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試合一週間前

 羽菜と遊びに行ってからさらに時が過ぎれば夏休みも半分終わってるくらいになった。


 夏の終わりの大会までも後一週間だ。


 僕はなんとか夏期講習を最後まで受け切って、そして勉強がやばいという認識をしつつも、卓球の練習を羽菜としていた。


 夏休みはどの部活もいるわけじゃないから、時には体育館に、羽菜と僕だけしかいなかったりした。


 そんな時は、どうせ卓球台の周りしか使わないけど、それでも贅沢な環境にいる気分だった。



 

 そんなある日、卓球の練習をするために登校したら、蓮花に会った。


「久しぶりだ、蓮花」


「久しぶりだねー」


 蓮花は顔とか手の振り方がすごく明るかった。


 ということは。いやもうね、幼馴染とかじゃなくてもわかるかな。


「大会でいい結果出たりした?」


「全国行けることになったよ」


「まじ? やったな!」


 予想以上に結果が出ていた。壁を乗り越えたじゃん。


「まー、ほんとに強い人ばっかりとしか当たらないから全国大会ちょっと怖いんだけどねー」


「蓮花も強いんだって。がんばれ」


「うん。拓人もがんばってね〜」


「もちろん」


 蓮花はテニスコートに、僕は体育館に向かった。


 体育館の二階へと向かう。


 まだ羽菜は来ていなかった。


 軽くモップで床の掃除をして、それからサーブ練習を始めた。


 やっぱりサーブの回転量が少ないよなあ。


 台の上でのはね方を見て、僕はそう思った。


 やはり、こんなまだまだな卓球をやっている分、勉強ができないっていうのは、よくないのではないか。


 そう思ってしまうし、だから早く羽菜に来て欲しいなと思った。


 練習の時間まではまだあるから来なくても何にも問題ないんだけど、それでもなんで来ないのかなあ、と待ち望んでしまう。




 蓮花のように高いレベルで戦っているわけではない限り、少しの進歩に意味はないと思ってしまうかもしれない。


 羽菜とこんなに卓球をしてきたのに、卓球した意味もそんなになかったという感情が、未来の僕に生まれてしまうのではないかと心配だ。


 例えば大学受験で失敗してしまった未来の僕がいたとしたら。


 今の僕についてどう思うのだろうか。


 少し卓球が上手くなったところで何も起こらないと思うのだろうか。


 もしかしたら思っていそうだな、と思ってしまった。


 まずい。


「あ、拓人もう来てた。おはようー」


 と、ここで羽菜が来たから、僕はいつも通り卓球をしたい気持ちも出てきて、持ちこたえた。


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