羽菜 ②
羽菜視点です。
「じゃ、次はフォアバックの指定なしで自由に」
「おっけー」
私は拓人のフォア側に割とスタンダードなサーブを出す。
なかなかいい回転のかかり方した球が返ってくる。
なんか本当に卓球の方がセンスあるかもね、拓人。
少し押されつつもちゃんとした球を私は返す。
筋トレの時は多分身体の使い方が下手くそだっただけで、結構腕は鍛えられていた。
さらにいい球を打てる素質だって、すでにあると思う。
ていうか……昨日思わず掴んじゃったけど、結構触り心地の良い筋肉だったなあ……ってなんでそんなこと思い出してんの私は!
……でもとにかく、なんか、拓人にも男らしいところが少しあって、そして何より……壁打ちをひたすらし続ける拓人をずっと見てきた。
だ、だからちょっとかっこいいって思ったって許してよね。
そう自分に話しかけてみる。
そして自分の胸の鼓動が少しテンポを上げ、拓人との打ち合いのテンポも速くなる。
真剣な表情だ……拓人。
さっき多分、私の胸見てたくせに。
なかなか大きい方だと思うけど、身軽に動けない要素だし、でも別に……まあ拓人が意識してるんなら……いや男子に見られたら嫌だよね?
なぜか拓人が女の子として意識してくれるんなら……とか考えてた。
やっぱり、拓人に可愛い女の子だと思われたいって思ってる、私。もう隠せないし、私は絶対、拓人に心が動いてる。
だけどさ、やっぱり私には変な親近感があって、だから……。
「おりゃあ!」
強打がきた!
私はなんとかブロックする。
って今の拓人の振り方。完全に卓球の振りだった。強い球。
テニス歴が長いと、テニス振りがなくなるまでに時間がかかると思うのに。
私もそうだったし。
だけど……こんなに……息が整わないほど責められるなんて……!
は? エロい意味じゃないんだけど⁈
誰に言い訳したんだろ。今……。
私は心を卓球に集中させることにした。
そして思う。
二人で切磋琢磨して、卓球が上手くなれたら、本当にいいな。
テニススクールで、一番下のコートでヘラヘラしてたあの時とは違って、お互いを高め合いたい。
そう思うから。
「バックがら空きっ!」
私は思いっきりカウンターを、拓人に決めてやった。
「ま、マジかよ! すご、今の」
「まあ拓人も早く今のくらい打てるようになるといいわね」
この調子で行けばそんなに時間はかからないかもしれないけどね。
テニスをやってると、ボールの動きや回転に関する感覚は、少しついてるもんだし。
そこのところは生かせるってわけ。
だから頑張れ拓人。私も、練習してもっとレベル上げてくから。
「次はちょっとサーブに回転かけてくね」
私は拓人に、サーブを思いっきり出した。




