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58 猛然と襲いかかる石獣

 ガチャンッ


 閂が外れた音がした。モフモフうさぎが門の方を見ると遮られた何かで黒い鉄格子の向こう側が見えない。

 つまり……閂を外した誰か、何かが門の内側に居る。


(だよね、多分でかいんだよね……上は? はははっ、でけぇっ)


「こんちは〜」


 門を開けた石像の片方、モフモフうさぎの方からは道の両側に立っていた石像の、どちら側の仁王像かは判らないが見上げるほどの大きさは、それだけで威圧感があって出来れば動かないままでいて欲しかった。


「喝────っ!」


「ひぃぃぃぃ、ごめんなさい」


 仁王像がモフモフうさぎに浴びせかけた一喝。


(喋れるし、どうしよっかな? 門が開いたら速攻ですり抜けて奥の階段を登ってしまうのがいいかも)


 ギイィィィー


 門が開いて行く。 しかし全開には開かないままで仁王像は開くのをやめた、当然隙間が無い。


 空いた門の隙間からぬーっと巨大な手が伸びてくる。


「うおっと」


 バックステップで後方へ飛んで躱したモフモフうさぎ。


(あの手で俺の胴体を掴めるよね、焦ったぜ)


「チョコマカとこざかしいっ、お前の口の中に喋れないように馬の糞を詰め込んでやるわっ!」


「兄者、兄者、そやつは兄者の頭をツルピカイエローと、申しましたぞ! 更には頭頂部を金ピカに塗るとも言っておりましたぞ! 無礼にも程がありまする、馬の糞ではなくてハラワタを引きずり出して口にねじ込んでやりましょうぞ!」


「弟者、とすればお主はショッキングピンクとやらであるな。 はて、ショッキングピンクとはなんであるか?」


(暴走族が大好きな色だよっ、知らないのか。 つーか知るわけないか……)


「おいっ、ショッキングピンクとは何か? 答えろ、そこの……」


「モフモフうさぎだっ、俺の名前はモフモフうさぎ」


「お主は人ではないか、何故ゆえ 『うさぎ』 を名乗るのだ?」


(えっ、だってモフモフとか、うさぎとか、人気のキーワードじゃん……うさぎ<<<猫だけど)


「えー、俺はカチ……じゃなくてモフモフ山の黒うさぎ、友達を救うためにこの道を進んでいる所だ。 ショッキングピンクとは何かと聞かれたならば……答えなければならないよな」


 門から出て来ていた巨大な手が引っ込んでいくのを見て、油断はせずにモフモフうさぎは顔を見上げて仁王像の顔の方を窺う。


「ショッキングピンク……それは真夜中の閃光、強さの証。 ショッキングピンクを纏う者は最強であるので、誰よりも目立つこの色を選ぶんだよ」


 ドスンッ


 兄者と呼ばれた仁王像が足踏みをした。


「むむむ、うさぎよ、お主は何故に弟者が最強のショッキングピンクと決めつけたのじゃ? 闘ってもおらぬのに可笑しなものよのう、かっかっかっか」


「兄者、兄者、そやつなかなかの者ではないか。 見ただけで見抜くとは流石でござる」


「なんと申した弟者、ぬしは兄者よりも強いと申すか? うさぎに、ほいほいと乗せられて」


「兄者、兄者、そう僻むな。 兄者もほらっ、ツルピカイエローと呼ばれていたではないか。 うさぎ、うさぎ、ツルピカイエローとはどういう意味じゃ? 申してみよっ」


(……まじか。 そのまんま答えたらマズイよな、どう答えよう?)

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