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美羽原さんは楽しそう

「さて、じゃあまずラリーしてみよ。はい、ラケット貸してあげるから」


「ありがとう。わかった」


 卓球のルールくらいはわかってる、はず……。


 まずサーブは、ネットのこっちと向こうの両方でバウンドさせればいいんだよな。


 そうそう、合ってた。


 美羽原さんが出してくれたサーブがそうだったので安心した。


 とりあえず返してみる。


「テニス打ち混じってるけどちゃんといい感じに振れてるね」


「そうなのか、ありがと。まあ、ラリーの練習の相手になれるように頑張るよ」


 一応リッチな体育館である。


 空調も本当に最低限は効いているし、暑い夏の中のボール拾いよりは、こっちで練習相手をやる方が良さそうだ。


 同じようにハードにつかわれるとしても。


 そう思っていたら、美羽原さんはラリー中のピンポン球を手でキャッチして止めた。


「私は、そういうつもりはないから……それは信じて。ただ、今は卓球を紹介してるだけ。明日からは、テニス部に戻ってもいいし、テニス部をやめてさらにここに来なくてもいいよ。でももしここにこれからも来てくれるなら、私、一緒に頑張る、仲間が欲しいから。ほ、ほんとは拓人みたいな人じゃなくて女の子かイケメンがよかったけど、もう贅沢言ってられないからね!」


「あ、そうなの。それは嬉しい」


「え、ま、まあフォローしとくと、別に拓人もカッコ悪いわけではないと思うから」


「あそう、ありがとうございます」


 今更だけど多分美羽原さんは僕より一つ下の学年。


 なのに僕が時々丁寧語使う以外は全部タメ口なんだよな。


 まあ卓球に関しては先輩だし、そもそも僕はそういう関係で全然いいけど。


「じゃあ、またラリー再開ね。そのあとサーブ教えてあげるから」


「あ、ありがとう」


 なんか普通に部活でスポーツができていることに感動した。


 今までボール拾いっていう、多分スポーツではないことで時間が溶けてたからな。


 なんか新鮮だ。


 打ってる感触も本当に予想以上にテニスと違うし。


 でも結構楽しいな、というのが感想だった。


 


 それからも色々教わってしまった。


 驚いたことに、美羽原さんが結構楽しそうだった。


 僕なんかと二人で部活してても楽しいって、一人だと、寂しかったんだろうな。


 まあ気持ちはわかりすぎる。


 僕は卓球の球出しマシンに目を移した。


 自分も壁打ちしてるからわかるけど、やっぱり、相手がいないとね。


 うんうん。


 そんなふうに納得しながら美羽さんさんの方を見ると……何か、考え込みながら僕を見つめていた。


「あ、あ、なんでもないよ。ごめん意味もなく見てただけだから気にしないでねよろしく!」


 美羽原さんはそう言って、虫取り網のようなものでボールを集め始めたので、僕も真似して、ボールを集めていった。


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