表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/103

羽菜が帰ってきたよ

 ラリーをやってしばらくしたところで松沙さんが言った。


「あ、私そろそろバドミントン部に帰んなきゃなんだけど、最後に、一ポイント勝負しない? ちなみに拓人が勝ったら、羽菜が惚れるかっこいい行動七つを無料提供! さあやろうねっ!」


「よくわからんけどやろう。ほんとありがとう」


「うんうん。でもあれだね、羽菜はほんとよかった。拓人がいつも練習一緒にしてくれるからね。私の予想だけどね、拓人が来る前と後では、十倍は卓球の楽しさが違うんじゃないかな。羽菜にとって」


「……」


「あれ? もしかして十倍じゃなくて百倍がよかった? 欲張りさんな拓人くんいいですねー。独占欲強い彼氏かな? 強すぎ注意だよっ」


「サーブいきます」


「えちょっといいところにサーブ打たないでよ。あ、負けた! あっさり負けた!」


 僕のサーブを返せずに、一ポイント勝負で負けてしまった松沙さんは、でもニコニコして、


「楽しかったなー。気が向いたらバドミントンもやりにきてねー。まあでも、羽菜が寂しくなって怒らない程度でよろしく〜」


「まあやる時は羽菜と一緒にやりに行くよ」


「仲良しだなあうんいいね!」


 松沙さんはそう返しつつ、体育館の一階に降りて行った。


 うん、なんか煽られがちだったけど練習はしっかりできたぞ。よかった。


 さあ、羽菜はそろそろ補講が終わってると信じたいころだけど……。


 まだあの怖い先生に色々プリントとかやらされてそうな気もする。


 ……今度こそ壁打ちしますかね。


 僕は卓球台を移動させて壁につけた。


 壁打ちモード完成。


 僕は鍛えられた壁打ち力でもって、永遠に続けられそうなくらい安定した壁打ちを始めた。


 そのまま安定すること二十分。


 羽菜が来ない。


 一人の練習ってこんなに寂しかったっけ。


 今までテニスの壁打ちはしてたのに。


 卓球に関してはもう、羽菜がいないとダメなようだ。


 羽菜の打つ球依存症みたいなの発症しそう。


 と、その時、体育館の扉の開く音がいつもよりでかく聞こえて。


 ものすごい速さの足音が体育館の二階へ。


「お待たせ拓人! あっ、拓人壁打ちしてる! ずっとそれやってたの?」


「あ、いや松沙さんがね、ラリーしてくれた」


「うお、優しいねーよかったねー。あ、でも壁打ちしてた時間もあったんだもんね。もう寂しくないよ。……なんか迷子の男の子みたいな顔してんなあ拓人」


「まじ?」


 羽菜保護者ポジションになってしまうが。


「ま、とにかく卓球台を壁から離して。試合だよ試合!」


 羽菜がそう言いながら台を引っ張り始めるので、僕も慌てて手伝う。


 そして台を無事に定位置まで戻せたところで羽菜が、


「あそういえばね、浜崎先生に会ったからね、もう合宿の日程も決めてもらったよ。宿も空いてるっぽかった」


「いつになったの?」


「なんと早いことに夏休み初日です! もうすぐだよー」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ