88 うさぎの使命
「無理なのっ、リサには無理なのーーー」
2階の部屋に居たのはロゼッタとモフモフうさぎとマッテオ。リサの金切り声が廊下から響いて来た。
「おいっロゼッタ、ちょっと、いいのか行かなくて?」
「行きましょ、もうリサは居ないわ。ローズは分からないけど、私達は残りの試練を飛ばすのよ。付いて来なさい」
「リサは居ないって、なんだよそれっ。ラヴィちゃんは毒にやられてリサに喰われたんだろ。だったらなんでリサが居ない事になるんだっ」
「お前には関係ないわっ、うさぎ。さっきローズを見捨ててわたしに付いて来ておきながら何を言うの。リサはわたしの妹よ、お前もリサとローズの覚悟を見てわたしに付いて来たのでしょう? マッテオ、急ぎなさいっ。ヘタレのうさぎなど当てにならないわ」
ロゼッタが廊下に出て階段の踊り場に向かった。窓が開け放たれて、床は濡れ、レースのカーテンが風で膨らんでいた。
「ラヴィちゃん……下にまだ居るかも。俺見てくるっ」
モフモフうさぎが階段を駆け下りて行った。
「ロゼッタ、もしかしてリサはここから……」
「そうね、あの子が決めた事だから仕方ないの。マッテオも分かるでしょう……私達の使命、お前の選択肢はどこまであるのか知らないけれど、わたしとリサには変えられないルールが存在するの。自分の担当するフィールドを抜ける者が居る時、それは自分が敗れた時、死んだ時、壊れた時となっていてそれ以外に選択肢が決められていない。なのにリサはローズとここまでやって来てしまった」
「ラヴィちゃんもリサも居なかったよ」
モフモフうさぎはぐるっと1周して帰って来た。
「じゃあ、やっぱりリサもラヴィちゃんもここから落ちたんじゃないのか?」
「マッテオ、あなたの言う通りよ。リサは自ら終わる事をを選んだの。ローズも一緒に行ったのかもしれないわね」
「ロゼッタ、もしもお前がこの先に行けばそれはリサと同じ事になるんじゃ……」
「ならばここでうさぎを殺せば済む事」
「えっ?」
ロゼッタが窓に近づいて行く。
「行くわよっマッテオ」
「ど、どこに? ロゼッタ、もしかしてそこから」
「そう、飛ぶの。ここから飛び降りる事が試練、だからここを繋ぐしかないの、そして繋いだわ。この先にお前の娘が居る」
「俺を殺すとか言っておきながら、飛ぶとか、行くとか、どういう事だよ」
ロゼッタは振り返ってモフモフうさぎを見つめた。
「うさぎ、お前の使命は何?」
「俺の使命って……最初はロビーちゃんを救う事だった。でも途中からマッテオさんの娘を助けに行く事になって、それから……」
モフモフうさぎはポケットから写真を取り出した。写真の後ろには文字が書いてあって……
《3人を助けるか、それとも見殺しにするかはお前次第だ》
「3人を助けるか、それとも見殺しにするかはお前次第だって書いてる……」
ロゼッタは視線を逸らして窓に手を掛けた。
「うさぎ、お前がその使命を果たさなかった場合どうなる?」
「わかんねぇ、そもそも3人ってのが誰かも……1人はマッテオさんの娘のナギサちゃんだとして、あと2人はリサとラヴィちゃんなのか?」
「そうかもね、でもわたしが行かなければ辿り着けないわよ」




