羽菜④
女の子の恋バナって久々にやった。
だから結構な長風呂をしてしまっていた。
「じゃあ一緒に卓球を頑張れてる関係だって心から誓えたら、もう完璧に好きってことね」
「そう、かなと」
「えでも、もうそうなんじゃない?」
「そうかも……」
「じゃあ、この合宿中に告白!」
「ええ……」
「私告白見たい!」
「す、するとしても誰もみてないところでするもん」
「あ、じゃあするかもしれないんだー」
「たぶん……し」
いや、ほんとはしたい。
言い訳を思いつかないレベルに好きなのに。
どうしても告白とかは考えられない。
でも、合宿とか、いい機会だよね。
ずっと四日も二人でいるし。
だから最後の日とか? してみても……?
考えただけで……。
あれ?
恥ずかしいけど、ちょっと、してみたくなっちゃった。
「あ、これは、告白を想像してるお時間かな?」
「……」
「かわいいね」
「ありがと……?」
私たち二人は立ち上がって笑った。
のぼせるちょっと前くらい。
もうお腹すいた。
浴場を出て脱衣所へ。
「夕飯、おばあちゃんがめっちゃ美味しいの作ってるから、早く来てね」
「うん」
そう話して別れる私たち。
脱衣所で髪を乾かしてから、暖簾を触ってお風呂を出る。
パジャマ用ジャージらしきものを着た拓人が待っていた。
「予想の二倍くらいの長さだった……」
「ごめんね、お孫さんと話したりしてた」
「うん、羽菜より前に出てきた人でしょ。挨拶したよ。なんか驚くほどにこにこしてていい人そうだった」
「うんいい人」
私はそう返しながら、髪を後ろにまとめた。
「夕飯食べにいく時間はそろそろかな?」
「そうだよ。行こう」
私と拓人は食事会場を目指した。
食事会場が近づくにつれ、いい匂いがして、それに比例して思い出してきた。
去年、夕飯が超美味しくて、たくさん食べたんだった。
明日もまた運動できるエネルギーを、余裕でとれるくらい、豪華なメニューだった。
だから今年も絶対美味しい。
楽しみだなあ。




