空いてるアトラクション
もともと山の中にあるから、山を生かした感じのアトラクションが多くて、世界観はジャングルみたいな感じだ。
実際、アマゾンの魚が至る所にいる。
園内の人工の池とかをのぞけるようになっているけど、のぞいたら普通にピラニアや熱帯魚たちがいる。
落ちたらやばそう。
そんな中まず初めに乗ろうとしてるのは、一回転するジェットコースター。
コース自体はこぢんまりとしてるように見えるけど、かなり森の中を走るコースだし、楽しそうである。
でもなんで空いてるんだろうね。
と思いつつ、僕と羽菜はほとんど待たずに乗った。
「ねえ拓人」
隣に座ってる羽菜が話しかけてくる。
ジェットコースターに二人並んで乗るのはかなりデート感あるなあとか思った。
「どうした?」
「いや、これ空いてるのってさ、もしかしてあまりに怖すぎるからではない……よね?」
「どうだろう……うお」
動き出した。僕たちが乗っているトロッコは前から二台め。
お客さんは僕たち以外に数人。
はい、これはね、羽菜の言う通りかもしれないって思った。
なんでというと、普通のジェットコースターと比べて、加速がおかしい。
ゆっくり登ってすごい勢いで下って、そこから色々コースを走るのがジェットコースターだと思うけど、なぜかすでに下り坂を加速して進んでいる。なんで?
と思ったら落ちた! いきなり地下かよビビるなあ!
羽菜……は大丈夫じゃないね。なんか僕に抱きつかないとホラーゲームの時もゴキブリの時もダメだったし。今は身体が固定されてるもんな。
なんか目を閉じてて、サーブのシミュレーションを永遠にしてるみたいになってる。
身体がかなり軽くなるほどの落下がしばらく続いたら、一旦緩やかになった。今は怖くない。
おお。周りが水だ。水族館でいうトンネル水槽だ。
ああ、そういえば水族館と遊園地の融合施設だったな。と思いだした。
見上げれば先ほどの人工のピラニアとかがいる池を、見上げて見れるようになっていた。
これはすごい。
「羽菜〜今あんま怖くないよ」
「そう言ってほんとはおばけとか出てきてるんでしょ?」
「いや魚とかしかいないよ」
「そう言ってほんとはおばけの魚なんでしょ」
おばけの魚ってなんか、子どもの発想みたい。
結局羽菜は目を開けずにそのまま。
そしてそろそろなんか嫌な予感がすると思ったら。動き出した。
そうだこれ、まだ地上があるんだった。地上では普通に一回転してたよな。
うわ、もう十分なスリルだから……羽菜のためにも勘弁してください……。いやもう僕もキツイかな。




