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羽菜のお友達

 一時間ほど練習したのち、一度目の休憩。


「そういえば、合宿って、どこに泊まりに行くの?」


「山梨の方だよ。もともと昔からお世話になってる宿で、山に囲まれてて、宿と隣接してるホールで卓球ができる。だいたい吹奏楽部とか天文部とかいろんな部活の合宿に使われてるみたい。ちなみに二人だと贅沢すぎるね」


「すごいな。結構楽しみなんだけど」


 自然に囲まれたところで卓球やってみたさある。温泉卓球みたいに緩くなる説あるけど。


「うん、楽しみ」


 羽菜がシューズの紐を結び直しながら言った。

 



「次は……また今日も試合やろ」


「よし、今日は勝ち越す……!」


「おお、言ったね?」


 羽菜と僕が試合を始めようとした時、


「おおおおおおい! 美羽原羽菜!」


 ……なんか先生きたぞ。卓球場に初めて先生到来。年配の女性の先生だった。


「やばいっ」


「え? 何がやばいの?」


「補講サボったのバレた」


「補講サボってたのかよ! なんで?」


「だって卓球したいじゃあんっ……あごめんなさい」


 羽菜が引っぱられて連れ去られてしまった。


 ああ、確か今の英語の怖い先生だったな。


 あの人の補講サボって卓球しに来るのはすごい。


 卓球のやりたい度合いがすごいってことね。補講サボるのがすごいとは言ってない。


 いややっぱ補講サボるのもすごいわ。




 さて、ぼっちになってしまったぞ。


 得意の壁打ちを卓球でもやってみるとするか。


 そう思った時、


「あ、こんにちはー」


 また誰か到来。


 見るとバドミントンのラケットを持った女の子が。


 羽菜のお友達だ。


「私、卓球羽菜とたまに遊びでやってるから、ラリーの相手くらいならできるよ。今バドミントンは休憩中だからよかったら私とやらない?」


「あ、じゃあもし疲れてなければ、お願いします」


「疲れないよ〜私体力はあるから。あ、私は松沙っていいます」


 羽菜のお友達の松沙さんは、そう言ってバドミントンラケットを置き、貸し出し用の卓球ラケットを取り出して握った。

 

「あ、僕は庭梨……」


「知ってるよー拓人でしょ。羽菜の彼氏になる三日前くらいかな~!」


「いや違うけど。未来予知……?」


「未来予知できます!」


 まじかよ。じゃあバドミントン無双できそうだね。


 とかいう自称超能力に関する会話は早々とおしまい。


「あ……じゃあどこ狙ってくれてもいいから、ラリーお願いします」


「ほいっ」


 僕が球を出すと松沙さんは、おおよそ卓球の振り方で返してきた。


 卓球の振り方がどんなものか、いつの間にか分かっている僕に自分で感動。


 僕は松沙さんの球を返そうとする。


 おおおおお。


 球がバウンドする前に伸びる。


 バドミントンの振り方が混ざっていたのかな、わかんないけどすごい打ち返しにくい球だ。


 これは新しいタイプの練習になる。


 松沙さんには感謝しないとだし、あと羽菜は流石に最低限は勉強頑張ってほしいねほんと。


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