休憩
「じゃあちょっと今から休憩ね。五分くらい」
「はい」
僕は床に寝る。
疲れた。
美留さんと羽菜はトイレに行ったのでホールには一人。
今日は天井にゴキブリも見られなく、とても平和で、風と鳥とセミの声が聞こえる。
セミは多分山の割にはかなり少ないけど、鳴き声が違うのがわかる。
いわゆる有名なセミじゃなくて、標高が高めのところにいるセミなんだろう。
とか考えながらゆっくりとしてたらすごい早さで五分経ってしまった。
☆ ○ ☆
「ねえ、羽菜ちゃん〜」
お手洗いを済ませて手を洗っていると、美留先輩から声をかけられた。
「はい」
「もしかしてさ、拓人くんに、近いうちに、告白しようと思ってる?」
「えええええ」
「あ、ほんとにそうだったかな」
「な、なんでそう思うんですか?」
「なんかわかる見てたら」
「ああ……まあでもまだいいかな……べつに」
「照れない照れない」
美留先輩は笑う。
でも私からしたら、わからない。
人生で告白したことがないから、ほんとにまだすべきじゃないんじゃないかとも思ってしまう。
「美留先輩は……彼氏いるんですか?」
「えわたし? いるよー」
「あ、あのどういうやりとりで付き合うことになったのでしょうか」
「やりとりかあ、二人で遊びに行った時に、告白したよ、私から」
「えーと……ぐ、具体的な工夫というか……」
「してないかなあ。ていうかなんて言ったっけ。好きってことが言えればなんでもいいと思うけど」
「それが難しいのに……」
私はつぶやいた。
いや美留先輩はほんとすごいなあ。卓球うまいし、告白とかもすぐできちゃうし。
なんというか、自信があるからできることなのかな。
そういう私は確かに自信がない。
容姿もそんなに、卓球はやっと二回戦に行けたくらい、テニスはあきらめた。
勉強とか他も得意ではないし。
確かにだからかなのかな。
もう拓人は好き。それはそう、自分には言えるようにはなった。でもその気持ちを伝えても、拓人が喜んでくれるか、悩んじゃうのは。




