寝るのが遅くなった
夕飯を食べまくる羽菜と僕。
「どうしよう。美味しくて、明日お腹痛くなるかもしれないのに食べちゃう」
「うん、まあそうなったら二人で休もう」
「わかった。よーし、そしたらおかわり!」
器を持って立ち上がる羽菜。
羽菜のお風呂あがりのちょっと小学生っぽい服、可愛い。
そういう僕も古いジャージだけど。
それにしてもまだ食べたい。
僕も後でおかわりしよう。
メニューが多いと、お米も食べたくなるし、気がつけばかなり食べてる。
なのにおかずのおかわりがくる。
山らしく、山菜とかを使った鍋があるんだけど、それのおかわりが巡回していて、火も無限につけ直してくれる。
だからいつまでも食べられる環境なんだよね。
でも流石に一時間半くらい経つと、もう十分かな。
というわけでごちそうさまの挨拶を二人でしっかりして、部屋へ戻る。
ちなみに羽菜の先輩がいた頃の卓球部は、挨拶が本当に丁寧だったらしい。
練習、合宿、試合、色々なところで。
だからそれはちゃんと羽菜と僕も続けていこうってことだね。
部屋に戻って、テレビをつけたら、部屋が開いた。
「遊びにきたよー」
「早くない? 部屋に戻って二十秒くらいな気がする」
「いいじゃん。遊ぼうよ。トランプあるし、ゲームも持ってきた。卓球ゲームもある」
「マジか。まあゲームは僕も持ってきたけどね」
羽菜からもってこいとメッセージが来てたので。
「よしじゃあ対戦!」
なんか二人だけど合宿みたいな感じだ。
よかった。
この雰囲気が好きだし、卓球の練習は一切してなくても、とても楽しいから有意義なのだ。
でも流石に、明日の練習に疲れて臨むと良くないのに。
深夜まで遊んでますねー、僕たち。
合宿あるあるの代表的事例すぎる。
時刻はもうすぐ夜十二時半。
と、途端に真っ暗になった。
「え?」
「ああ、ここ強制消灯する仕組みがあるの。生徒が夜更かししないように。合宿に適した宿だから」
「マジかよ。そんな仕組みあんのか」
「うん。でもね、合宿の最終日だけは電気がずっとつくの。すごいよね」
「最終日は完徹仕様なのな」
まあ完徹は苦手なんだけどね僕は。でも遊べるだけ遊びたいよね、最終日は。
でもとにかくまだ今日は一日目だし、消灯に従って、寝ますか。
「じゃあ、私の布団ここらへんに敷くね」
「え、羽菜こっちで寝るの?」
「だってもう電気消されたもん」
「いや廊下はつくでしょ」
「まあねー、でも寝るだけだからいいじゃん」
「ま、まあ……いいよ」
羽菜がいいなら。
僕は自分の布団をスマホの明かりで照らしながらひいて、そして寝た。
隣にもう一つ布団が敷かれて、羽菜はそこに寝た。
同じ部屋で寝る……だけなのにどきどきするぞおかしい。同じ部屋で卓球してるのと何が違うっていうんだ。




