74 第2次ベルクヴェルク偵察隊
ベルクヴェルク偵察隊、隊長と2人の隊員を除き全滅した部隊。
持ち帰った情報は、ベルクヴェルクの街の周辺にもゴブリン達がうろついていて、森の中には予測できない罠、恐らく動物やモンスターを捕える為の物だけれど、設置されている。そんなとこにもう一度行ってこいと言っても、志願者は集まらず結局、部隊長のポールとピクシーの2人が2回目の偵察に行く事になった。
エリックが消えた。前回の偵察隊全滅の後に彼の部隊員との間で何かやりとりがあったらしい。彼の部隊に所属していた隊員は全員が辞めた。
ポールとピクシーに、エリックは俺が隊員全員をクビにしたと言い張ったが、流石に2人とも取り合う気も起きなかった。
その数時間後にはエリックの姿は消えていた。というより、会社から姿を消したらしい。この業界では良くある事だが、気に入らなくなって、いきなり来なくなる。もしくは、仕事時間がキツすぎて耐えられなくなって遁走するなんてザラだ。
今回のエリックの件に関しては、ポールとピクシーからもしょうがないと報告があった。エリックの性格に難有りという事は、残念だが間違いない。
スワン達はベルクヴェルク討伐本部に集まって、偵察に行った2人の帰りを待っていた。
本部に設置してあるモニターをリアルタイムに見ながら、彼等の動きや周りの状況を観察している……時間は昼間だ。夜行性のゴブリンを出来るだけ避けるために、今回は昼の出動に変えた。
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ベルクヴェルクの街の外壁が見える。
森に潜むのは、ポールとピクシー。まだ出口ゲートからここまでゴブリンとは遭遇していなかった。
「やっぱり明るいからかな?全然いないみたいだ。そっちはどう?」
「こっちも姿が見えない。城壁の上にも居ない。行ってみるか?」
ポールが腰を上げた。
「街が奥の山の中腹まで続いて行ってるでしょ。それで、その街の切れ目辺り、えっとだから山の中腹ですね、あそこ、煙が出てませんか?」
ピクシーが立ち上がった時に、気がついた。
「んっ、あっ確かに。薄いけどあれは煙だな。なんだと思う?」
「やっぱり、潜入するしかないですね。本部のみんながモニターで見てくれますし、僕達が動かないと何も始まらないですから」
ピクシーが両手にダガーを持った。 "蛍火" と呼ばれる武器だ。同じくポールも手にしている。
「よし、行こう。どう見ても正門が空いている。あそこから入る」
「分かりました。あとは臨機応変で」
ベルクヴェルクの森から駆け出したピクシーとポール。いつ矢が降って来るか、槍が飛んでくるか、気を揉みながら走る。モニターを前にした本部の他のGM達も、同じ気持ちであった。




