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試合おしまい

 最後のゲームはお互い接戦だったが、僕はまたあまり気にしなかった。それよりも来る球をどう返すかを気にしていた。


 坂藤くんが何を言ってるのかもあまり気にしてなかった。


 羽菜の応援がめちゃくちゃ大きくなって、僕がマッチポイントだった。流石にこのときはポイントを気にする。


 えーと、よし。


 ここまできたらもう、攻めるしかない。


 アウトしたくないので、ど真ん中を攻める。


 身体に近い部分は意外と返しにくいし、バックかフォアで迷ったりする。


 だからど真ん中。


 チェンジコートしてるということもあり、羽菜に向かって打つことにもなる。


 だから……なおさらそれを最後の球にしてやると思った。この試合の。


 ラリーが始まった。


 お互いつなぐ。


 坂藤くんはもうミスれないのでそうなるのは仕方ない。とはいえ思い切って攻めてきて流れを変えようとしてくることだってあると思う。


 だから僕は、もうつなぐのをやめる。


 とにかく真っ直ぐに台の後方で弾むくらいの球を、思いっきり打った。


 バウンドは高く、そのまま頑張れば、羽菜に届くかもと一瞬思いそうなくらい。


 そしてその球を坂藤くんは触ったが、その打った球は台に触れなかった。


 つまりアウトで、僕の勝ち。


 やった。


 喜ぶんだけどそこまではなんか喜べない感じで、ひとまず握手してボールをもらった。

 

 今から運営に報告に行かなければならない。


「拓人なんか疲れた目してるけど……勝ったよー、勝ちましたー!」


「そうだな」


「二回戦始まるから次だね」


「そうだな、うん。よし、まだ卓球しまくるぞ」


 僕はそう決意した。


「ま、でもとりあえずお昼ご飯だね! ほんとおめでとう! なんかね、やっぱりかっこよかったよ! 最後すごい落ち着いてて誰も介入できない感じだったもんねー」


「ありがとう。確かにお腹は空いたな」


「だよねー。またお弁当交換しようね」


「わかった」


 そうして羽菜と僕は、お昼ご飯を食べる場所を目指した。

 

 またベンチには座れなかったので、床に座ってご飯。


 なんかとにかく自分が成長できてて安心してしまった。


 よかった、なんとか自分も少しは伸びることができて、という気持ち。


 まだものすごく成長の度合いは小さいけど、それでも、また次の試合のやる気もわいてきて、僕はだから、エネルギーを得るためにも、今は羽菜とお弁当を味わおうと思った。


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