下着
「今日は練習試合本当にありがとうございました」
「ありがとうございました」
「いえこちらこそありがとうございました」
「二人だし来てくれてよかったですほんと」
山が影になってそうな夕暮れ。
お互い最後にお礼を言って、おしまい。
連絡先交換をして、来年の合宿……いやできたらもっと早く、また試合できたらいいねということになった。
「そろそろおじいちゃん迎えに来まーす!」
体育館の入り口に実夜さんが立っていた。
帰りは体育館の外から呼ばずにちゃんと中から呼んでくれたね。
「じゃー、また会いましょう!」
「はい!」
いや疲れてる中でもテンション高いなあ。羽菜と山本さんは。
僕は頭を下げて手を振るくらいしか体力がない。谷田くんもそんな感じ。
まあとにかく、こうしてかなり実践的な練習試合ができた。
そしてそれから宿に帰るまでもおじいちゃんにお世話になって。
爆睡状態な羽菜と実夜さんを起こしてから、僕は車を降りた。また真ん中だったから、そうしないと降りられないし。
周りが暗い中で圧倒的に明るい宿に入って、そして自分の部屋へ。
あああこれは疲れた。
僕は畳に着替えもせず寝た。
お風呂いかないと……。
あ、でも寝る……。いや起きる! もう寝ぼけてるけど、お風呂入ってすぐ、夕飯の時間だよ。急ごう。
というわけで僕はなんとかお風呂の準備をして、そして浴場に向かう。
羽菜は……大丈夫かな。起きてたらお風呂行くとは思うけど……。寝落ちとかしてそうだしなあ。
と思っていたら羽菜がきた。
あ、よかった。
あ、発言撤回。
「羽菜! なんでブラ見せながら廊下歩いてるんだよ!」
「……ん⁈」
「……」
これ絶対汗がついたウエアを本能的に脱いで、その後寝ぼけたままお風呂向かったんでしょ。
「いやあやばい! どうしよおおおおお!」
「部屋にすぐ戻ればいいよ! だからね、あの、びっくりした時に僕にだきつかないでね!」
だめだよ。こんな見下ろしたら羽菜の胸とブラが直接見えててしかもそれが僕に当たってるの。
今日夜中まで元気でいられそうだ。いややっぱりそれはないかな流石に眠い。
「恥ずかしい……部屋戻る……」
「多分……誰もみてなかった」
そう言う僕から走って離れながら羽菜は、
「拓人には見られたもん……」
って言うから、抱きついたのはほんとに癖だったっぽい。




