バックの調子
サーブは下回転だとわかるサーブだった。
ただしかし回転量はわからない。とりあえず、慎重にあまり振り切ることなく返した。
そしたらまずはレシーブ成功。
始めでミスすると流れが悪くなることが多いから、ケアレスミスはしない。そしてこちらがなかなかミスしなければ相手がミスをするくらいのスタンスでいきたい。
相手はコントロール抜群なのか、次来た球は台の端の白い線の上だった。
なんとか返すが弱い回転もない球に。
まずいこれはスマッシュ決められて相手ポイントかな。
と思いつつも、僕は諦めてはないもちろん。
羽菜はかなり力強い球を打つから、それを返すのにはなれてて、だから今も、コースさえ読めれば、返せる可能性もある。高い可能性ではないけど。
多分フォア側だな、と予想したらなんとフォア側だった。そして返すことに成功し、しかも相手がスマッシュにより体勢を崩したりしてて、それを返せず。
ポイント取れた。
よし。
でも今フォア側だなと思ったのは、本当になんとなくで運要素があるからな。
ちゃんと実力で攻めていかないと。
相手はコントロールが良さそうなので、少し力強い球を打って攻めるというのはどうだろう。
前後左右に振るラリーだと、コントロールの正確さで負けてしまいそうだ。
僕はそこまで考えて、そして相手からのサーブを待った。
バック側に来た。
また下回転だが……ミスってネット。
やらかしてしまったけど仕方ない。もうネットしたものが突然ネットを登って入ったりはしない。
切り替えてどんなサーブを打とうか考えていたら、
「君、今日、バック調子悪そうだね。大丈夫?」
なんか相手の……坂藤くんが僕を見てそう言ってきた。
まさかの嫌味を言うタイプか。
まあそういう人もいるよな、と思ったら、
「俺結構性格悪いこと言いまくりがちだから、ごめんね」
開き直ることまでしゃべってくるタイプは初めて見たぞ。
めんどくさい。
まあでもあんまり気にしないで行こう。
どういうサーブにしようかな。
坂藤くんは、僕のことをバックの調子が悪いと思っている。
ということは、バックに返してくるはずだ。ならこちらから先に坂藤くんのバックにサーブを出して、そしてそのあとバックで僕が決めに行こう。
そう思って僕は坂藤くんのバックにサーブを出した……らフォアに返ってきた。
焦りながらも返す。
しかし今度こそ相手がこちらのバックを狙っている……と思いきやまたフォアに来た。
そして逆をつかれた僕はそれを返せない。
なるほどな。僕のバックの調子が悪いと本気で思ってたわけではないんだな。




