64 フィールドの結合という荒技
GMカルと、GMバッドムRはGMスワンの忘れていったモニターを見ている。ここは先程スワンが居た噴水が見渡せる部屋ではなく、この建物の地下室、薄暗い貯蔵庫の中である。
ガラクタの上に2人は座って二画面に別れたモニターを100インチサイズにまで大きくして、壁に貼り付けて見ていた。
「R、画面は見やすくなったけどモフモフうさぎと、ラヴィを別々に見るのって面倒くさく無いか?」
「別々に進行中だからしょうがないだろ」
「1個にくっつけちまおうか? 今モフモフうさぎは花の回廊を出たとこだろっ、んでもってラヴィは花の回廊の中だから、花の回廊部分までを切り取って結合してしまえば1つのワールドとしてこいつらを扱えるし、面倒も減るじゃん」
「俺、やり方がわかんねえけどカルは出来るのか?」
「お前がOKならすぐ出来るぞ。」
「じゃあ、やってみてくれ。しかし、俺が言っちゃあなんだが、怒られたばかりなのに大丈夫か? こんな事までやってさぁ」
「本部に呼ばれた事か?」
「うん、どうだった? 俺が行かなかったけどさ」
「うちの鯖ってさ、全サーバーの中で今一番人気だそうだ。本部に届いたユーザーからの報告を集計した結果、面白いし今からやるならエメラルド鯖1択っていう意見ばっかりで、実は褒められて来たんだ」
「まじか? 隕石を落としたのとか怒られなかったのか?」
「それどころか、誰も出来ない事を実行に移すなんて、流石、社長の息子がGMなだけあるって言ってたぞ」
「なるほど……そうかそうか。そんな事なら俺が行けば良かったな」
「まあなっ、褒められるなんて思っても見なかったよ……じゃあやっちまうぜっ、R。クエストのフィールドを結合するなんて初めてだ。こんなヌルヌルな設定、結合したら超絶難しいモードに変更してやんよ」
GMカルが画面を見ながら、設定を弄っていく。そして丁度モフモフうさぎが石階段を登っている時に、モフモフうさぎのクエストのフィールドと、ラヴィアンローズのクエストのフィールドの切り貼りが行われて、2つのフィールドが結合されたのであった。
「俺たちもこの中に入れるのか?」
「あっ、もちろん」
「様子を見て、行ってみようぜ。あと少しでクリアってとこで絶望に叩き込んでやろうではないかっ!」
「じゃあ、設定弄るのやめとく?」
「そうだな……難しくし過ぎて待つのも面倒だし、さっさと最後まで来てくれないと日が暮れちまうわ。先に最終の間に行ってみるか? どうなっているか見てみようぜ」
「オッケー、レッツラゴー!」
◇◇◇
ラヴィアンローズが寺の境内を走って行く。その後ろをリサも追いかける。倒れたモフモフうさぎのそばで2体の巨大な金剛力士は立ったまま、目だけでその動きを見ていた。ちなみに、マッテオは境内の入り口で様子を伺っているままだ。
ボロっボロになったモフモフうさぎがうつ伏せに倒れていた。近くまで行ったが、そこで茫然と立ちすくむラヴィアンローズを追い越してリサが駆け寄り、モフモフうさぎの身体に手をあてて座り込んだリサは、その体から淡い緑の光……オーラを発生させた。
「まだ生きてるの、死んでいないの、大丈夫なの、リサが居るから大丈夫なの……でもでも」




