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31 馬の蹄の音がする

「着いたっ、鬼のように遠かったたい。思えば俺も遠くへ来たもんだっつーの。ふっ、今日から俺も社会人、給料貰って堂々とアンタレスが出来るぜ」


 東京の郊外にあるタチバナコーポレーションのサービスセンターを前にして、着慣れないスーツ姿のモフモフうさぎ、いや『萩小路 恭介』は、両手を広げて背伸びをした。



 ◇



「あれがバッドムR?」


 生命維持装置が取り付けられながら、更にVR装置に寝かされている立花達也を前に、黙って頷く白鳥(スワン)。2人は実際に会ったばかりであるが、挨拶もそこそこに現在起きている()()()()について話をしていた。


「直ぐにアンタレスにログインして欲しい。僕は先に戻るから、公文書館のモニタールームに来てくれ。GM(ジーエム)には飛ぶ先に公文書館もあるから」


 タチバナコーポレーションのサービスセンターは、社員寮を兼ねる住居もセンター内にある。萩小路モフモフうさぎは、荷物を部屋に放り込むと急いでVRセクターへ向かって行った。



 ◇◇



 くしくもアクエリアよりも南に位置するノーガンミール地方は、温暖な気候とその独特な世界で足を伸ばして来た冒険者達に人気があった。

 公開された都市がアクエリアよりも北部にばかりある為に、南部のノーガンミール地方を冒険するには、それなりの準備を要する。


 ── 独特の世界観……1度訪れた人々はノーガンミール地方の事を、青と白が溢れた空の世界と言った。


 ノーガンミール地方を担当するのは元ルビーサーバー(シャウラ)の、ソフィーと、ヨシロウと、ディーノの3人のGMである。元ルビーサーバーで用意されたクエストの各種は、このノーガンミール地方に反映されていた。



 ◇◇◇



「イザヤはどうする?」


「居なかったよ。来る途中にテンペスタのギルドハウスを覗いて来たけど、ギルメンも居なかったんだ」


「リサは顔を隠さないでいいのか? まんまリサだぞっ」


 アクエリアの噴水広場で落ち合ったモフモフうさぎとラヴィとリサ。モフモフうさぎはいつもの紫のスーツ姿ではなく、黒を基調としたダークエルフ専用の軽量化されたアーマーを装備している。ゴテゴテしい、斧戦士系が装備するようなアクエリア王室のフルプレートアーマーはダークエルフにとっては実用的でなかったからだ。


 ただし、ブラックナイトシリーズと呼ばれるモフモフうさぎが装着している鎧は、アサシン系のジョブなら誰もが欲しがる隠密特化のハイエンドアイテムなので、噴水広場を歩く人々が足を止めて見ていくのは仕方が無いことだった。


 ちなみにアラネア・リサも、当然のごとく人目を惹く容姿である。何せアクエリアの姫、飛び抜けて美しい。


「お姉様はいらっしゃるの?」


「後から来るってさ、地面をチンタラ歩くのは嫌だってまた何か乗り物を作るとか言ってたし」


「だろうね」


「準備が出来たら街の南門の外に乗り付けるからってさ」


「内線?」


「うん、エリスロギアノス号みたいなのをまた作るのかな?」


「リサ楽しみ、ローズ、馬車に乗って南正門まで行こうよ」


 噴水広場はアクエリアの街の中心地である。東西南北に延びる大通りの移動を受け持つ旅客馬車のロータリーとして、最近はますます混み合って来た。


 ポクポクと聞こえる蹄の音が、この世界に現実感を感じさせていた。

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