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ビンゴ

 それからさらに僕はラジコンから遠ざかった。


 歩くのに疲れてしまったのである。


 いや今日これはこれでトレーニングしたことになるんじゃないってくらい歩いたよ。


 ここの建物デカすぎでしょ。


 今は、文房具を見ていたものの疲れて二人で椅子に座ってしまったところだ。


 そしてのんびりスマホゲームをして時間を過ごす。


 このあたりは部分的に吹き抜けになっているので、開放感はかなりある。


 だからスマホで目が疲れたら、遠くを見ることもできる。


 そしてそのまま眠りそう……だけど、羽菜に起こされた。


「あっ、ビンゴ大会始まるって」


「え、ビンゴ大会?」


 見れば子どもたちがいっぱい集まっていた。


 あ、あれだ。ビンゴが早く揃えば、珍しい文房具がもらえるやつだ。


「よし、参加する」


「マジ?」


「ビンゴ好き」


「ビンゴ好きなのはわかる」


 何歳だろうとビンゴ好きな自信はあるわ。


 けど今回は商品が文房具だからな……あんまいら……いや違う、文房具売り場だけじゃなくてもっと広い範囲で商品集めてたわ。


 僕は商品がどんなのかをちゃんと見ることにした。


 えええ。お、お、ゲーム機もあるぞ。


 これでやる気になるの小学生並みだけど、残念ながらやる気にはなった。


 あとまだ色々ある。普通に当たる確率が高そうなタオルとかも、運動の時使えそうなかっこいいデザインだし、あれ当たるなら参加したい。


 まあもちろん消しゴムがすごい数カゴにあるから、ビンゴにならなかったらあれしかもらえないんだろう。


 ……はい、ビンゴ参加します。


 というわけで羽菜とビンゴカードをもらいに行く。


 早速一つ目の数字が乱数でもって決まって、電光掲示板に出された。


 67。


「あったよー」


 穴を開ける羽菜。


「……」


 数字がない僕。


 まあ一つ目だしねまだ。


 あと狙うはタオルだから。


 多分そこそこ上位ならもらえるでしょ。


 ゲーム機とかはどうせ狙ってももらえないんだから。


 


 とかポジティブに思ってたのに、ビンゴ大会が終わったら、二人で消しゴムを一個ずつ持っていた。


 悲しい。


「拓人リーチならいっぱいあるのにねー」


「そうなんだよ」


「卓球だったら全部デュースまで行ってゲーム落としてる人みたい」


「悲しい例えはやめてよ」


 まあ確かに羽菜は結局リーチも一つだけで、あんまり穴も開いてないもんな。


 そんな羽菜と同じ消しゴムなのが悲しいなあ。


お読みいただきありがとうございます。


次話は羽菜視点の予定です。

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