79 異変
それは小さなきっかけだった。ベルクヴェルクの街でミリ飯を食べるピクシーとポール、彼らはその途中街の泉で水を飲んだ。
そしてその様子をゴブリンはじっと見ていた。
(どうすれば簡単に殺せる?)
自らの戦力、能力、規模、先日森に現れたあいつらは俺たちを皆殺しにした。そのうちの2人があいつらだ。あの2人は殺せない、しかもあの2人は強い。他にもあいつらの仲間は何人も居る。
だか……そうでない者もたくさんいる、アクエリアに。
殺せぬなら、殺せる奴を皆殺しにすれば良い。簡単な事だ、邪魔な奴は居なければいいだけ。
狙うはアクエリア、もう目の前だ。
△▽ △▽ △▽
ポールとピクシーが森のゲートから聖堂に戻って来た。そこでやっとGM同士で離れていても会話が出来る設定が動き出した。
《もしもしー、聞こえますか?こちら本部です》
《おっ、チャット開始か。遅かったよ、もう聖堂に戻って来たぜ》
《僕も聞こえる。後3、いや10分早ければ帰って来なくてよかったのに》
聖堂の外に出て、ポールとピクシーは繋いだ馬の側に向かいながら声のない会話を続ける。
《報告があります。多分本部でも観てたと思うけど、
ベルクヴェルクの街にゴブリンが居ません。だから今がチャンスだと思います。明るいうちに部隊をベルクヴェルクに移して、門を閉じて守りを固めると言うのはどうでしょう?》
《お疲れ様ピクシー、ポール。確かにこちらもそう考えていたところだ。君たちが街から森に向かっている頃に、こちらから足の速い騎馬部隊がそちらに向けて出発している。そんなに時間もかからず着くはずだ、ヨシロウが行くので出口ゲートDから、ベルクヴェルクに向かって欲しい。面倒だろうけど、先に出口ゲートDを見てきてくれないか。おそらく昼だから、そちらにもゴブリンは居ないはずだ。馬は森の中の出口ゲートを使うことが出来ない、ということだ。よろしくっ》
《よろしく頼むぜっ》
ヨシロウからも声がかかった。
「やっぱり便利だよな。ほんといちいち移動せんでもいいし」
「そうですねっ。じゃあいきましょう、ポール、一応戦闘態勢」
「だなっ」
2人は両手に蛍火を持って、聖堂からベルクヴェルクの、街の南側に設置した出口ゲートDに飛んで行った。




