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夏期講習

 合宿から帰った後もどんどんと楽しいことをしたいところだけど、流石に勉強もしないといけないということで、僕は予備校の夏期講習に参加した。


 どんな夏期講習かというと、初めに模試型のテストを受けて、それをすぐに採点してもらい、先生からアドバイスをもらって、そのアドバイスにより見えた弱点を克服するような講習を取る、というものである。


 今日は一日目なので模試型のテストを受けに行く日。


 普段から授業の復習はやる方なので、そんなに解けなくてやばくなるとは思わなかったが、実際受けてみたら解けなくてやばかった。


「はい、早速先生に採点してもらいますねー」


 めちゃくちゃ可愛いバイトっぽいお姉さんの笑いまでうざい。


 めっちゃイライラしてる。

 

 相手に三回連続でエッジされたくらいイライラしてるわ。


「三、四時間採点にかかりますので、ぜひ自習室をご利用ください」


「はい」

 

 僕は大人しく自習室に行った。


 本当は卓球動画でも見て過ごしたいところだけど、あまりに手応えが悪かったので、ちゃんと勉強していた。


 そして勉強を連続で三、四時間もできるわけないので、途中からぼーっとしていたら、呼び出しがあった。



 

 そしてその呼び出しの後、僕は沈んでいた。


 卓球のボールみたいに、どうやっても沈まない身体になりたかったけど、無理だった。


 いやこれは相当受験勉強が遅れているということがわかってしまった。


 羽菜との遊ぶモチベが、減っていってしまう。


 特に、先生との会話でも落ち込んでしまったことがあって。


 ☆   ○   ☆


「部活とかが忙しい感じですかね?」


「あ、はい。忙しいですね」


「なんの部活でしょう?」


「卓球部です」


「なるほど。何か大会とかあるんですか?」


「あ、はい……」


「なるほど、ちなみに目標とかはあるのでしょうか。勉強でも部活でも目標を決めると両立しやすいですよ」


「ああ、そういうことなら、まだ一回も大会で勝ったことがないので……とりあえず一勝が目標ですかね……」


「あ、一回も勝ったことないんですか?」


「はい」


「あー、そうなんですね。だったら、もういっそのこと、勉強に専念するのはどうですか? 一回戦勝つか勝たないかの話より、大学受かるか受からないかの方が大事かもしれませんよ」


「まあ……そうなのかもしれないですけど……」


 ☆   ○   ☆


 というような会話だ。


 もちろん僕は卓球をやめたくないけど、なんだか悲しい気分にさせられてしまったのだった。

 

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