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先輩がきた

 で、そのOGさんがいつ来るかは不明なので、僕たちは普通通り、ご飯を食べ終えて、そして着替えたり歯を磨いたりして、その後ホールに向かった。


 卓球台を広げてビデオカメラをセッティングし終わったところで、


「あ、こんにちはー」


 と女の人の声がした。 


「あっ、OGって美留先輩だったんですね!」


 羽菜の知ってる先輩だったようだ。ということは卒業して一年目とかかな。


「そうですー。浜崎先生から頼まれたよ」


「ありがとうございます……あれ、リュック大きくないですか?」


 たしかに羽菜が驚く通り、とてつもなく大きい、登山用のリュックを背負っている。


 登山装備みたいなのも周りについていて、本格的な格好である。


「せっかくだから登山してきた。駅からこの山の頂上まで行ってまた下りてきたよ」


「え、駅から頂上まで?」


 僕が驚いた声を出すと、


「あ、自己紹介してなかったね。私は高橋美留です。よろしく。あ、今大学一年生で、卓球部と登山サークル入ってるよ」


「なるほど登山サークル……あ、僕は庭梨拓人です。よろしくお願いします」


「うんうん。なるほどって感じだね。ま、さてと、ちょっと荷物整理してから卓球教えるので大丈夫?」


「はい大丈夫です。それにしても、装備が凄そうですね」


 羽菜が、美留さんが下ろしたリュックをよく見る。


「結構ガチなのよ。色々と。これがね、両手空けたまま水が飲めるやつ。ここをくわえると水がちゅーってくるよ」


「おおお!」


 羽菜が感動してる。僕もかなりすごいと思った。改良したら卓球しながら水が飲めそう。


「あとこれはね、ここに冷やしたタオルを挟んで……」


「おおー」


 登山装備説明会が始まった。


 種類が多くて、あと中からはお菓子とか、図鑑とか、カメラとか、色々出てきた。


 お菓子欲しそうにしてるよ羽菜。


 朝ごはんでフルーツ食べまくってたのに。


「てな感じで色々必要なのね登山には」


「すごい」


 羽菜と僕は感心。これを背負って山登りをして帰ってきたのに元気な美留さんすごい体力なんだな。


 まだなんか未紹介の持ち物も結構あるしね。


「あ、今拓人くんの目の前にあるやつは携帯トイレね。使用済みだから気をつけて」


「えっ」


「うそー。未使用です。拓人くんの反応の可愛さテストしてました。これは、うんうん、やっぱりなるほどね」


 どういう仮説を立ててなるほどなんだろう?


 なんかすごい親しげな笑みににやにやが混じってるけど。


 わからない。


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