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お出かけ

 なのにまた夏期講習を受けると、勉強がこんなに遅れているのに、卓球の地区大会一回戦突破なんかを目標にしていることに意味があるのかと思ってしまう。


 この夏期講習っていうのはかなり恐ろしい洗脳技術でもって構成されてるのか知らないけど、僕の前向きな気持ちを壊して勉強に関する現実だけを残してくる。


 まるでラバーが何度でも剥がれるやばいラケットみたいだ。


 それでも、羽菜とまた話せば少し落ちつくので、羽菜はすごいと思う。


 そんなすごい羽菜と、合宿以来遊びに行くことになった。


 合宿から帰ってきた後も練習の日はあったけど、遊びに行くのはなかったのだ。


 遊びに行く行き先は、海沿いの大きなショッピング施設。


 人工がかなり混じってるけどビーチもあって、泳ぐこともできる。


 羽菜は「泳がない、もうほぼほぼ泳がないって決めてるけど、一応水着持ってくから、拓人も持ってきてよ」って言ってた。


 まあ確かに、いざビーチに来ると泳ぎたくなる可能性もあるよな。


 というわけで僕は水着を持って駅前に立っていた。


 プールに行く小学生くらいの身軽さだけど、特に忘れてるものとかないよな。


 と考えていたら羽菜が来た。


「おはよー」


「おはよう」


 合宿が山で今日は海。


 今日のイベントは合宿に比べたらスケールが小さいかもしれないけど、場所的には対比ということでつまりは対等。


 ホームに着くと、羽菜はかなり嬉しそうに電車を待っていた。


 

「そういや拓人。夏の後半の大会の申し込み、もうしてくれたっぽいよ、浜崎先生が」


「お、そうか。ありがとう。浜崎先生、申し込みするのミスってたりしないよね?」


「それは信用しなさすぎだよ。過去に一回名前間違えて申し込みしたことあって慌てて訂正したらしいけど」


「マジかよ危ないじゃんかよ」


 大丈夫かな……。僕苗字珍しいし心配だわ。


 まあ賞状もらったりとか記録に残るところまで勝ち上がったりとかしない限り、名前間違ってても困んないか。


 じゃあいいか。


 いやじゃあいいかってなるのが悲しんだけど。


「ねえねえ拓人。泳がないでいいやと思ってたけど、今日暑いから、泳ぐのいいかもと思い始めてきたよ」


「あそう。まあ泳ぐのもいいかもね」


 あー、羽菜、もう泳ぎたくてたまらなくなってるんだなあと気づきつつ、羽菜が水着になったらどんな感じで可愛いんだろうなあと考えた。


 うん、僕も泳ぎたいぞ。泳ぎたいというか、水着になるところまではいきたい。


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