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羽菜⑤ 告白しなかった

 ……結局、私は合宿中に拓人に告白しなかった。


 そして、また拓人と二人で卓球の練習をして、今日は一緒に買い物と遊びに来ている。


 いいのかなあ……わかんない。


 このまま楽しく過ごすのと、恋を進めに行くのと、その境目はなんだろう。


 そういうことが全然わからない。


 私は、ビンゴの一番小さな景品である消しゴムを握って、拓人に変に思われないくらい少しだけ息をはいた。


「次どこ行く?」


 拓人にそう訊かれた。


「私はもう買いたいもの買いまくっちゃったから、拓人の好きなところで大丈夫だよ」


「そうなの? ありがと。じゃあ……」


 拓人はそう言って案内図を見渡す。


「おやつ食べようか」


「いいね」


 私はそう返して、確かに甘いものは食べたいな、と思って、また拓人との時間を楽しみ始めた。


 おやつはすごく安いスイーツバイキングを発見したので、そこで食べた。


 拓人は甘いものモードになりきれてないのか、抹茶味大好きな人になっていた。

 

 私はもう甘いものを食べまくった。


 けどそれでも、やっぱり太ると良くないので抑えもした。


 今度は二回戦突破……さらに地区大会の本選まではいきたいな。


 そのためには太っちゃダメ。


 そう決めて、でも取った分は味わう。


 あーあ、ほんと、告白のタイミングって、卓球のどんな難しい球を返すタイミングより、難しい。


 呑気に抹茶味をまたを食べてる拓人をみて、私はそう実感した。




 それからのんびりと、特に何を買うとか決意を固めることなく色々なものを見た。


 なんか面白い扇子とか、超おしゃれな振り子時計を眺めたりして、二人でだらだら過ごした。


 それでも退屈さはないし、やっぱり拓人と何を話しててもその時間が好きになれた。




「明日は練習するっけ」


「明日はなしだよー。明後日あるよ」


「おっけー」


 帰りの電車の中で、普通の部活仲間のような会話をする。


 そして私はやはり、絶対に次の大会でいい結果を出して、そして告白のことはそれから考えようと思った。


 先延ばしな説もあるけど、でも、やっぱり卓球に集中しなきゃいけない時期が、来てるんだもんね。

 

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