朝、ランニング
「はいあさー」
布団がなくなったのを感じた。
「おはよう羽菜」
僕は起きる。目を開けたら羽菜が微笑んで見下ろしていた。
羽菜、寝癖がついてる。
ちょっとおっちょこちょいな雰囲気。
けどちゃんと朝ごはんの前に僕を起こしてくれた。
「今日も練習するから、そのためには朝ごはん遅刻はよくないよー」
「だね、何時からだっけ」
「七時半」
「おっけー」
「じゃあ私、自分の部屋戻るね」
「ほーい」
羽菜は自分の荷物だけとっていって、僕の部屋を出た。
部屋を見渡すと、端に羽菜の布団が畳んであった。
その上に座ってみる。
うわ、温もりがすごく溜まってる。
一晩の羽菜の体温の成果だった。
そこで変態にならない程度に癒されてから、僕は髪を直したり、顔を洗ったりして、そしてそれから朝ごはんに向かう。
廊下で羽菜と会った。
髪が整って下ろされていて、朝僕を起こしてくれた人とは違う人である。
女の子ってこういうふうに変わるんだ。
だけど僕は寝癖のある羽菜も大好きだ。
「お腹すいた」
「たしかに」
夜もエネルギーを使ったからだろうか。
昨日かなり食べても、いつもの朝くらいには、お腹が空いている。
朝ごはんはバイキングで、僕はいつも家で食べてる朝食のメニューを再現した。
羽菜はフルーツをお盆にはみ出してまでとっている。
「朝はフルーツばっかりなのが日課なんだよね」
「おー、おしゃれ」
「おしゃれではなくない?」
「いやおしゃれ」
「あ、そうですか」
羽菜と僕は朝食を食べ進める。そういえば僕たち以外に誰もいない。
「昨日いた他の高校の人たちはどこに行ったんだろう」
「あー、確かね、あの高校の人たち去年もいたけど、登山部なはずだよ。だから朝早く出て山に登ってるんだと思う」
「あ、なるほど」
登山は確かに楽しそうである。まあ僕たちも登山ではないけど、山をランニングするんだけどね。
でも朝早くから登るのはきつそう。
朝五時から卓球しろって言われても、体動く自信全然ないし。
朝ごはんを食べ終わると、また部屋に戻り、今日はまず、宿の前の砂利の広場に集合。
ランニングと、時々ハイキングみたいな感じで、この辺りを周回して、それから卓球の練習に移る。
着替えて部屋を出て宿も出て砂利の広場で待っていると、羽菜も出てきた。
「無理せず走るよ。あんまり疲れたらその後練習できないし」
「わかった」
僕は空気を吸った。すごい。湿っぽいのに嫌さがない。そして適温。




