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引退パーティーとしてのお泊まりデートかもしれないイベント

 夏休みがあけて少し経った土日。


「では、拓人の引退パーティーというつもりだったけど、結局温泉旅行に行くことになってしまった会を始めますよいいですか?」


「いいよ。ありがたき幸せです」


「はい」


 僕の引退の時期となってしまった。


 結局僕の試合の最高成績は三回戦までだったし、羽菜も同じだった。


 けどまだ羽菜はたくさん試合あるし、僕だって大学に入っても卓球をしたいし、羽菜もきっとする。


 だからもちろん僕と羽菜の卓球はもう終わりとかそういうのではないけど、でも高校の部活として一緒にやるのは、もうないのだ。


 そんな僕と羽菜は、温泉旅行兼温泉卓球を楽しむ会という、全部員大集合の会に今参加しているのだ。


「拓人心の中で色々と言い訳してそうだけどさ、とにかく一緒にお泊まりするね。付き合い始めてから一回も旅行とか行ってなかったもんね」


「そうだね」


 そう、色々と他の肩書きを残しているものの、彼女とお泊まりデートという肩書きもありまくりである。


 全部員が二人なのがいけないわ。


 でも受験となるとなかなか会えないこともあるだろうから、やっぱりこの二日は楽しまないとね。


 そう決めたところで、僕と羽菜は、比較的近くの温泉宿に到着した。



 

 今回は観光も、ちゃんとした卓球の練習もしないので、ただダラダラするだけだ。


 部屋は六畳の部屋でとてもきれい。


「ねえ、拓人」


「なんでしょう?」


「拓人なんか、私の彼氏っぽくなくなってきてない?」


「えー」


「だってー、今もなんか離れて座ってるしさー」


「いや……じゃあ近くに座ってもいいですか?」


「はいはいおいで」


「そのノリは泣いている幼稚園児を慰める先生……」


「あ、いいよそれで。私彼氏できたら甘やかしたいと思ってたからね。ばぶばぶは言わなくていいよ」


「言わないし、幼稚園児でも言わないわ」


 そう言いながら、僕は羽菜の横に座った。


 ほっぺを触ってきた羽菜。


「あー、ストレスが溜まっているほっぺですねー」


「何その分析」


「え、ストレスが溜まるとー、ほっぺにストレスの妖精が住み着くから、触り心地が悪くなるんだよ」


「面白いお話だな」


「でほょ?」


 僕がちょうど羽菜のほっぺを触ったので、羽菜のしゃべり方が少し変になった。


 羽菜のほっぺは……やわらかいので妖精は皆無だね。


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