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猫王様の千年股旅  作者: ma-no
猫歴50年~

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猫歴92年その2にゃ~


 我が輩は猫である。名前はシラタマだ。猫クランはハンターギルドに所属する組織であって、東の国を守るための組織ではない。


 リディアーヌ女王のおねだりを聞いていたのに、ミテナまでわしを頼る計画を画策していたので、応接室を出たらちょっとケンカ。また大学辞めると脅して来たけど、東の国の内戦に関わりたくないから、わしは断固拒否だ。


「えぇ~。ちょっとぐらい手伝ってあげてよ~」

「イヤにゃ」

「お願いよ~。黒ヒョウやめていいから~」

「マジにゃ? リータたちにも言ってくれるにゃ??」

「必ず説得してみせる!!」

「それにゃら協力も(やぶさ)かではないにゃ~」

「あ、ありがと……」


 ファンシーな黒ヒョウ柄をやめれるなんて、こんなに嬉しいことはない。わしはルンルン気分で協力を約束するのであった。


「そんなことでいいんだ……」


 ミテナは安請け合いと受け取り、ちょっと心配になったらしいけど……



 キャットタワーに帰ったら、さっそくミテナが王妃様方に頭を下げてくれたから、黒ヒョウ柄はしなくていいようになったけど、なんか違う。


「にゃにこの色合い……」

「にゃにって、花柄だけど……」

「約束と違うにゃ~~~!!」


 派手になってるもん! 黄色や茶色まで使うなんて聞いてないぞ!! てか、これって……フィンランドの有名企業の花柄じゃね? 怒られるから絵に描けないって~!!


「約束は黒ヒョウ柄をやめるでしょ? 私、何ひとつ約束破ってないわよ??」

「そんにゃこと言うにゃら、もう協力しないにゃ!」

「「「「「それはダメにゃ~~~!」」」」」

「にゃんでそっちからにゃ!?」


 どうやらミテナ、わしがゴネるのは想定済み。王妃様方には、アーティスティックな花柄に変える脅しのネタに、協力が使えると吹き込んでいたのだ。


「オヤジ。いい色合いだにゃ。俺もちゃんとしたトラ柄に変えようかにゃ~?」

「オレも飽きて来たし、違う色を試してみようかにゃ~?」

「インホワとシゲオは、自分の毛色に誇りはないにゃ?」


 味方をしてくれると思っていた、ホワイトタイガー柄のインホワとギャング柄のシゲオは役立たず。その他のモフモフ組も半分以上褒めてくれるので、カラーリングに不満があるモフモフは少数派みたい。

 わしは「なんだかな~」とゴネる元気がなくなり、花柄で生活するのであった。



 アーティスティックな花柄で猫大のキャンパスを歩くと、ウサギ族が寄って来て「それ、カラーリング屋さんの新デザインですか?」と尋ねるウサギが続出。

 普通の大学生にも褒められるから、なんとも言えない顔。わしの感性がおかしいのか?


 猫大の生徒は変人揃いだから感性もおかしいのだろうと思って町を歩いてみたら、ウサギ女子からやたら「キャーキャー」言われる。逆ナンもされちゃった。

 しかし普通の人は、ほとんど半笑い。猫が花柄になってるもん。やっと普通の反応が見れた~!


 これは何かありそう。わしは猫大に戻って、秘密地下図書館にいたミテナにカツ丼を奢って問い詰める。


「にゃあ? みっちゃんが大学生を操ってるんにゃろ? ネタは挙がってるんにゃ~」

「え? もうバレたの?? 誰が喋ったんだろう……」


 わしは予想を言っただけなのに、ミテナはペラペラ喋ってくれたから助かったけど、マインドコントロールは、ないわ~。


「にゃに恐ろしい実験してるんにゃ……」

「いや~……友達も増えたから、大勢を扇動できるか試したみたいな? この独裁者の手法、本当に凄いわね。勉強になるな~」

「誰がそんにゃ勉強しろと言ったにゃ!」

「シラタマちゃん……シラタマちゃんが連れて来たんでしょ??」

「そうだったにゃ!?」


 元独裁者に独裁者の本を薦めたのは、大失敗。ミテナは世界中の独裁者の手法を吸収してしまったから、世界の敵になりそうで怖いです。


「やだな~。私がそんなことするワケないでしょ~。あんなに堅苦しくて忙しい君主は懲り懲りだもん。今世は気楽に楽しく暮らすつもりよ」

「……本当にゃ?」

「信じてよ~……信じてくれないと、猫の国、めちゃくちゃにするわよ??」

「やっぱり国家転覆狙ってるにゃ!?」

「ウソウソ。冗談だよ~?」


 ミテナは冗談とか言っているけど、わしは信じられないから最大級の警戒をするようになったとさ。



 それからも猫クランの合間に猫大に顔を出してお昼寝していたら、戴冠式のゴタゴタがようやく片付いたとリディアーヌ女王に呼び出されたので、わしとミテナはサンドリーヌタワーに出向いた。

 何故かわしに見惚れるメイドウサギに案内されて上階にある応接室に入ったら、リディアーヌ、フランシーヌ、アンジェリーヌの三代女王の揃い踏み。

 ただならぬ雰囲気が漂っていたからわしはオーラに気圧され、ミテナはわしの後ろにサッと隠れた。


「「「ブハッ! 何その柄!? アハハハハ」」」


 でも、わしのアーティスティックな花柄を見た3人は、同時に大笑い。空気も明るい雰囲気に変わったから、わしたちはそそくさと3人の前に座る。

 それからメイドウサギがお茶をいれて回り、出て行ってから数分後に、やっと3人の笑いが止まった。


「おじ様……聞きましたよ。とんでもない提案をしたと……」


 ここは代表して前女王のフランシーヌが低い声でわしに問い掛けたけど、まだ半笑いですね。


「まぁ提案だけにゃから、やるのはそっちの自由にゃ。てか、タブレット残して行ったけど、それは見てくれたにゃ?」

「はい。民の暮らしは、両国ではこんなに違っていたのですね。改善案も熟読させていただきました」

「それにゃら話が早いんだけどにゃ~……これはリディちゃんのために案を用意したんにゃけど、にゃんでフランちゃんもアンちゃんも揃っているにゃ?」


 わしの見た目のせいで忘れていたけど、いまのこの状況は不思議。いつもなら、元女王は新女王に口出ししないために城を離れるはずなのに、首を突っ込もうとしているのはどう考えてもおかしい。


「「フッ……フフフフフ……」」


 わしが疑問を口にすると、フランシーヌとアンジェリーヌは同時に妖しく笑い出したから怖過ぎる。出過ぎたマネをし過ぎたかも?


「こ~んな面白いこと、娘だけにやらすのはもったいないのですもの~」

「私も何度煮え湯を飲まされたか~。潰したい家、いっぱいあったんですよね~」

「「ウフフフフフ……」」


 いや、2人もミテナ同様、貴族に恨みがあったらしい。今回、猫クランが動いてくれると聞いて、積年の恨みをぶつけようと出席したみたいだ。


「きょ、協力って言っても、基本的には防衛するだけだからにゃ? 家宅捜索を手伝うのはいいけど、罪はでっち上げちゃダメだからにゃ?」

「それだけしてくれたら大丈夫ですよ~」

「叩けばホコリは出ますから、それだけで助かります~」

「「オホホホホホホホ~」」

「これは()き使われるにゃ……」


 ダメだこりゃ。フランシーヌとアンジェリーヌは止まりそうにない。2人が恨みのある貴族の名前を交互に言い合うなか、わしとミテナとリディアーヌは、今後の話をして協定書をまとめるのであったとさ。



 東の国貴族改革は、潰す貴族が多いからまとめるには時間が掛かるそうなので、わしは猫クラン活動したり、その合間にミテナに付き合っていたら、とある人物の誕生日となった。


「イサベレさん。誕生日おめでとうございます」

「「「「「ハッピーバースデーにゃ~」」」」」


 今日はイサベレの誕生日。それも、200歳の誕生日だ。


「ありがとう……こんなにいっぱいの家族に祝われて嬉しい。100年前には、こんな幸せな誕生日、想像もできなかった……グスッ」


 珍しくイサベレは感情を露わに涙ぐんでいる。元々白い一族は、子供を1人産んだら10年で死ぬ運命だったのだから、3人の実子、50人以上の家族や知り合いに囲まれる未来なんて想像だにできなかったのだろう。


「これもそれも、イサベレが伝説卿と呼ばれるぐらい長生きしたからだにゃ。お母さんや先祖は、イサベレのことを誇りに思っているはずにゃ。辛いことも多々あったのに、よく頑張ったにゃ~」

「うぅ……いいこと言わないで。全部ダーリンのおかげ……うぅぅ~。こんな私をもらってくれてありがとぉぉ~~~」

「ヨシヨシにゃ~」


 こんなに大泣きするイサベレは初めて見たので、わしは優しく抱き締めて気持ちが落ち着くのを待つ。何人かは「オヤジのおかげか?」と疑問を口にしていたけど、インホワ……聞こえておるぞ?

 それから贅を凝らしたワケじゃないのに豪華な食事が大量に並び、小さい子供たちが踊って歌ってくれたから誕生日会は大盛り上がり。


 宴もたけなわになると、わしは猫ファミリーのアンクルチームと一緒に離れでしっぽりとお酒を飲んでいた。


「そういえばイサベレって、ちょっと老けたかにゃ?」


 酒が回ってもわしは遠回しに年齢に触れられたと思ったけど、イサベレ以外の全員に頭をペシペシ叩かれました。歳を重ねても女性に言うことじゃないもんね。


「たぶん……何歳ぐらいに見える?」

「美人だから若く見えるからにゃ~……40代の手前ってところかにゃ? 30歳と言われても、わしは信じるにゃ」

「200歳なのに……」

「この世界は不思議だにゃ~。エルフも200歳辺りから老化が顕著になるから、ここからゆっくりと年相応の姿になって行くのかもにゃ。イサベレの熟女姿は、ちょっと楽しみにゃ~」


 わしがニコニコうんうん頷いていても、イサベレたちは信じられないって顔をする。


「なに? 男は若いほうがいいものじゃないの??」

「そういう人は多いかにゃ? でもわしは、その年齢その年齢の美しさを知ってるにゃ。お婆ちゃんになったぐらいでは、わしの愛は変わらないにゃ~」

「ダーリン……どれだけ私を泣かすの……ううぅぅ」

「みんにゃも、どんにゃ女性になるんだろうにゃ~。にゃはははは」


 わしは前世では100歳まで生きた男。女性が老けたぐらいでは年下にしか見えない。

 その笑い方が度量の広い男と受け取られたのかイサベレの涙を誘い、リータたちの心にも響き、全員に抱きつかれてモフられたわしであった……


「旦那様。ウチも愛してくれるにゃ?」

「ワンヂェンは……見た目変わるのかにゃ?」

「そうなんにゃ。旦那様も変わるかどうかウチもわからないんにゃ」

「ギョクロたちも変わらないしにゃ~……どこを見て老けたと言えるんにゃろ?」

「「……謎にゃ~」」


 しかしモフモフ組は、全員年齢不詳。わしとワンヂェンは、ウサギ族の老人を集めたりして、モフモフ組の老け具合を探す研究を始めるのであったとさ。


 ぶっちゃけ、痩せたぐらいしかわかりませんでした……


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