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