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猫王様の千年股旅  作者: ma-no
猫歴50年~

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猫歴84年その7にゃ~


 我が輩は猫である。名前はシラタマだ。虫も見たくないけど、娘が男を口説くところはもっと見たくない。


 ウロが猫大で虫の研究をしていたと知った白猫ニナは、女のたぶんになって猫撫で声を出すモノだから、わしは2人を引き離す。

 ニナはめっちゃ暴れ出したけど、念話でヒソヒソ「アシストしてやる」と言ったら、モジモジし出した。さっきまでのヤル気はどこ行ったんじゃろ?


 とりあえずニナは落ち着いてわしの背中に隠れたので、ウロに話を聞いてみる。


「てか、虫の研究してるのは知ってたけど、具体的にはどんにゃ研究してるにゃ?」

「基本的に、新種の発見や図鑑の作成ですね。この世界独自の進化をしている虫もいますので、とても面白く感じています」

「にゃるほどにゃ~。てことは、クランでの活動目的に、虫の採取をプラスしたいってことかにゃ?」

「ご迷惑でなければですが」

「別にそれぐらい構わないにゃよ? クランの活動目的は狩りがメインで、集落や遺跡を探したり、動植物の調査も兼ねてるからにゃ」


 わしたちが話し込んでいたらニナがスリスリして来たのでスリスリ返し。これはいつアシストするかの合図だったらしく、まったく気付いてなかったから噛まれました。


「ところでにゃんだけど、虫を食べることはどう思うにゃ?」

「私は抵抗ありませんよ」

「マジにゃ?」

「第三世界でも食べたことありますからね」


 どうやら第三世界では一時期、虫食が流行っていたそうだ。それはわしが初めて第三世界にUFOで行って帰ったあとの出来事。

 わしが様々な課題を出した中に貧困問題解消があったから、食料確保が問題になったんだとか。問題解決には穀倉地と養殖の増産しかないと結論となったが、それが軌道に乗るのは時間が掛かる。


 その間の繋ぎで、すぐに増える虫を美味しく食べる(すべ)を模索して、餓死者ゼロを達成したそうだ。


「ほへ~。思い切ったことしたにゃ~。でも、流行りは一時的じゃないにゃ?」

「私もそう思っていたのですけど、嵌まっている方がけっこういましたので、根強い人気になっていますよ。特に発展途上国では、イナゴの佃煮が国民食にまでなったぐらいです」

「そこでも日本の力が発揮されたんにゃ~。日本国民として誇らしいにゃ~」

「私も同じ想いです」


 いい話を聞いてわしがちょっと涙ぐんでいたら、ニナにスパーンッと頭を叩かれた。泣いてないでアシストしろってことですね。でも、さっきからお父さんにドメスティックバイオレンスしてるよ?


「じゃあ、どこまで食べられそうにゃ? 原型が残ってるのとかも食べれるにゃ?」

「はい。ある程度はなんでも。ゴキブリはさすがに嫌悪感があって無理ですけどね」

「にゃるほどにゃ~……」


 わしはニナを見ると、高速でウンウン頷いていたから喋りたいのだろう。たぶんウロの目には、上下運動が速すぎてニナの顔は消えてるだろうな。


「ま、それにゃら大丈夫にゃろ。我が猫家きっての虫博士で虫料理のスペシャリスト、ニナとお友達になることを許可してやるにゃ~」


 わしがニナを紹介したら、鳩尾を殴られた。気功は痛いからやめてください。と思っていたら、尻尾を掴まれてウロから離された。


「さっきの紹介はにゃに? あーしは友達じゃなくて、結婚を前提とした彼氏を募集してるんにゃ」

「ニナさん。重い、重すぎますにゃ~」

「どこがにゃ~。急がないと、ベティおばあちゃんみたいになっちゃうにゃ~」

「いや、相手は23歳の若者にゃよ? 遊び盛りの男に結婚にゃんか言ったら引かれるにゃ~。ただでさえニナの年齢は……」

「言うにゃ!」

「まぁそういうことにゃ。ここは慎重に行こうにゃ。クランに入ったから時間はいっぱいあるしにゃ。それに、幸い虫食に嫌悪感がないんにゃから、それで胃袋を掴んだら向こうから結婚してくれと言って来るにゃ~」

「そ、そうだにゃ。パパでもマシにゃアドバイスできるんにゃ~。応援してくれてありがとうにゃ~」

「感謝するにゃらディスらにゃいでくれにゃい?」


 わしのナイスアドバイスだけ聞いたニナは笑顔でウロに話し掛け、この場で虫料理を振る舞おうとしていたけど、お腹いっぱいと断られていたのでわしは睨まれた。夜に出したらよかろうが……

 今日の猫クラン研修が終わったら、虫料理を振る舞うと聞いたので個室を用意してあげる。みんな苦手だもん。


 そうして騒がしい食堂を後にしたわしは、屋上の縁側で一杯やっていたらエミリが隣に座ったのでお酒を勧める。


「ニナとウロ君が仲良くしてましたけど、何があったのですか?」


 母親として、娘に男が近付いていることが気になったみたいだ。なのでわしは今日のことを説明してあげた。


「そうですか。ニナの趣味に共感してくれる人が現れたのですか……これでようやく孫の顔が見れそうですね」

「それはどうだろうにゃ~……にゃしゃしゃ」

「へ? 猫さんは2人をくっつけようとアドバイスしたんじゃないのですか??」

「男女の仲は、そうそう狙い通り行かないってのが世の常ってだけにゃ~。にゃしゃしゃ」

「なんで笑ってるの!?」


 わしが変な笑い方をしているので、エミリは真相を聞き出そうとモフモフの刑。それでもわしは吐かなかったので、エミリは怒ってモフモフして去って行くのであった。


「にゃしゃしゃ。慎重に行動にゃんかしたら、いったいいつ付き合えるんだろうにゃ~? にゃしゃしゃしゃしゃ」


 そう。わしの狙いは、2人を親友にしてしまうこと。そうなったら、そうそう切り出せないだろうと笑っていたのであったとさ。



 それからの猫クラン研修は、ニナが必ずウロの(そば)に付き添い、自由時間は2人で虫を探してる。ニナはお弁当まで持参していたけど、ウロはそんな虫の脚がはみ出したオニギリよく食えるな……

 何かと気持ち悪いので、ウロのことは後衛もできるニナに任せてわしはグレタの指導。こちらもこちらで獣に馬乗りになってオーバーキルしてるから気持ち悪い。


 グレタはチームプレイから逸脱することもあるのでそこだけは注意して、ウロも動物を殺すことに慣れたら、新人の2人は半人前までは来た。

 なので今日は、2人を連れてハンターギルドでハンター登録をしにやって来た。


「グレタさんは曾孫さんなのはわかりましたけど……ウロさんは王家の方ではありませんよね?」

「うんにゃ。それがにゃに?」

「猫クランって、王族以外も入れるのですか!? ギルマス~~~!!」

「ちょっ……どこ行くにゃ~~~!!」


 すると受付嬢は、大声を出して職務放棄。ギルド内にいたハンターも目を光らせてわしたちの傍ににじり寄っていた。

 そこに血相変えたギルマス登場。何故かカウンターに大量の資料を撒き散らした。


「にゃあ? これ、にゃんの騒ぎにゃ??」

「ゼーゼー……猫クランに入りたいって人が、世界中にたくさんいるんですよ!!」

「にゃ……」


 部外者が猫クランに入るのは、ウロが初。どうやらこの猫市のギルドにどうやったら猫クランに入れるかとの問い合わせが恐ろしい数があったから、ギルマスはチャンスだと思って履歴書持参でやって来たみたいだ。


「いや、残念にゃがら、わしが才能を認めた人しか入れないにゃよ?」

「それは重々承知しております。ですから、このハンターの中から審査していただきたいのです」

「ええぇぇ~……」


 そんな面倒なことをしたら確実にお昼寝時間が減るからわしはやりたくない。そこで知恵を絞ったら、いい手が浮かんだ。


「そもそもにゃよ? 我がクランの訓練方法は極秘中の極秘にゃ。だから口の堅い者にしか教えないんにゃ。つまり、このウロ君は、我が猫家の婿になる人物だから教えるんにゃ。ただの部外者じゃないんにゃ。基準はそういうことにゃから、周知させておいてくれにゃ~」

「なるほどです……わっかりました」

「妙に理解が早いにゃ……」


 もっとゴネられるかと思ったので質問してみたら、ギルマスは断る口実ができたからそれでいいらしい。それならもっと早く相談してくれたら、適当なこと言ったのに……わしがめったに顔を出さないからですか。すいません。

 しかしながら、わしたちの話を聞いていたハンターは、それでは終われない。王家に入りたいって……それはたんに玉の輿を狙っているだけでは?


「うっさいにゃ~。わしのかわいい家族をお前らにくれてやるわけないにゃろ~。散れにゃ~」

「「「「「ブーブー!!」」」」」


 わしが穏便に済まそうとしているのに、ハンターは道を塞いでうるさい。全員、気絶させてやろうか……


「ジジイ……こいつら、オレたちの敵か? 敵ならオレが蹴散らしてやる!」

「グレタは手加減しないにゃろ~。てか、どかにゃいと、グレタに殴られて頭が破裂するにゃよ~? お前らと我がクランの新人は、それほど差があるんにゃ。死にたくないヤツは、いますぐどっか行けにゃ!!」


 わしが怒鳴ったら、さすがにハンターもビビって道を開けた。頭が爆発するもんね。いや、王様だもん。

 しかし、諦めの悪い馬鹿も少なからずいるので、近付いて来た者はウロの風魔法で排除。それでレベル差がわかってくれたから、わしたちは誰1人殺すことなくハンターギルドを出るのであった。



「ところでなのですが、私は婿養子にならないといけないのでしょうか?」


 外に出たらウロが心配した顔をしていた。


「さっきのは嘘にゃから、真に受けなくていいにゃよ?」

「そうですか……しかし、それではハンターも国民も納得しないのでは?」

「別に納得されなくてもいいにゃ。数十年後には、すっかり忘れてるにゃろ」

「あ……そういうことですか。私も長生きになりましたから、忘れるのを待つのですね。でも、国民を(あざむ)いているようで心苦しいです」

「ここはわしの国にゃから、ウロ君が気に病む必要ないにゃよ? それとも現猫神(あらねこがみ)になりたいのかにゃ~? にゃははは」

「あっ! 出過ぎたマネでしたね。あはは」


 ウロ、いまだに天皇気分が抜けてなかったみたい。わしが指摘するとウロも気付いたので「現猫神は私では毛が足りませんね」と笑うのであった。


 毛の前に、血が違うのですが……


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