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猫王様の千年股旅  作者: ma-no
猫歴50年~

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猫歴93年その1にゃ~


 我が輩は猫である。名前はシラタマだ。シンプルにキャンパスではない。


 猫歴92年は、東の国では女王の退位と即位、貴族改革、アンジェリーヌ死去と大変な年であったが、我が猫家には関係ない……いや、全部に関わっていたから大変だったよ。

 猫家に起こった大きな事件と言えば、イサベレの200歳の誕生日とアンジェリーヌ死去の影響。あとはモフモフ組がカラーリングされて芸術作品になったこと。1年の最後にパリコレみたいないことをやらされたから、ドッと疲れました。


 ちなみにパリコレみたいファッションショーはキャットコレクションと呼ばれて、ライアンが第一人者に。わしたちにもオファーが来たけど、それはもう荒れて蹴ってやった。誰が二度とやるか……

 というわけで、ウサギ族からキャンパス……モデルを募って世界ツアーをやるんだとか。ウサギさんは綺麗に色付けされて喜んでいるみたいだけど、名前は変えろよ。ライアンしか猫がいないじゃろ。



 キャットコレクション略してネココレが世界を席巻するニュースをたまに見ながら猫クラン活動もたまにし、よくお昼寝していたら猫歴93年の6月となった。

 年末年始は大変だったから何もやる気が起きないと言いたいところであったが、今年はUFOのエネルギーが満タンになったからやりたいことがあるのだ~!


「「「「「第二世界に行くにゃ?」」」」」


 そう。第三世界で手に入れた技術は8割方マネできるようになったから、そこより科学が進んでいると予想できる世界に行ってみようと思ったのだ。


「まぁこの90年で、第四世界も科学技術は進んだからにゃ。第二世界ならにゃんとか理解できるかもしれないから、ちょっと見て来るにゃ~」

「「「「「行きたいにゃ~~~!!」」」」」


 家族に第二世界旅行を発表したら、押し寄せて揉みくちゃ。いや、モフくちゃ。わしが苦しんでいたら、猫クランアンクルチームが引っぺがしてくれたから、なんとか窒息死は免れた。


「今回は、少数精鋭で行くって決めてるからゴメンにゃ~」

「「「「「ええぇぇ~~~!!」」」」」


 人数制限があると言ったら、またモフくちゃ。アンクルチームには数日前に伝えていたから、冷静に対応してくれているのだ。


「聞いてくれにゃ。第三世界にゃら安全だとわしは知ってたから、みんにゃも連れて行けたんにゃ。でも、第二世界は未知の場所にゃ。科学技術が進んでいるはずにゃから、いきなりUFOを撃ち落とされる可能性も無きにしろ(あら)ずにゃ。

 そのために、わしたち年長者が先遣隊で行くんにゃ。安全だとわかったら、必ず10年後に連れて行くから、今回は我慢してくれにゃ~」


 命の危険があると聞かされても、みんな納得いかない顔。そこにわしは、インホワに手紙を差し出す。


「インホワ。わしたちの遺書にゃ」

「にゃ? 俺も連れて行ってくれないにゃ!?」

「お前は猫の国の第一王子にゃもん。わしたちにもしものことがあったら、インホワが二代目、猫の国の王にゃ。頼んだからにゃ」

「は? リリスじゃないにゃ??」

「こにゃいだやりたいって言ってたから、書き直してやったんにゃ。子供の頃からの夢だったもんにゃ~?」

「こんにゃに大勢の前で言うにゃ! 俺が王位を狙っていたみたいにゃろ!!」


 インホワとは口喧嘩となっているが、その他はだんまり。遺書まで書いているから、わしの言った危険度がやっと理解できたみたいだ。

 まだ小さい子供は、わしたちが死にに行くと勘違いして泣いていたから、必ず帰って来ると約束する。その涙のおかげで大人たちも冷静になり、和気あいあいの宴会に様変わりするのであった。



 その夜、モフられ疲れたわしは屋上の離れで月見酒と洒落込んでいたら、3人の男女が近付いて来た。


「玉藻前と将軍は、絶対に連れて行かないからにゃ?」


 3人の内の2人は、日ノ本の2人。わしが冷たく突き放しても、ドスンと目の前に座った。


「いえ、第三世界とか第二世界とか、なんの話をしていたかついて行けなくて」

「猫の国より科学が進んだ国なんて存在するのか?」

「にゃ……そっか。2人は知るワケないにゃ。とりあえず王子君も座れにゃ~」


 3人目はエティエンヌ。老人だから立ってるのも辛いだろうと座らせ、円になってお酒も振る舞う。


「2人は玉藻やご老公から聞いてなかったんだにゃ~……」

「ということは、母上たちは知ってると?」

「うんにゃ。第三世界に連れて行ったことがあるにゃ~」


 掻い摘まんで世界の違いやUFOの機能の話をしてあげたけど、2人はチンプンカンプンって顔。なので、第三世界で撮っていた動画を見せたら、あまりにも高い建物に驚いていた。


「まぁこのように、第四世界ってのは、科学が遅れている世界ってことだにゃ。ここまではいいかにゃ?」

「「はあ……」」

「んで、この世界を管理しているのは、神様にゃ。その神様とわしは知り合いでにゃ。他の世界に行く権利を貰ってるんにゃ」


 また荒唐無稽な話をわしがしたら、2人はポカンとした顔で見合わせ、次に難しい顔で下を向いて考え、同時に顔を上げた。


「ある時期から母上は、神々(ゆかり)の神社に(まい)ることが増えた気がする……」

「父上もだ。肥後まで足を運んで、御守りまで買っていた……」

「にゃはは。実在すると知ったもんにゃ。わしもけっこう1人で行ってるにゃ~」

「「本当のことなのか……」」


 信頼する親が神様を信じきっているのだから、2人は驚愕の表情を浮かべる。とりあえずさっきのタブレットに第三世界旅行を映して2人に見せると、わしはエティエンヌに向き直る。


「んで、王子君の要望は、第二世界に行きたいってことかにゃ?」

「はい。私には10年も待っている余裕はありません。どうか、お願いします」


 エティエンヌは今年85歳。姉の死んだ年齢なのだから焦りが見える。そう必死の顔でお願いされると、エティエンヌの死ぬ日時を知っているわしは弱い。


「だよにゃ~……わかったにゃ。そのかわり、もしもの時は切り捨てるけど、それでもいいにゃ?」

「はい。足手まといになるようなら、置いて逃げてください」

「その覚悟を聞けただけで充分にゃ。さすがは猫の国に単身乗り込んで来た王子君にゃ~」


 これだけの覚悟を見せられたのだ。わしは表情を崩して酒をクイッと飲んだ。


「ちなみににゃにが目的にゃの?」

「大学で勉強していた人類学の延長です。科学が進んだ世界ならば、人間がどこから来てどこへ向かっているかの答えが得られる可能性があるかと思いまして」

「哲学的だにゃ~……海から来て土に還るじゃダメにゃの?」

「進化論ですか。現実的なお義父様ならそう言い切りますよね。しかし、人間の行き着く先は、もっと素晴らしいことのような気がして仕方がないのです」


 わしは哲学が苦手なので、話は平行線だ。


「じゃあ、こういうのはどうにゃ? 仏教には輪廻という概念があるにゃ。死んだ生物の魂が転々と他の生を受けて、迷いの世界を巡るってにゃ。それを続けていたら、いずれ人間に行き着くんにゃ」

「面白い考え方ですね……それもなんだか進化論に似ているような……人間で死んだあとはどうなるのですか?」

「神様から聞いた話にゃと、1から戻る場合もあるし、徳が高い……善行を積んだ者は人間に戻れる場合もあるんにゃ」

「トクですか……仮に人間に戻った人は、そのあとどうなるかの謎が生まれますね」

「人生二度目にゃんだから、グウタラするんじゃにゃい? わしみたいににゃ」

「プッ……そういえばお義父さんは二度目でしたね。説得力があります。フフフフ」


 ちょっと難しい話になっていたが、冗談にエティエンヌが吹き出したから、わしの勝利。いや、こんなに笑われてるんだから負けか? てか、人生二度目と言ってもいいのかな? 猫じゃけど……


「面白い話ですが、二度目の先も気になります。お義父様は善行を積んでいるのですから、三度目もあるのでは? 何度も人間を続けていたら、何か起こるのかも??」

「どうだろうにゃ。それこそ神のみぞ知るにゃ。さてと、そろそろ寝ようにゃ~」


 難しい問答はここまで。わしはもう限界なので、3人にも「早く寝るんだよ」と告げて寝室に向かうのであった。



 それから数日後、ついに第二世界に旅立つ日となった。家族には今生の別れをしたけど、軽い感じ。小さい子供が見てるもん。サクラには「エティ君を連れて帰らないとコロス」と歯を剥かれました。

 UFOの中に直接転移した人員は、わし、リータ、メイバイ、イサベレ、コリス、ベティの猫クランアンクルチーム。プラス、キャプテンノルンとエティエンヌだ。


「念の為、座標は地球外、人工衛星が飛ぶ高度の外にしておいてくれにゃ」

「うんだよ。ノルンちゃんも賛成なんだよ~」


 第三世界より科学の進んだ世界に行くのだ。地球内だとUFOが補足される可能性は否定できない。外は外で、人工衛星がどれだけ飛んでいるかもわからないからの、超安全策だ。


「うんだよ! 座標、オールオーケーなんだよ。いつでも飛べるんだよ~!!」

「んじゃ、キャプテンノルンちゃん。UFO、発進にゃ~!!」

「あいあいにゃ~! ポチッとにゃだよ~」


 気分は大事。これぐらいやらないと、UFOは無音で目的地に着いてしまうから、わしとノルンは派手に出発の号令を掛けて、アンクルチームからスーンッと冷たい目で見られるのであった。


「私もやりたかったのに……」

「モフモフおもしろ~い」


 悔しがるベティとニコニコしてるコリス以外……



「着いたんだよ~」

「外を見えるようにしてくれにゃ~」


 予定通り、モニターを見ていたノルン以外気付かずに転移したので、まずはUFOの機能を使って室内を透明にしてもらう。

 するとわしたちは宇宙空間に浮かんでいるみたいになったけど、外の様子がおかしい。


「方向が月を向いてるのかにゃ?」

「いや……おかしいんだよ。向きは地球のはずなんだよ……」


 目の前には、土色の惑星が浮かんでいたのだ。なので逆側を見てみたら、そちらにも土色の球体が浮かんでいた。


「ざ、座標はどうなってるにゃ? 月の近くにズレてるんじゃにゃい? もしくは、火星と衛星の間に飛んだとか……宇宙が膨張していて座標がズレたとか……」

「地球と月の間で間違いないんだよ……」

「てことは、アレが地球にゃ……」


 急展開。UFOで飛んだ先には、球体が少しヘコンだ土色の惑星が浮かんでいたのであった……


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