カレー
そしてできたカレーを紙のお皿に配分。ご飯も配分。
スプーンでたべると……
うわ。外で食べるカレーだ。常に新鮮な空気を通して匂いもする。
小学生の時あった野外料理実習を思い出す。
「美味しいです」
「美留先輩のカレーすごい! すごいのでもうすぐ三分の一食べちゃいます」
「よかったー。たまにちょっとルーが謎に固まってたりするかもだけど、まあ確かに上手くできたかなー」
美留さんも自分で納得しているカレーを口に運んで、そしてそのままゆっくりおしゃべり。
「……あ、じゃあ羽菜ちゃんと拓人くんは、テニススクールで小学校低学年の頃から友達だったの?」
「そうですね」
「はい」
「おおおおお! 素晴らしいことだそれは。あ、じゃあそのテニススクールの時に、二人組作ってなんかやるってなると、羽菜ちゃんと拓人くんで組んでたの?」
「そういうことが多かったと思いますね」
僕が答えると、
「うわあ! 可愛い! それは可愛い! あ、可愛すぎてカレーが液体化しそう」
とかよくわからないことを言っている。
ちなみに多分真面目に考えるなら、羽菜はずっと可愛くて、僕はずっと可愛くない。
羽菜はといえば、いつもの美留先輩のテンションかなーみたいなノリで、さっさとカレーを完食しかけていた。
その後みんなで片付けて、そして午後の練習。
午後の練習は羽菜と僕が元からやろうと思っていた、ビデオ録画をする試合形式の練習。
そしてその録画を見て、美留さんからアドバイスをもらう。
美留さんは渚ヶ丘学園卓球部で、ここ五年で唯一、個人のシングルスで関東大会まで進んだ人らしい。
すごい。
確かに色々とすごいところはあるなあと思う。
すらっとしているのに、腕とかの筋肉がかなり大きいし、あと登山の話聞いててもわかる通り、体力がかなりある。
もう鍛えた成果からして強いのがわかるのだ。
僕も羽菜もちゃんとトレーニングやんないとなあ。と思ってるのはもともとだけど。
まあさらにそう思ったよね。
「……でとにかく、拓人くんは、足のステップがここら辺ちょっと変だからその分体勢が斜めになってるのね」
「はい」
僕と羽菜では見つけられないような弱点を、指摘してくれまくる。
ありがたい。よかった。三日目にこういう練習ができて。
そう思いつつ、羽菜の方を見ると、少しだけ困ってそうな風にも見えた。




